ブログに詳しい説明を書いても、難しくて理解できないとの感想が聴かれます。内容に少なからずの専門用語,Technical term が混じっていますが、できる限りかっこ書きや注釈、時には脚注で一般用語に言い換えているので内容は簡単でも、長いから読むのが面倒なだけでしょう。時折、用語の説明が足りないこともあります。お許しいただいて読み飛ばしてください。
過日に家で勉強クイズをしていて、私はごちゃごちゃと派生する知識を披瀝していました。やはり長男や次男に「相変わらずうんちくばかりうるさいなあ！。」と疎まれ、私は「ブログなんかもっとうんちくだらけだぜ！。」と切れました。妻が「ブログばかり書いていて仕事してんの？」と混ぜかえすから私「日中は手術しているかブログ書いているかばっかりだ。大変なんだけれどこれが食扶持なんだから！。」と言ってみて冷静になり、でも書くのは知的作業。切るのは肉体労働、でも頭脳労働も要るのだと自分を褒めながら考えてみたら、ブログを書くのに時間は要していないのです。頭の中からサラサラ文字が出てくるのをキーボードで打つだけです。
ブログの説明は症例ごとの患者さんに対しての説明にもなります。予めブログ内の説明を読んできてくれる人が多くいらっしゃいます。読者の皆さんというか私に罹る患者さんにとっては、予備知識となります。多くの初診患者さんが「ブログに書いてあった通りの診察内容なんですね。丁寧に時間をかけ下さって有り難うございます。ところで私はどのようにしてもらえますか？。」との順で、話しながらの診察と検査が進みます。その後は考えたデザインでシミュレーションしたら、患者さんも私も、見た目の結果が予想出来て「この通りに出来上がるでしょう！。」と鏡を見せると、患者さんは「わあ〜いいですねえ〜！」と胸を躍らせます。ブログを読んでから来院された患者さんに対しては、若干の診察時間の短縮が生じます。用語を噛み砕いた説明の必要性は減る分一単語当たり数秒短くなります。
本症例の患者さんは外国出身で人本在住。日本語は堪能ですが、ニュアンスが伝わらない診察でした。でも、ブログを見てきたので予備知識が入っていて、初診後直ちに理解されて手術に到りました。画像が寄与しているかも知れませんが、とにかく治したかったからでしょう。
症例は３８歳女性。口角が下がっているのを気にして来院。人中部の白唇も２０㎜と長いが、子供に怒っていると言われるのが嫌なので、口角から検討したい。内眼角間３２㎜：鼻翼幅３６㎜：口唇幅４７㎜で黄金分割比率で計算すると、７㎜増大が適応なので５４㎜目標で４５度５㎜の適応。５÷√２＝３．５で横に口唇は７㎜増大、上に３．５㎜挙がる。白唇は気になったなら考える。
画像は術前から術直後を各方向別に並べます。
上左に術前画像、右は笑ってもらいました。縮尺を黒子の位置で合わせました。すると判るのですが、笑うと鼻と口唇が横に引かれるのですが、口角は挙ります。この画像を頭に入れて下の画像を見ましょう。
上左図はデザイン直後：口角から斜め４５度方向に頂点を決め、上赤唇縁に鼻翼基部直下までの切開線。結んで三角形の切除部。下赤唇縁には長めに切開線。
上右図は術直後：デザイン画の三角形が無くなって、口角がそこに動きます。今回の挙上量では笑った時ほどは動いていません。でも笑える様になれば優しい表情になるし、口角が下がっていないと、笑っていなくても、怒っている表情には見えません。子供さんにいやがられないでしょう。良かったですね。
上に近接画像の術前とデザイン後。
今回、術中にも一枚撮りました。上左図は左右共切開し、右側の三角形の皮膚、皮下脂肪だけを切除した時点です。欠損部の底は口輪筋です。欠損部の頂点はデザインの通りです。ここに口角の赤唇と口輪筋を縫い付けます。上右図は手術直後です。ちゃんとその位置に口角が移動しました。
術前と術後の斜位像と側面像。３次元的に見ると口角の位置は挙がっただけでなく、横に拡大しただけでなく、後ろにも移動しています。口唇の湾曲は長い方が綺麗で自然です。
下には手術翌日の画像。
通常人間の創傷治癒課程として、４８時間までは腫脹や内出血や疼痛が亢進する筈ですが、本症例は手術翌日の診察時に大した事がなかったのです。良かった。
カルテの記載です。POD(Post Operation Day)#1:内出血は無い。外出血はあったが拭いていたら止まった。疼痛も無い。運動痛は軽度で重い感じ。腫脹は軽度。痛くない行動範囲で暮らす様に指示。開口は1横指：指の幅を縦に入れて計測の参考値にします。次週術後１週間で抜糸時には何横指入るでしょう？。
