昨年の最後の提示症例です。年末年始は休んだので今年になってまとめて載せます。口周りの手術とは言っても、全部載せの大変な手術です。術者もですが、患者さんも大変で、しかもダウンタイムが長い。結果がなかなか見えてこない手術です。
人中部白唇短縮術はブログ提示でも定番の手術で、結果は見えます。相対的に口角が下がらない様に挙上術を併施するのも定番です。私は初診時に診察する際に、顔面のバランスを計測します。医者は治療の為に診察します。特に顔は人それぞれで個体差が大きく、だからより適切な治療法を選ばなければ、美しさは作り出せません。誰にでもおんなじ手術を勧めるチェーン店系美容外科医はその素養を持っていません。だってチェーン店の医師は広告に無い診療内容は出来ないんだもの。仕方がないのです
そうして鼻翼と口唇の比率を見ていくと、鼻翼縮小術の適応が見出されます。しかも、すでに鼻翼縮小術を受けている症例で効果が足りないとなれば尚更です。鼻翼縮小術には、内側を切除して両側の鼻翼頬溝の幅を狭める方法と、鼻翼の外側を三日月型に切除して張り出しを切除する二つの方法があります。これも術前の診察とシミュレーションが必要で、張り出しが無い人に外側切除をしても小さくなりませんし、張り出しがあるから鼻翼が大きい人には内側縮小だけすると余計に張出てしまうからです。本症例はその通りで、外側切除出張り出しは減ったのに幅は変わらなかったと、患者さん本人が計ったから知っています。やっぱりなケースです。
こうなると鼻翼縮小術で寄せたいのですが、白唇が膨隆します。数年前に白唇短縮術を受けて折角すっきりしたのに後日鼻翼縮小術をしたらボテッとした症例があります。その後同時施行を始めました。白唇部を切除してから、傷を開けたまま鼻翼縮小術をします。すると白唇短縮術の創の上辺と下辺がずれます。結果白唇は膨隆しません。ただし腫脹は波及します。さーてそのようになっていますかね?。画像が証明します。
さて鼻翼縮小術は糸で寄せても戻るのはブログ提示してきました。鼻孔底の切除も粘膜が伸びるので後戻りします。皮弁方は難しいのですが後戻りは少ないのです。ただし両側鼻孔底の間にトンネルを作るため腫れます。剥離腔を作る際にには腫脹が強いのです。結局術後早期には白唇まで腫れが波及して膨隆します。でも必ず治ります。これも画像が見せます。
症例は31歳女性。5年前に他院で鼻翼外側切除。張り出しは減ったが、幅は36mmのままでした。人中部白唇長15mm。目頭は軽く切った。水かき状態が残り内眼角間距離38mm。つまり顔面部品の横幅が大きいまま。
丸顔傾向なのに下顔面が長いうち上口唇が比率的に長いから、上白唇4mm切除の適応。外反C-カールはあるがもっと強調したい。人中と弓は明瞭。
口角は、口唇幅45mmなのに顔面部品横の比率からして50mmを目標として、45度方向に5×8mm。鼻翼は皮弁法、両側鼻孔底に幅2mmの皮弁を作成し引き寄せるデザイン。
画像は正面像と近接像を術前、デザイン術直後の順に。
術前鼻翼幅36mmを術中縮小術の時点で32mmにしました。ところが鼻翼外側を縫合していくと35mmまで拡がりました。
斜位像と側面像は術前と術直後。
術後1週間で抜糸しました。下列は正面像と近接像。
下左図は下方から診ると抜糸時には鼻翼幅が34mmでした。
両側側面像ではすっきり感が見られます。次回の経過で鼻翼幅がさらに縮まるでしょう。
鼻翼縮小術を説明します。何回か記して来ましたが、鼻翼縮小術は内側に寄せる方法と外側を切除する方法の使い分けを要します。
鼻翼最大幅が大きい場合には、付け根を寄せる必要があります。大きいと言っても基準はありません。顔面幅との比率や内眼角間距離との比率や、口唇との比率に因るからです。とはいっても34㎜が大事です。内眼角間距離は33㎜以下が美人の基準です。眼瞼の際にいつも説明していますが、先天性異常(現代では奇形とは言わない)である一重瞼を人間,Homo Sapienceの正常構造である二重瞼に戻す際には、やはり先天性異常である蒙古襞を治すべきであり、そうすれば内眼角間距離は平均的には33㎜になります。内眼角間距離と鼻翼幅は同数が適切ですから、これが美人の基準です。
鼻翼の幅が付け根よりも張り出しが大きい場合には、その余計な部分を切除する手術が適応します。経験上、張り出しを取る方が有効な症例は約25%(1/4)程度に過ぎません。それなのに誰にでも外側切除を奨めるふざけた美容外科医が多く困ります。鼻翼の張り出しが少ないのに切除すると、付け根から内側に向かってペチャンコな鼻翼になり、動物的になってしまします。しかも、取った者は戻せません。昔(約30年前)父がブームに乗って取りまくりました。結果私はペチャンコな鼻翼の症例を今でも何人か診ています。ある症例は仕方ないので移植術を受けましたが取って付けた様でミエミエです。
