表題にある様に、やっぱり口周りの手術を追加したくなった患者さんです。この数年私は、口周りの手術の先達の如く捉えられています。私は日本中に100人以下の形成外科と美容外科の専門医であり、しかもその中で口周りの手術に積極的に取り組んできたのは数名しか居ないのをご存知の方も少なくありません。その意味は、形成外科の先進の技術と美容外科の美容的知識と経験を積み重ねてきた医師だけが、この手術を上手に出来るからです。そして私の様に念入りに診察して、丁寧な手術を行える環境にある美容外科クリニックは数少ないからです。さらにこのブログの中でご覧の様に多くの症例を提示してきて、それもちゃんと経過を全て包み隠さずに観せてきているから、患者さんも知識を持ってから来院するので安心感があるからでしょう。
本症例の患者さんは大阪院に罹っていますが、実は少し遠方なので、診療が途切れがちでした。今回は細かく説明しませんが、段階的に順を追って手術に取り組んできました。その間に問題点もクリアーしてきました。だから逆に、今回も患者さんは経過をうまく過ごせるのではないかと考えられます。
症例は55歳女性。2年前から受診されていて、先ず白唇短縮術を施行しました。1年前に鼻翼縮小術埋没法をしましたが、後戻りしました。ですから今回は鼻翼縮小術の皮弁法を検討しました。でも前回白唇短縮術でスッキリさせた鼻下が膨らんでダウンタイムが長かったから迷いました。そして白唇短縮術を先行したら、やはり口角が下がったのでまず口角挙上術をしようという事になりました。 ちなみに人中部の白唇の長さはあと戻りしていませんでした。 鼻翼幅は36㎜で口唇幅48㎜なので、口唇幅は黄金分割比率で計算すると、52㎜目標となり、30度方向に4㎜挙げることとした。
画像を診ましょう。術前の斜位像と側面像から。
斜位像や側面像では、年齢にしては口元がスッキリしています。やはり白唇短縮術はアンチエイジングに最適です。
ところで、人中部主体の白唇短縮術は両側鼻翼間のNostril sill,土手の下に傷跡があります。谷線になっています。でも土手が温存されているから鼻の穴の中が見える様なことはありません。 傷跡の線は赤いのですが、幅がゼロですから、普通のメイクで隠せるそうです。
本題の口角ですが、ご覧の様に現在水平に見えます。実はその様に動かして映りました。当初の予定通り30度方向に4㎜挙げました。
下にいつものデザイン。鼻翼の真下まで上げるデザインです。
術直後の画像は正面像から。
口角挙上術だけでも口周り全体が腫れます。鼻翼も横にも下にも引っ張られます。
翌日も正面像を頂きました。口角挙上術単独施行では、腫脹の軽減が早いのです。患者さんもこれまでのブログを見てくれていて、認識していました。だから手術を受けたのです。挙上の出来は良いでしょう?。
術後1週間で抜糸時しました。面白いことをしました。新しく作った口角の上に真皮縫合が皮下に掛かっている点があります。私が「そこまで口角に見えると喜ばれる人が多いのです。いいでしょう?。と言うや否や、患者さんに「いやあ〜、ここまで上がりすぎている感じに見えるとやりすぎ感がみえみえかな?。年齢的にもねえ?!。」「確かにダウンタイムは短いし、形は良さそうなんですが・・。」と言われました。さらに「そこで今日はヒアルロン酸いれておいたらどうかしら?。」と提案されました。
上の画像2葉が注入前と注入後です。上左図で口角から斜め上に約4㎜の線状の陥凹が見られます。ここまで口角が上がった様に見えると言われれば否定できません。口角挙上術は口角部の赤唇を横V字に外して口輪筋も一緒に引き上げます。角を皮膚に縫い付けますが、赤唇には真皮がないので、口輪筋同士を中縫いします。糸の通り道が線状に陥凹します。あと戻りを防ぐための技です。
近接画像で見ると中糸の通り道がわかります。ヒアルロン酸で埋めると目立たなくなりました。
ただしよく見ると注射の後に微量の出血があり、赤く点が見えます。いつ消えますか?。次回に期待しましょう。もしかして追加もありかも?。
術後2週間でも画像を頂きました。
やはりまだ中縫いの点がみえましたから、点状にヒアルロン酸を打ちました。赤いですが見えなくなりました。患者さんはお気に入りです。
斜位像や側面像では何ともセクシーな患者さんです。
