久しぶりに来院していきなり、手術のプランを立てた患者さんです。と言っても充分に時間をかけて診察して計測して、手術の適応を検討しました。実は逆に、これまで幾つかの部位を治してきたから、治すべき部位は限られます。そしてだから綺麗で素敵な顔立ちです。今回は一つ、懸案事項を治します。もう一つはアンチエイジングです。
症例は36歳女性。8年来のこれまでの経過は多岐に渉ります。画像を視ればある程度判るので説明は割愛します。今回5年ぶりに来院されました。これまでの結果には満足されているからです。
いきなり、いろいろな治療について相談されました。若年時から他院でも罹り、その後私たちも長らく診てきた患者さんですが、さすがに年齢的に治したい部位が生じたそうです。それと懸案だった顔面と目の窓のバランスも手を付けようとなりました。
今回の再初診時のカルテを見ると、いろいろな面を診察しています。*眼瞼の窓:内眼角間距離32㎜:眼裂横径30㎜:角膜中心間距離65㎜、頬骨最大幅136㎜であり、身長は高いがそれにしても幅がやや大きい。つまり目尻の外側に余白が見られる。目尻を3㎜切開で1.5㎜戻って丁度良いバランスであり、ご覧の様に垂れ目ではあるので水平に切開が適応。*眼瞼ラインはNILT=切らない眼瞼下垂手術=黒目整形が緩んで開瞼低下した。NILTで可能かとは考えられる?。翻転すると瞼板の陥没は見られない。つまりLT法の効果は薄れている。もし切開なら同時は難しく2週間以上空けて。皮膚弛緩が診られるため、中間のラインで切除3㎜。*アンチエイジングとしてJowl liftの適応。頬前の丸みは下垂が診られず頬骨幅を強調してしまうから、こめかみからのリフトは不適応です。口周りは可愛くできているから、下顔面の弛みだけが見える。
上記の診断の下、手術プランを立てていく事になった。#NILT2点法では皮膚余剰が取れない。いつかは必ず戻るので、#切開法も考慮しておきたい希望。#目尻切開は懸案事項だったので先行したい。#アンチエイジングは3Dリフト+コグ糸4本=Jowl lift、ジョウルとは一般用語です。英和辞典で調べて下さい。
今回先ず画像でJowl liftの効果を観ましょう
正面像は撮影距離が違いました。両目尻間の幅で縮尺を合わせました。下顎縁のカーブを視て下さい。Jowl は口角の下のマリオネットラインの外側の膨らみです。頤の丸みの外側の下顎縁にある膨らみが術後は消失して、一様なカーブになりました。マリオネットラインも消失しています。
斜位像では膨らみは判りませんがほぼ直線的な下顎縁になりました。
側面像では術前にJowlが見えます。術後はJowlが無いのですが,Jowlを後ろに引き上げた為にエラ当たりが少し膨らんでいます。
Jowlを持ち上げて無くすには3Dリフトが効果的です。何故かというと、直接Jowlに糸を出して引っ掛けるからです。フェイスリフトは耳介の周囲を切開し、SMASを縫縮して皮膚切除をするのですが、Jowlまで牽引力が届きません。逆に3Dリフトなら直接引き上げられます。Jowlは皮下脂肪が下垂して来た溜まりですから、3Dリフトは皮下脂肪層を抱え上げる様に挙げられるから有用です。最近ではフェイスリフトの際にも併用します。ただし上の画像で視られる様に持ち上げた皮下脂肪が耳の前に溜まるので、コグリフトも併用します。コグリフトは皮下を数㎜間隔のトゲトゲで引っ掛けて凹凸を平らに出来ます。私はこれをJowl liftとして頻用しています。
続けて眼瞼部画像。
この画像も縮尺と露光に差がありましたので、トリミング時に合わせて、更に両側の角膜の位置を合わせました。明らかな差は定規を当てていないので見えないと思いますが、目の窓の違いは見えます。目尻切開は最大3㎜までにしています。何故かと言うと、眼球は当然球形ですから、目尻を多く切ると眼球は後方にありますから、眼瞼から目尻部の眼瞼が浮いてしまうのが目立つからです。だから私は3㎜以下の切開にしています。敢えて言うなら、目尻切開の適応症例は限られます。でも本症例は患者さんが美容的観点の理解が深いので手術適応です。
近接画像で術前とデザイン画、術直後を比べてみると、何故か目の開きも向上しています。撮影時の挙筋力の入れ方に因るのかも知れませんが、目尻切開は開瞼向上にも寄与し得ます。
目尻切開術にはいくつかの方法があります。皮膚だけ切って縫うと変な形になります。靭帯の縫縮ではやはり眼瞼が浮いてしまいます。因みに本症例の方法は、横に切開してY型の創をV型に縫合します。YをVに治す際に角を焼いて削ります。ご覧の様に角が見られません。
翌日診ると、目尻の形良い。余白が減ってバランスが取れた。創経過順調。術後1週間の抜糸時が楽しみです。
術後1週間で眼瞼部の目尻切開を抜糸しました。まずはリフトの効果から。