要するに鼻翼縮小術に限らず診察が治療法(手術術式)の根拠になります。美容外科医は医師ですから、(医師でない者が手術をしたら傷害罪です。)診断に基づく治療を持ってして診療行為だから免責されます。間違った手術適応で治療したら傷害罪とは言わないまでも、糾弾されてしかるべきです。チェーン店の医師は糾弾されても、料金を返して済まします。だって彼等はビジネスですから。医療行為ではない証拠です。
内側に寄せる手術法には変遷があり効果にも差異があります。本症例の様に皮弁法はいい手術です。いつか御説明します。
術後1か月です。
鼻の横の膨らみは消失してきました。白唇部(鼻の下)の腫脹は解消しました。
鼻翼縮小術の手術法ですが、鼻翼の付け根を寄せる方法には旧い順に1、糸で両側を寄せる。2、鼻孔の底を縦に切除して縫い寄せる。3、両側の鼻孔底に真皮弁を作製して、両側の創の間の鼻柱の下にトンネルを作り、二つの皮弁をトンネルの中で縫い合わせる。時代と共に進化して1から3へ三方法を使い分けて来ました。
1は昔から行なわれています。私も25年来行なって来ました。とても簡便で、ダウンタイムもほとんど困りません。でもある程度以上の後戻りは覚悟してもらいます。稀に元のサイズにまで後戻りします。後戻りしても形が胡坐鼻から丸い鼻翼になれば悦ばれます。
2は切除縫合するので戻らないかと言えば、鼻孔底は粘膜ですから脆く、伸びて後戻りが起きます。元のサイズまで戻った事もあります。糸を併用してもです。切って縫いだけですがダウンタイムは1週間かかります。
3はまだ数年前に考案されたばかりの手術法です。私は二年前から行なっています。実は口周りの手術に伴って併施する事から応用し始めました。白唇部短縮術の際に併施すれば、ずらして縫合出来るので、白唇が膨隆しませんから。最もトンネルを造るとは、(口蓋)骨の上を剥離するので鼻唇角までかなり腫れます。本症例もそうです。ただし皮弁は癒着して両側鼻翼を寄せ支えるので後戻りはほとんどゼロです。術中に引っ張ってみても拡がりません。ただし白唇部短縮術を併施すると鼻翼の外側は外へ引っ張られますから鼻孔のサイズは縮小しても鼻翼の幅は一度拡がります。でも白唇部短縮術で拡がった鼻翼は必ず縮小します。これは口周りの手術の最多症例を経験した私だから断言出来ます。
ですから白唇部短縮術と鼻翼縮小術と口角挙上術を併施した症例の経過は長いのです。後戻りがない事を確認するのは術後3ヶ月まで診ましょう。
術後3か月です。
傷跡は拡がりませんし、後戻りもありません。メイクしないでも目立たないそうです。鼻と口のバランスも取れました。
鼻翼幅は35mmで定着しています。
当院では、2018年6月に厚生労働省より改定され施行された省令「医療機関ホームページガイドライン」に遵守しホームページの修正を行っています。
施術のリスク・副作用について・麻酔薬にて、アレルギー反応を起こす場合があります。その場合は適切な処置を行います。・腫れは個人差がありますが、手術直後から少し腫れがあり、翌日がピークで徐々に引いていきます。目立つほどの大きな腫れは1~2週間程度です。・術後のむくみや細かな左右差の改善には、3ヶ月程度かかります。・内出血が起こった場合は完全にひくまでに2週間程度かかることがあります。・感染予防のため、抗生剤を内服していただきます。・抜糸までの間、鼻下を伸ばす表情はお控え下さい。・口唇部の違和感は、2~4週間程度かかります。・手術後2週間は、口を大きく開けることはお控え下さい。・手術直後は、つっぱりを感じることがありますが、2週間程度で改善していきます。・手術当日は、洗顔をお控え下さい。・手術後3日間は、飲酒・激しい運動・サウナ・入浴など、血流が良くなることはお控え下さい。・手術後1週間(抜糸まで)は、鼻孔部位のお化粧はお控え下さい。・ケロイド体質の方は傷跡が残りやすい場合があります。
6月から費用の説明も加えなければなりません。上口唇短縮術は28万円+消費税。口角挙上術は25万円 +消費税。鼻翼縮小術内側皮弁法は28万円+消費税。局所のブログ掲載の契約を受けてもらえたら、出演料として20%オフとなります。局所のブログ掲載の契約を受けてもらえたら、出演料として20%オフとなります。