下には術後1か月の画像。
口角の斜め上の真皮縫合の掛かっている凹みはヒアルロン酸で隠していく事が出来ると教えてくれたのは本症例の患者さん自身です。有り難う御座います。
何故か?、下口唇の厚さの左右差も気になった様です。その目で術前の画像を診たら、そうでした。口唇の厚さは表情筋が動的に変えます。表情筋は対称性に動かないものです。非対称性が静的にも定着したら、補充療法も適応します。ヒアルロン酸で対称に近づけました。術前からの問題点でしたが、治したらニコニコしていました。
表情筋のダイナミックな非対称性は`森川の法則`と提唱されていました。森川と言っても父昭彦が学会発表した命題です。
筋は脳が動かすのは当然です。四肢や体幹の筋群は日常動作で随意的にも不随意的にも動きます。見ながら結果を知り得る動作もあれば、例えば考えないで歩いている事もあります。でも脳が動かしているのは違いありません。
顔面の表情筋は、気持ちを表わします。喜怒哀楽は生下直後からありますが、表し方は覚えていきます。例えば赤ちゃんが初めて笑うのは、親が笑いかけたからです。考えていないから対称的に動きます。ところが表情は意図的に造れます。作り笑い、嘘泣き等を覚えていきます。考えて動かすので、脳の片側、考える側、話す聴く側、使う側に依存しますから、非対称性に動かす様になります。通常利き腕側と70%相関します。話す聴く左脳にも関与するので右がよく動く事が多いのでしょう。これを父は患者さんを見ながら統計を取ったのです。しかも美容外科学会で発表したのですが、聴衆は誰一人反応せ図、「何言ってんの?。」との声も聴かれました。
人間の静的な形態を改善するのが美容外科医ですが、その際に表情筋の機能に伴う動的な形態も考慮しておけばより日常的な形態の良好化が得られる筈です。美容整形屋だった父でも、いや長年人の顔をジロジロ見て来た父だから、いえる学問的考察でした。アッ、私も似た様な世界に陥り始めました。前にも書きましたが、そもそも人の顔をジロジロ見つめる様に教えたのは父でした。来週もう13回忌になります。その後の私の美容外科医人生の多くは口周りの手術に尽くして来ました。もう一つ眼瞼の手術、特に目頭形成を併施した眼瞼切開手術は父と同じく得意分野です。
本症例は良好な経過です。それは患者さんの御陰です。今後ともお互いに楽しみましょう。
と思っていたら、術後3ヶ月が来ました。終診ですかね?
正面像でも近接像でも創跡は見えません。口角の上の点状の凹みも見えません。鼻の下の傷跡=短縮術の傷跡は近づかなければ見えません。もちろん幅は無く、後戻りはゼロです。
斜位像や側面像ではいい雰囲気を魅せています。口角挙上術の創跡は目立たない人です。
可愛くてセクシーな患者さんです。その様なキャラクターの人で美容医療が好きな女性です。今後とも付き合っていきたい人です。
当院では、2018年6月に厚生労働省より改定され施行された省令「医療機関ホームページガイドライン」に遵守しホームページの修正を行っています。
施術のリスク・副作用について・麻酔薬にて、アレルギー反応を起こす場合があります。その場合は適切な処置を行います。・腫れは個人差がありますが、手術直後から少し腫れがあり、翌日がピークで徐々に引いていきます。目立つほどの大きな腫れは1~2週間程度です。・術後のむくみや細かな左右差の改善には、3ヶ月程度かかります。・内出血が起こった場合は完全にひくまでに2週間程度かかることがあります。・感染予防のため、抗生剤を内服していただきます。・抜糸までの間、鼻下を伸ばす表情はお控え下さい。・口唇部の違和感は、2~4週間程度かかります。・手術後2週間は、口を大きく開けることはお控え下さい。・手術直後は、つっぱりを感じることがありますが、2週間程度で改善していきます。・手術当日は、洗顔をお控え下さい。・手術後3日間は、飲酒・激しい運動・サウナ・入浴など、血流が良くなることはお控え下さい。・手術後1週間(抜糸まで)は、鼻孔部位のお化粧はお控え下さい。・ケロイド体質の方は傷跡が残りやすい場合があります。
6月から費用の説明も加えなければなりません。上口唇短縮術は28万円+消費税。口角挙上術は25万円 +消費税。局所のブログ掲載の契約を受けてもらえたら、出演料として20%オフとなります。