2020 . 6 . 8

オリジナルの口周り3点セット。その目的をもう一度お教えします。上白唇短縮術+口角挙上術+鼻翼縮小術内側皮弁法。

加齢性に白唇は伸展していきます。生来長い人もいますが、加齢で余計に気になります。もちろん輪郭や骨格も影響します。伸展率は多くの人を経年的に診てきた私は計測によって概ね把握しています。10年で約1㎜の伸展がみられます。生来長い人は加齢顔貌に見えるし、間延びした印象を呈するから短縮したくなります。加齢に伴う伸展は笑っても歯が見えなくなる残念な表情も起こしますし、もったりした口元は野暮った見られます。この様にいろいろな面で白唇短縮術の適応は広い様です。なお唇は赤い部分だけを言うのでなく、その上の皮膚の部分も唇です。鼻の下の言うのでは解剖学的な部位を示しません。洋語ではWhite lip,白唇とVermillion,赤唇と称します。

白唇短縮術は皮膚と皮下脂肪を全層切除して口輪筋を露出します。その後口輪筋を折り畳む様に縫合すると(これが筋肉処理です。)、C−カール=外反が出来ますし、赤唇の露出が増えます。これは私のオリジナルです。また、白唇が伸展な人や歯槽骨の形態が平板な人は、白唇と赤唇の中央部付近の構造が単純になっていることが多く、つまり人中が浅く幅広で、Cupidの弓(山ではない)が直線化していて、口唇結節(赤唇の中央の尖り)が貧弱で上口唇が帯状になっている人に対して、私は作成する様にお勧めしています。鼻柱基部の縫合時に、ミリ単位で寄せてあげると、人中の幅が狭く深く、弓のカーブがはっきりして、口唇結節が前に出てセクシーな唇になります。口唇は擬態ですから形がはっきりしていた方がセクシーになります。これも私のオリジナルです。

白唇短縮術は両側の鼻翼の間を全て同じ幅に切除して垂直に引き上げます。斜めに挙げられません。すると、鼻翼の下から外側の口角にかけては挙がりません。結果として相対的に口角が下がります。術前のシミュレーションで判ります。その際は口角挙上術をお勧めします。

私の行う口角挙上術は、上下赤唇縁を切開して、口角部の赤唇を丸ごと上に引き上げます。口角の上に新たな口角に位置を決めて、その間の白唇を三角形に切除して口角を縫合します。ここがポイントで、新たな口角の位置=切除する三角形の頂点ですが、この方向を角度を選べます。斜め横に吊り上げれば、口唇の横幅を増大できます。これも私のオリジナルです。

ところで、白唇の長い人は鼻翼の幅が大きいことが多く、上に書いた様に口角挙上術を要するかの診察時には、鼻翼幅との比率も重視しますから、鼻翼の縮小を求められることがあります。これもなんども書きましたが、鼻翼縮小術には内側に寄せる方法と外側を切除する方法があります。張り出しがあるか幅があるかで使い分けるべきです。圧倒的に(75%)幅を小さくするべき症例が多くいのに、外側を切除してペチャットとした鼻翼にしてしまう診断ミスの美容外科医が横行しています。それはそれとして、幅を寄せる方法としては、糸では確実に後戻りします。内側の切除縫合でもです。最も後戻りが少ないのは皮弁法です。内側の粘膜を切除するのではなく、弁状に残して鼻中核の下にトンネルを作って両側の皮弁を縫い合わせます。縫合後引っ張ってみるのですが、全く拡げられません。

しかし後戻りがないのはいいのですが、鼻翼幅を縮小すると白唇が膨らみます。折角白唇を短縮しても膨らんでは元も子もないことになります。そこで、同時にすれば白唇が膨らまない様に出来ると考えました。まず白唇部を切除して、縫合せずに鼻翼縮小術を終えます。その時点で見ると、白唇短縮術の上の創縁も短縮していて、縮めた分下の創縁と長さに差ができています。その後縫合時に垂直に縫合していくと白唇は膨隆しません。あとは鼻翼横の縫合ににつじつまを合わせて縫っていきます。一回に二つの手術を同一術野に施すので侵襲が多く腫脹は強いために、結果的に術後数日は膨らみますが、治ってみると素晴らしいバランスが造れます。鼻翼幅縮小術皮弁法は20年来の友人のH.医師(*脚注)から教わりましたが、白唇の膨隆を来さない様に白唇短縮術と鼻翼幅縮小術を同時に行うのは私のオリジナルです。

なお、傷跡は癒合時にコラーゲンが創縁間に析出して収縮しますから、創縁縁間の幅も縮まりますが、収縮は創の線の方向にも縮まります。微々たるものですが、術後白唇の長さは計算上より最大1㎜少ないこともあります。鼻翼幅縮小術を併施すると横にも縮まり鼻翼幅が計算値より最大1㎜数ないこともあります。これは副産物です。副作用ではありません。

