”切らない腫れない痛くない”とか言って誘引する美容外科・形成外科の医療機関が横行しています。確かに切らない手術は開発されてきました。でも腫脹がゼロということはあり得ません。ごく軽いだけです。痛くないかといえば、局所麻酔は細い針でも全く痛くない訳ではありません。時には「ゼーンゼン痛くないですう!」と言ってくれる患者さんもいますが、個体間差異の範囲です。
切らない手術で効果は得られます。問題は持続性です。当院の切らない眼瞼下垂手術は、診察後にNILT法の適応が認められれば、見事に結果が得られます。多くの患者さんは「眼瞼下垂は切開が必要といわれたんですけどお〜?」と訴えますが、私は自信を持って、「このフェニレフリンテストの程度までは挙げて差し上げます。」と言い返します。
画像が証明します。正面視での黒目の露出が明らかに増えます。だから黒目整形とも称します。但し、決して黒目(角膜)のサイズは変えられませんからお間違いなく。
NILT法とは、当院のオリジナルすが、真似っこしているクリニックがあり、そこでちゃんと開かなかった患者さんがよく来ます。実は公開していないコツがあるので、真似っこは真似っこに過ぎないのです。そんな患者さんは私がやり直して、まぶたを挙げると大喜びします。本症例は友人が術後の患者さんで、見てみて期待されて、紹介してもらったそうです。そうであれば私も、気合を入れて挙げます。挙げますは目の開きをアップすることですから、見てください。
症例は29歳女性。後天性の二重まぶた。三重だか四重になってきた。LF,Levator function;挙筋機能(正しくは挙筋滑動距離):12㎜で正常下限値。つまり生来開瞼力が弱めで、成長不足と考えられ、重瞼線の乱れも伴う様になったと考えられる。開瞼時に前頭筋が常時収縮し、眉を挙げている。先天性眼瞼下垂症でも後天性眼瞼下垂症でも反射性に不随意に前頭筋が収縮することを説明した。眼裂横径25㎜:内眼角間37㎜:角膜中心間62㎜で蒙古襞は被さり、拘縮も伴う。したがって目頭形成の適応だが、時間が取れない。フェニレフリンテストで開瞼が1㎜増えることから後天性眼瞼下垂症の改善が適応します。つまりNILT法の適応。今回は目頭形成術は見合わせた。
デザイン:乱れた右眼瞼のラインではなく左のラインをマーキングしておいて、LT法で開瞼を強化してからラインを決める予定とした。
画像で見比べましょう。
術前と術直後の両側眼瞼部の画像。目の開きははっきりと向上しました。キリッとします。眉の位置にも注目。
下の列には右眼瞼部の術前と術直後の近接画像。術前は黒目の上特に内側が斜めに隠れています。術後はキレイでしょう?。黒目の上に架かる瞼縁が丸く挙がりました。正面視で上から2㎜以下がちゃんと開いてる感を呈します。
下の列には左眼瞼部の術前と術直後の近接画像。左の方が内側の斜め度が軽かったので、術前と術後の挙がり具合の差が少なく見えますが、全体的によく開きました。重瞼の強さが内側が強いのですが、これは緩みます。キラキラ度は見事です。
今回は術前と術直後を並べて魅せました。術前の弱々しい目元が術直後はキリッと開き、二重もくっきりしました。直後はもちろんやりすぎ感が見られます。二重まぶたを止める力は必ず数週間で弱まりますから、手術で強めに止めます。挙筋の縫縮はフェニレフリンテストで挙がった分は年単位で保てます。術中は局所麻酔が眼輪筋に作用していますから、閉じにくい分開きがオーバーです。数日以内に丁度良くなります。
切らない手術でも、数日はダウンタイムがあります。とは言っても腫脹は軽度で、内出血は稀です。開瞼時の突っ張り感は時にあります。なんと言っても、オーバーコレクション,Overcorrectionによるやりすぎ感が数日あるのが最大のダウンタイムです。
切らない眼瞼形成術は現在2種類が頻用されています。MT法とNILT法です。
MT,Muscle Tacking法は、普通の埋没法重瞼術ですが挙筋(muscle)法なのでこう呼んでいます。当院では独自開発の世界一細い針で麻酔しますから、ダウンタイムは最小限ですが、上の様に強めにすると数日のやりすぎ感を呈します。結び目を埋めるための孔も最小限なので、通常翌日からメイクが可能なのもダウンタイムの最短化に寄与しています。注:タック,Tackとはズボンのタック折り目と同じ意味です。折り畳んで縫い付けることです。
NILT,Non Incisional Levator Tacking法は、切らない挙筋縫縮という意味です。眼瞼結膜側から眼瞼挙筋に糸を通して、縫い縮めて強化します。その上で裏側で結んだ糸を表側に出して、MT法の如く重瞼を作成します。二重まぶたを造らないと狭く弱くなりますから同時にします。上に書いた様に開瞼は強めにしますから、数日は普通に開こうとすると開きすぎています。「いつもより力を入れない様にしていればおかしくありませんよ!。場合によっては下向き加減に過ごしていれば目立ちません。」と言っておきます。覚醒時には不随意に目を開いていますが、随意的にも調節できますから数日間意識すればやり過ごせます
今書いていて思いついた大事なことを書き加えます。開瞼のことです。覚醒時に活動するためには目を開いていたい訳ですが、あくまでも脳が指令しています。自律神経系が司ります。自律神経系とは、交感神経と副交感神経のバランスのことです。交感神経は活動や戦闘(喧嘩や戦争の時も社会的な闘いも含む)、防御反応などの際に賦活されます。副交感神経は逆に安静時の行動、英気を養うための食事や、就眠時に賦活されます。したがって覚醒して活動している間は、交感神経が働き脳が興奮しています。結果的に目を開くのに、交感神経が優位な状態なら、眼瞼挙筋への信号は増えます。興奮するとカッと目が開くのは判りやすい状態だと思います。逆に随意的に目を開こうとすると、交感神経が賦活されます。ところが眼瞼挙筋が働かない眼瞼下垂症の人では、信号が来ても瞼が挙がらないので、もっともっと力を入れようとして電気信号が脳から出まくります。すると信号は他にも波及してしまいます。例えば前頭筋に信号が回ると眉が挙がるのです。不随意に無意識に挙げているので、見えない本人は知り得ませんが、筋肉が常時収縮していると頭や肩が凝ります。さらにこの場合交感神経が常時賦活していることになります。結果食欲不振や不眠、羞明を呈したり、血行障害を起こして色々な随伴症状を伴うことになり得ます。
詳しいことはまたの機会(充分細かいか?)に書くとして、早く一度経過画像を診たいものです。数日が”ヤマ”です。お楽しみに!