下顎縁のラインが骨格のラインを取り戻して綺麗なカーブを魅せています。頤があるからですし、いわゆる逆さ卵型の顔面輪郭を魅せています。これが美人の条件です。
適度にE-ラインより口が後ろにあるから、外人の顔貌なんです。その上顔面の各部品が外人の顔貌なんです。もちろん眼瞼はスラントアイではありません。
そして眼瞼部はたれ目傾向です。その上目尻切開をしたので、顔の幅の5等分が目の窓となりました。
日本人を始めとした北東アジア人はスラントアイです。眼頭と目尻を結んだ線の傾きが、外上りなのを白人がスラントアイと呼びます。本症例は水平です。いわゆるスラントアイではないので目尻切開は下向きにする必要がありませんでした。
ところで左側に眼球結膜下出血を生じました。目尻切開の手術法は皮膚を3㎜切ってからその後ろの眼瞼結膜を同じく3㎜切開します。眼瞼結膜は3そのすぐ外側で折れ返って眼球結膜に移行しています。ですから微量の出血が波及して見えてしまうことがあります。眼瞼結膜下出血は何でもなくても起きることがあり、必ず2〜3週間で吸収されます。
術後1ヶ月で画像を頂きました。
まず眼瞼部ですが、結膜下血腫はもちろん吸収されました。サイズですが、画像上は明らかに大きくなっています。実測値は術前に30㎜だった眼列横径が31.5㎜と成りました。もう後戻りは止まっています。3㎜切開して半分後戻りして1.5㎜の拡大効果は得られました。予定通りで患者さんはお喜びです。
近接画像では形が「よく出来ました!」目尻切開では目尻が角張って横向きの台形になる可能性があります。本症例は全くそのような事がなく、鋭角です。この点もお喜びです。なぜ歳があるのかは不明です。癒着と創傷治癒遷延が原因と考えられるので、眼瞼がよく開く症例は鋭角になるのでしょう。本症例の患者さんは創傷治癒が良いのはこれまでの手術経過で分かっていました。もう一つ目尻切開術後には、まつ毛のない瞼縁部ができるはずですが、本症例の患者さんはまつ毛が長くてまつ毛ハゲ部は見えません。
リフトの効果は充分に保たれています。下顎縁は見事にカーブを描き、逆さ卵型の顔面輪郭が美しいでしょう!?。
患者さんはE-ラインが美しく白人顔なので下顎縁のカーブが美しく作り上げられます。
次回変化がないか?、後戻りはないか?、診ていきましょう。お楽しみに!
そして術後3ヶ月の画像です。
眼瞼のサイズを測れなかったのですが、なんか顔面幅とのバランスが変わり、結果として目力が入って、キラキラしています。たぶん、明るく魅せる外面的美人はタレント性で内面的に美人だからでしょう。患者さんの容貌に対する要望が私の考えと一致して、素敵な患者さんに一粒の味を加えたということでしょうね!
スレッドリフトの効果は後戻りはしますが、程度として少ない方でしょう。下顎円を見ると、右のJowlに凸がわずかに見えますが、左は見えません。撮影角度の問題かも知れませんが、術前の丸い下顎縁がシャープに美しくなったの保たれています。
斜位像でも美しいカーブが見られます。側面像は撮影角度が上からで、何か変な表情になってしましました。実は次回もう一度撮影する機会があります。近々別の眼瞼の手術を予定しています。ブログ掲載の継続はこれから、手配します。お楽しみに!。
その際もう一回画像を頂きました。この後は違う回に書きます。
当院では、2018年6月に厚生労働省より改定され施行された「医療機関ホームページガイドライン」に遵守しブログを掲載しています。 医療法を遵守した情報を詳しくお知らせするために、症例写真・ブログに関しましても随時修正を行っていきます。症例写真の条件を一定とし、効果だけでなく、料金・生じうるリスクや副作用も記載していきます。ブログにも表現や補足の説明を付け加えさせていただきます。
施術のリスク・副作用について:・麻酔薬にて、アレルギー反応を起こす場合があります。その場合は適切な処置を行います。・腫れは個人差がありますが、手術直後から少し腫れがあり、翌日がピークで徐々に引いていきます。目立つほどの大きな腫れは1~2週間程度です。・術後のむくみや細かな左右差の改善には、3ヶ月程度かかります。・内出血が起こった場合は完全にひくまでに2週間程度かかることがあります。・感染予防のため、抗生剤を内服していただきます。・手術直後は、つっぱりを感じることがありますが、2週間程度で改善していきます。・目頭の切開部位は、目やにがでる場所ですので、消毒にご来院下さい。・手術当日は、洗顔をお控え下さい。・手術後3日間は、飲酒・激しい運動・サウナ・入浴など、血流が良くなることはお控え下さい。・手術後1週間(抜糸まで)は、切開部位のお化粧はお控え下さい。・ケロイド体質の方は傷跡が残りやすい場合があります。