実は久し振りの組み合わせ手術です。何故かと言えば第一に費用の問題。第二に侵襲が増えるからダウンタイムが長くなる。第三には手術時間を要するのでなかなか手術枠が取れないからです。でも必要なら、または希望があれば敢行します。人中部を含む上白唇短縮術は、私の十八番になりつつありますが、別に私は専門家ではありません。私は美容形成外科30年以上。父の下で観て来たので50年以上の経歴があります。でも逆に、手術的治療に特化してきました。何故なら、私は市中のチェーン店の美容整形屋とは比較の対象にもならない経験値を経て来ましたし、形成外科診療の修練も受けているから学術的に真面目に取り組んできました。最近の何とかミクスの経済効果で美容医療は幅広くなりましたが、インターネットの子供騙しの情報や、医学的(科学的)裏付けの乏しい似非科学療法が横行しています。気をつけましょう。

私の父は美容整形の走りで昭和36年に開業しましたが、元々胸部外科医で美容医療の知識等無い時代。それどころか形成外科が無かったから医療とは観られずに、私は学友に「お前のお父さんは薬剤師(ヤクザ医師をもじった揶揄)と罵られて子供心に悔しい想いをしました。私は「大人になったら普通の医師と同じ様な尊敬される医師になろう。」と念じて、その通り医師になってから形成外科で修行しながら、父の下で美容外科診療も学びました。残念ながらどちらの素養も身に付けている美容医療医は日本に100人も居ません。だから昨今ヤクザ医師の様なまがい物が増えたのでしょう。そういえば今、ヤクザ政治家や国民軽視の詐欺政治家が増えたのと同類なのかも知れません。時代は逆行しています。

上段に手術の細かい説明を書き連ねましたし、またぞろ余計な苦言を呈してしましました。各症例に何をするべきかは診察所見に従って選択されます。手術法(治療法)の選択のために診察と計測と検査をします。下にカルテから書き出します。

症例は53歳女性。白唇長20㎜。E-ラインより口が4㎜前方。上顔面62㎜:中顔面55㎜:下顔面68㎜でしたが長い。なかでも上口唇29㎜:下口唇39㎜で黄金比率より上が5㎜長い。また上白唇が内反していてC-カールがしっかり欲しい。人中が幅広でCupidの弓がなだらかでダラッとしている。縫合時に鼻柱基部の人中の上端を1.25㎜ずつ寄せて形を造る。内眼角間32㎜:鼻翼40㎜:口唇49㎜で鼻翼は36㎜を目標目標とし、黄金分割比率で計算して口角は横に2×2=4㎜増大して上に4.5㎜挙げたいから、斜め上25度方向に5㎜挙上の予定。鼻翼は中央部を36㎜まで皮弁法で寄せる。

画像は各方向の術前とデザインと術直後を並べます。

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正面像で上左が術前。口の幅があり、白唇が長く、鼻翼幅がある。これに対してデザインを上中図の如くは上の計測に基づきます。鼻の中に向かって縦に切除するのはNostirl sillだけで中には皮弁を造ります。上右図が術直後。鼻翼の幅は明らかに小さく(実は後戻りを加味して35㎜にしています。)、口の横幅は52㎜に拡大しています。白唇が短縮してしかも内反が解消しているのでスッキリしているのは当然です。

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近接画像でもよく判ります。特に赤唇縁の弓が急で狭く唇らしい形です。口角は水平でしたから、口角挙上術を併施しないと意地悪なへの字口になります。よく挙がったでしょう?。

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下面像でデザイン画を視ても、鼻翼縮小術内側皮弁法のデザインはNostril sillしか見えません。じゃあどうやって手術するのかと言えば下からライトを鼻孔内に当てます。更にヘッドライトで私が視ます。術後のNostril sillの創は目立たないですね。

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上左から術前の右斜位像、左側面像、術直後の右斜位像、左側面像。白唇の長ったらしさは立体的に改善されています。口角の位置もよく判ります。

翌日診た際には鼻翼幅36㎜に留まっていました。

術後1週間で鼻翼横以外は抜糸しました。

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翌日診察した際に後出血したことを心配されていましたが、翌々日には止まり、その翌日からマスクで隠しながら社会復帰されたそうです。画像で診られる様に、結果的に外出血が止まったら、内出血が広がりました。次週には吸収されるでしょう。

鼻翼幅は38㎜まで後戻りが診られました。患者さんは仕事に復帰していたそうで、しかもその場面ではよく笑う人だそうです。「だから引っ張ったので戻りが起きたのでしょう?。」と患者さんがまた笑いながら仰る。私は残念な気持ちを抑えて、両側の鼻翼を横に引っ張ってみました。 さすがにこれ以上は拡がりません。〔一回表情筋に負けて、2回目は手術の技が勝った。〕と、心の中でホッとしました。もう後戻りは止まるでしょう。

鼻翼の付け根の糸は画像では分かりにくいのですが、残しています。次週全抜糸の際ににも画像を頂けます。お楽しみに!