術後2週間で画像を頂きました。
今回は開閉画像を撮りました。開瞼はちょうどよく見事です。もちろん眉が上がらなくなりました。重瞼はくっきりしてきれいです。閉瞼時に糸の点は微妙に膨らんでいます。皮下直下にあるから周囲に瘢痕が出来ています。でもこれなら取れません。日常生活で閉じてみせることはありませんよね!。下向きでは見えません。あえて人前で居眠りするときは下向いていましょう。
NILT法では眼瞼挙筋の縫縮度は医師の手加減次第ですから、開瞼には微妙なばらつきが起きます。本症例ではほぼ同じで患者さんは悦んでいます。重瞼は開瞼の程度に依存されますし、結び具合でも微妙にばらつきが生じます。でも左内側のカクっとしたラインは解消してきました。本症例の患者さんはどちらにも満足されています。
蒙古襞は気になりません。それは私が内側をしっかり挙げたからです。目の窓がちゃんと丸く”アーモンド型”になりました。
眉は自然に挙がらなくなりました。患者さんは「ボトックスしたみたいでこんなにできるんですね?!」とびっくりしていました。
何しろ”可愛い”女子です。キャラクターが明るくて優しいのです。この目元がお似合いです。次回ちょっと変わるでしょう。でも落ちないと思います。お楽しみに!
術後1ヶ月で画像を戴きました。
遠近画像を戴きました。上左図は約1メートル、上右図は約50センチですが、近いとレンズを見る際に輻輳して寄り目になるのに、決して気になりません。眼瞼全体が良く挙がっているからでしょう。この距離では重瞼線のカクカクは見られません。
近接画像でも良く開いているのですが、内側方面は外側方面より挙がり足りないと思います。もちろん蒙古襞の拘縮の影響ですが、その件はこれからです。次回術後3ヶ月に検討します。
下に術後3ヶ月です。
とにかく眼瞼下垂状態ではありません。重瞼もキレイに整っています。どうです?。
近接画像を診ると、重瞼は微妙に強弱があります。左眼瞼(向かって右)の内側が強く、比して外側が落ち気味です。でも自然状態でもこういうラインは普通に居ます。少なくとも逆に、内側の開瞼が蒙古襞の拘縮の影響を受けて斜め45度に落ちていっていますから(黒目の上に架かる瞼縁が水平でない。)、その分重瞼が広く強く上がっている方がカーブがキレイです。開瞼の形態を重瞼の形態で補っています。
でも目頭形成を受けるチャンスはなかなか得られません。傷跡が問題なのでなく、1〜2週間のダウンタイムを要するからです。いつかお待ちしています。
当院では、2018年6月に厚生労働省より改定され施行された「医療機関ホームページガイドライン」に遵守しブログを掲載しています。 医療法を遵守した情報を詳しくお知らせするために、症例写真・ブログに関しましても随時修正を行っていきます。
症例写真の条件を一定とし、効果だけでなく、料金・生じうるリスクや副作用も記載していきます。ブログにも表現や補足の説明を付け加えさせていただきます。
施術のリスク・副作用について:・麻酔薬にて、アレルギー反応を起こす場合があります。その場合は適切な処置を行います。・腫れは個人差がありますが、手術直後から少し腫れがあり、翌日がピークで徐々に引いていきます。目立つほどの大きな腫れは1~2週間程度です。・術後のむくみや細かな左右差の改善には、3ヶ月程度かかります。・内出血が起こった場合は完全にひくまでに2週間程度かかることがあります。・感染予防のため、抗生剤を内服していただきます。・手術直後は、つっぱりを感じることがありますが、2週間程度で改善していきます。・目頭の切開部位は、目やにがでる場所ですので、消毒にご来院下さい。・手術当日は、洗顔をお控え下さい。・手術後3日間は、飲酒・激しい運動・サウナ・入浴など、血流が良くなることはお控え下さい。・手術後1週間(抜糸まで)は、切開部位のお化粧はお控え下さい。・ケロイド体質の方は傷跡が残りやすい場合があります。
費用の説明も加えます。NILT法は消費税込みで21万円。ブログ掲載の契約を受けてもらえたら、出演料として20%オフとなります。