2020 . 7 . 15

男性の眼瞼形成術:先天性前葉性眼瞼下垂症(一重瞼)には蒙古襞の狗縮を伴います。

「目は口ほどにものを言います。」対面する相手の目を見ると気持ちが伝わります。だから目力とは有用です。もちろん視線を合わせるためには視力が求められますが、眼球の大きさには個体差がほとんどないので、黒目と白目の露出面積は眼裂の大きさ、つまり開瞼の能力に依存します。角膜(黒目)は平滑なので光るから、キラキラと角膜が露出したら、相手は真面目に対応していると感じます。ならば社会的に差が付くから、男性こそ開瞼の大きさは重要です。

開瞼の程度は一応基準があり、第一眼位(顔面正立時の正面視)で、瞼縁と角膜中心が2.5㎜以上を正常としますが、前葉性か後葉性かで測り方が違います。何より顔の周囲とのバランスで、眼瞼も考えるべきです。男性は標準的に顔が大きいので目も大きい方がバランスが取れます。

眼瞼下垂手術で目を開かせたら、眼裂横軽も合わせるべき症例が多く存在します。何しろ遺伝的に決定されていますから、日本人では、目力がある人と弱々しい目元の人の二種類にほぼ分けられます。先天性一重まぶたでは蒙古襞が被さり目が小さく、つり目の人が多く、二重まぶたでは軽度です。私は来院者ほぼ全員の計測をしてきて統計も取りましたが、内眼角間距離にして平均3㎜の差があります。

蒙古襞は目頭に被さって眼裂横径を減少させますが、本態は突っ張りです。蒙古襞は下眼瞼に停止していますから、Bow string, 弓の弦状になって突っ張ります。つまり目頭が下を向いていますからつり目の原因になり、これは逆に人相的にキツく意地悪そうに見えて、目力を相殺します。

毎回説明してきましたが、目頭は蒙古襞の拘縮を解除しながら蒙古襞をどけて、内側の白目を露出させて、内眼角間を寄せる効果を同時に得られる手術法デザインを適用するべきです。これまで便宜的に行われてきた目頭切開手術法では満たされません。その点で現在Z−形成法に勝る方法はないと言っても間違いではないでしょう。ただし形成外科の知識と技術を研鑽してきた医師にしかできません。私たちは形成外科医療と並行して美容外科診療を推進してきましたから、日本でも数少ない美容形成外科医です。SNS上を検索するとZ−形成法を載せているのは数院に限られます。そりゃあそうです。チェーン店系の美容整形屋には勉強の機会はありませんからできないのです。さらに言えば非形成外科医は眼瞼下垂手術もまともにできません。あえて言えば、彼らには広告宣伝しかできません。

なんと言っても結果が得られます。術後経過を経つと、患者さん自らが、女性なら「綺麗!。」と表現しますし、男性では「目力が入って決まったな!。」と表現します。私も携わっていて美容形成外科医冥利に尽きます。では画像を見ていく前に症例説明から。

症例は28歳男性。2年前からデスクワークに就いたが、後頭部が痛くなるのが酷くなった。いろいろ調べて眼瞼下垂症を疑い当院を受診した。診察すると、先天性一重まぶたでシワだけできている。まず前葉性眼瞼下垂症は存在する。LF, Levator Function:挙筋活動距離は13㎜で先天後葉性眼瞼下垂はない。フェニレフリンテスト:目薬で挙筋収縮力をアップさせると瞼縁はよく挙がることから後天性後葉性眼瞼下垂症はある。皮膚はかぶさるから前葉性が主体。

前葉性なら蒙古襞の拘縮を伴なうと考えられるため、計測すると、眼裂横径27㎜:内眼角間(二重まぶたでは平均値33㎜)38㎜:角膜中心間(男性の平均値65㎜)65㎜で、眼球は離れていないのに目の間が離れているのは蒙古襞の拘縮が強いためと診断された。蒙古襞は被さりが多いほど拘縮が強いので、前葉性眼瞼下垂症の要因になるため、目頭形成の適応と言える。三角関数で計算して一辺4㎜60度のZ-形成術で眼裂を3㎜近づける適応と考えられた。

通常は診察しながらそれぞれの要素に対して、念を押すように治療法を提示していきますが、患者さんはブログも見ていてよく理解されているために、自ずから手術法が決まっていきました。ブログに載っているのは主に、切開法眼瞼下垂手術に目頭形成術の併施です。この組み合わせが多いのは確かで、自費手術で20%オフになるモニター症例=ブログ提示を希望する症例が集中しているためです。だから”いつものやつ”はこの手術がほとんどですが、他の治療も多く行っています。

術直前に診察し確認します。切開し切除は幅3㎜、LT, Levator Tucking 法:結膜側から挙筋腱膜を瞼板に固定する方法。重瞼線は何本もあるが画像で見られるような主な4本の中で、下から2本目で切除3㎜が自然界に良くある形と考えられた。