術後１週間で抜糸しました。
翌日には顕在化していなかった左白唇部の内出血がうっすら出て来ました。腫脹はもう引き始めています。挙がり具合は丁度良い自然な位置です。近接像ではちょっとだけ口角を挙げてくれました。周囲には気付かれなかったそうです。「口角炎みたい。」と言って済ましたそうです。それもそうだ！、創傷治癒が早い症例です。創跡が判らないでしょう？。口角の上の点も目立たないと言う話しでした。
斜位像でも側面像でも創が目立たない症例です。斜め上から見ると口角が自然に挙がっています。
本症例は経過良好でお悦びです。次回術後数週間にも創跡が悪化しないでしょう。肥厚性瘢痕は術後３週間から発生する事があります。無いでしょう！。お楽しみに！
術後２週間の画像を戴きました。
本症例の患者さんは創跡が綺麗になります。今回の撮影時にはノーメイクです。上下赤唇縁の傷跡は口紅を書いて隠しましょうと申し上げたのに不要でした。
斜位像や側面像で見ても口角の挙上は優しく見えます。ご覧の様にE-ライン(鼻尖〜口唇〜頤)が一直線状にあり整っているからです。見事な手術選択です。いやそれは患者さんの勝利です。
術後１か月が参りました。
形態的に予定通り効果的です。術後１か月は肥厚性瘢痕の起き得る時期です。一見すると余り目立ちませんが、左下口唇縁の傷跡は１㎜以下でも幅が出来ました。狗縮も軽度ですが開口は２横指で突っ張り(狗縮感)あるようです。しか診療の予定が合ったそうですが見合わせる様に指示しました。治らなければ来月注射しましょう。また拝見出来ます。また右口角部は肥厚性瘢痕が診られませんが、最下点に粒があります。縫合時の余剰でしょう。３か月経ても収縮しなかったらCO2LASERで焼き飛ばします。
斜位、側面像でも口角が挙がると表情に反映します。
遂に術後３ヶ月です。完成！と言いたいところですが・・。
口角が綺麗に挙がって、良い形で、子供にも怒っていると言われなくなったとお悦びです。しかも周囲には気付かれないそうです。ちゃんと挙がったからですと自負しました。ばれないのは、口角挙上術は表情を造る手術ですから、静的な形態変化はばれません。動的にいつも笑顔(怒っていないという気持ち)を呈している様に見えるだけです。
ところが本当に動的に笑ったり口を開くと・・、この画像ではよく判りませんが、左の傷跡が白く突っ張る。ピンとひも状に硬い＝肥厚性瘢痕を呈しています。右は見えません。その目で静的な上の近接画像の口角部を診ると、下赤唇縁に赤い帯状の肥厚があり、口を開くと白い帯状が見えました。肥厚性瘢痕が狗縮しています。
右斜位像では肥厚性瘢痕は見えません。左側面像では口角は見えません。今回は左斜位像も載せました。よく見ると赤い帯が見えます。直ちにケナコルトを注射しました。軟らかくなれば開口時にも突っ張った白い帯は出来なくなります。もう一回効果を診ましょう。
当院では、2018年6月に厚生労働省より改定され施行された省令「医療機関ホームページガイドライン」を遵守し、ブログに定型的説明を加筆しています。
施術のリスク・副作用について・麻酔薬にて、アレルギー反応を起こす場合があります。その場合は適切な処置を行います。・腫れは個人差がありますが、手術直後から少し腫れがあり、翌日がピークで徐々に引いていきます。目立つほどの大きな腫れは１～２週間程度です。・術後のむくみや細かな左右差の改善には、３ヶ月程度かかります。・内出血が起こった場合は完全にひくまでに２週間程度かかることがあります。・感染予防のため、抗生剤を内服していただきます。・抜糸までの間、鼻下を伸ばす表情はお控え下さい。・口唇部の違和感は、2～４週間程度かかります。・手術後２週間は、口を大きく開けることはお控え下さい。・手術直後は、つっぱりを感じることがありますが、２週間程度で改善していきます。・手術当日は、洗顔をお控え下さい。・手術後３日間は、飲酒・激しい運動・サウナ・入浴など、血流が良くなることはお控え下さい。・手術後１週間（抜糸まで）は、鼻孔部位のお化粧はお控え下さい。・ケロイド体質の方は傷跡が残りやすい場合があります。
６月から費用の説明も加えなければなりません。上口唇短縮術は２８万円＋消費税。口角挙上術は２５万円 ＋消費税。局所のブログ掲載の契約を受けてもらえたら、出演料として２０％オフとなります。