下には術後2週間の画像。

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鼻翼の横の糸を抜糸しました。引っ掻くので赤くなっています。最近は2週間置いています。鼻翼横の創は両辺の創縁の長さが違う為に癒合が遅いので癒合が完成してからにする為です。結果糸の跡の凹凸が出来ていますが消えます。

形態は満足です。患者さんの表情に余裕が看られます。後は機能回復ですが、もう既に開口はフルに等しい様です。笑うと痛いのは普通ですが、よく笑うそうです。

IMG_6245IMG_6247術前と比べ口元が優しい雰囲気です。

本症例はE-ラインよりも口が前方にあるのと、鼻翼縮小術皮弁法を併施したので腫脹は多めです。従って機能的にも治癒は先になるでしょう。次回術後1ヶ月で何が変わっていくかお楽しみに!

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Cupidの弓がはっきりと弓型(山型)になり、結節(上赤唇中央の膨らみ)が前向きになって可愛い。私思わず「可愛いですね!。」と洩らしたら、患者さんは恥じらう様に微笑んで帰られました。

傷跡はどんどん目立たなくなって来ています。口角の横の凹み、鼻翼の横の凸も縮小中です。

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鼻翼の幅は36.5㎜と術後の最大値38㎜より収縮しています。創を癒合させるコラーゲンタイプⅢが収縮しているのです。術後3ヶ月でコラーゲンタイプⅠに置き換わるまでこの作用は続くでしょう。次回の診察と計測が楽しみです。

次回と書いたように、その後の経過観察は緊急事態宣言下では、自粛されました。術後約4ヶ月半で来院されました。ありがとうございます。

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鼻翼幅は37㎜で定着しました。人中部の白唇の長さは14.5㎜で計算状20㎜ー5㎜=15㎜よりも短縮しています。口唇の横幅は53.5㎜で三角関数の計算通りです。

傷跡は目立たないと云われました。形態と機能が満足です。

IMG_9263IMG_9265E-ラインより口が前に在っても、白唇が短縮し、口角が挙がると品が出ます。術後数ヶ月を経ていますから、口を閉じる際に上口輪筋も効く様になりましたから、下口唇に無理に力を入れない様になりました。

患者さんは喜んでいます。

当院では、2018年6月に厚生労働省より改定され施行された省令「医療機関ホームページガイドライン」に遵守しホームページの修正を行っています。

施術のリスク・副作用について・麻酔薬にて、アレルギー反応を起こす場合があります。その場合は適切な処置を行います。・腫れは個人差がありますが、手術直後から少し腫れがあり、翌日がピークで徐々に引いていきます。目立つほどの大きな腫れは1~2週間程度です。・術後のむくみや細かな左右差の改善には、3ヶ月程度かかります。・内出血が起こった場合は完全にひくまでに2週間程度かかることがあります。・感染予防のため、抗生剤を内服していただきます。・抜糸までの間、鼻下を伸ばす表情はお控え下さい。・口唇部の違和感は、2~4週間程度かかります。・手術後2週間は、口を大きく開けることはお控え下さい。・手術直後は、つっぱりを感じることがありますが、2週間程度で改善していきます。・手術当日は、洗顔をお控え下さい。・手術後3日間は、飲酒・激しい運動・サウナ・入浴など、血流が良くなることはお控え下さい。・手術後1週間(抜糸まで)は、鼻孔部位のお化粧はお控え下さい。・ケロイド体質の方は傷跡が残りやすい場合があります。

6月から費用の説明も加えなければなりません。上口唇短縮術は28万円+消費税。口角挙上術は25万円 +消費税。鼻翼縮小術内側皮弁法は28万円+消費税。局所のブログ掲載の契約を受けてもらえたら、出演料として20%オフとなります。局所のブログ掲載の契約を受けてもらえたら、出演料として20%オフとなります。

*脚注:他院の事を書くと軋轢を生じるので、控えて来ました。ウッソ〜!チェーン店の批判ばかり書いてんじゃない?。と評判だそうです。それは彼等に向けた非難ではありません。日本では間違った政策で特殊標榜制度がまだ成立していません。麻酔科だけです。各標榜科目の学会が認めた専門医だけが各専門科を標榜(広告や看板を掲げる事)出来る制度ですが、形成外科は現在制度整備中で、美容外科は目処が立ちません。欧米では美容外科,Aesthetic or Cosmetic surgeryと形成外科,Plastic surgeryが同一の国がほとんどで、形成外科専門医でなければ美容外科を開業出来ません。日本はどうでしょう!。形成外科の修練を経ずしていきなり新人時代から美容外科に入職したり、他科の診療をしていた医師を雇ったりして見よう見まねで診療させます。医師特に外科医は徒弟制度とみられがちですが、チェーン店ではそもそも教授や講師陣は在籍しませんから学問的な知識を学ぶ暇等持ちえません。だから自分本位の学術的裏付けの無いビジネスに走ってしまうのです

この脚注はRクリニックのDr. H. との仲を書こうと思ったのですが、鼻翼縮小術の別の回に廻します。もう一人の友人VクリニックのDr. F.とも仲良しです。