まず術前、実直後の画像を診ていきます。

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術前の遠近二葉。開瞼しても瞼縁=まつげの根元が見えない。重瞼線というかシワが多数。

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デザイン画とZ−形成の拡大図。重瞼線は下から二番目で瞼縁から6.5㎜。切除幅は3㎜を眼裂全長に同じ幅。目頭部でZ−形成の上の辺に止める。目頭Z−形成術のデザインを拡大図で見ると、図の左側術前は左眼瞼の目頭にある。図中a-b辺は蒙古襞の稜線に置きます。拡大図右は術後像。左のa-b辺は4㎜で術後には計算上7㎜になります。つまり蒙古襞の突っ張りが緩みます。c-d辺は7㎜が4㎜に3㎜短縮します。つまり蒙古襞が1.5㎜どきます。両側で3㎜内眼角間が縮まります。

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術直後は腫脹で怖い画像です。患者さんは疲れて開瞼の向上が判りません。

そこで左右共、近接画像を術前、術直後で比較してみます。近接画像ではカメラを見つめるので眼を見開いてくれます。

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上に右眼瞼。黒目の露出が確実に増えています。内側の白目の露出もですが、赤肉(涙湖)が全露出することはありません。眼裂の縦横のバランスが整いました。開瞼は見事ですが、挙筋固定は2本ですから瞼縁に2点カクっとした点があります。必ず解消します。

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上に左眼瞼。この時は下方視していて開瞼の向上が写りませんでした。

今回は術前、術直後の画像を比較しました。抜糸時には術後経過がどうでしょうか?。

そして術後1週間で抜糸した直後の画像です。

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遠近載せます。左の遠景(といっても約1m)でも、意識しないでも目を見開いています。近景(約50㎝)では目値からを感じます。そして内側の白目が綺麗に露出しています。

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近接画像では見事な目の窓が診られます。所謂アーモンドアイです。紡錘形のことですが、術前は吊り目で細目だったのと比較すれば、自然で社会的に受ける目元です。

私も抜糸しながらしつこく強調してしまいました。「これは目力が入って誰からもいい男に観られるよ!。」「社会性です。」「男なんだから社会で認められる様になるよ!。」とベラベラ話していました。そして、「創跡は今より赤みが出て来るかも知れません。男性だからメイクで隠せないでしょう?。」「女性だったら抜糸したらメイクで隠せるけれど。」と訊くと、患者さんに「コンシーラ−使ってもいいですか?。」と訊かれます。「もちろんです。」と同意して、しまいには「こんな事ばかり訊いていて、うるさいでしょ?。でもこれも診療です。形態と機能が変わったら社会的機能も変わります。でもこんな内容をブログに書いていいですか?。」と訊くと、患者さん「何書いてもいいですよ。こんなに良くして下さったのですから。」と悦んでいました。しかも瞼縁が丸く見えるので「カクカクしなくて良かったですね。」と私も悦ぶと、患者さんも「経過が良くて有り難いです。」と更に悦んでいました。考えてみたら確かにこんなに経過が早いのは、男性だからでしょう。

だから書きましたが、実はまだ術後1週間です。まだ腫れています。それに創跡は一度赤くなります。術後1か月ではどの程度落ち着くでしょうか?。お楽しみに!。

当院では、一昨年に厚生労働省より改定され施行された「医療機関ホームページガイドライン」を遵守しブログを掲載しています。

医療法を遵守した情報を詳しくお知らせするために、症例写真・ブログに関しましても随時修正を行っていきます。症例写真の条件を一定とし、効果だけでなく、料金・生じうるリスクや副作用も記載していきます。ブログにも表現や補足の説明を付け加えさせていただきます。

施術のリスク・副作用について:・麻酔薬にて、アレルギー反応を起こす場合があります。その場合は適切な処置を行います。・腫れは個人差がありますが、手術直後から少し腫れがあり、翌日がピークで徐々に引いていきます。目立つほどの大きな腫れは1~2週間程度です。・術後のむくみや細かな左右差の改善には、3ヶ月程度かかります。・内出血が起こった場合は完全にひくまでに2週間程度かかることがあります。・感染予防のため、抗生剤を内服していただきます。・手術直後は、つっぱりを感じることがありますが、2週間程度で改善していきます。・目頭の切開部位は、目やにがでる場所ですので、消毒にご来院下さい。・手術当日は、洗顔をお控え下さい。・手術後3日間は、飲酒・激しい運動・サウナ・入浴など、血流が良くなることはお控え下さい。・手術後1週間(抜糸まで)は、切開部位のお化粧はお控え下さい。・ケロイド体質の方は傷跡が残りやすい場合があります。

費用は眼瞼下垂症の診断が得られれば保険診療で3割負担は約5万円(出来高請求です。)目頭形成術は角膜に掛かる程でないと保険は適用出来ません。自費で28万円+消費税。