2021 . 1 . 12

前葉性眼瞼下垂症にも後葉性眼瞼下垂症にも蒙古襞の拘縮を伴います。

これまた可愛い女子が、眼瞼をさらに可愛く改良したくて来院されました。売れっ娘みたいです。眼瞼下垂症は、先天性と後天性。前葉性と後葉性に鑑別します。そして一重まぶたは先天性前葉性眼瞼下垂症とイコールですから、蒙古襞が被さり、拘縮して突っ張ってつり目を呈します。

私のブログに載っている眼瞼形成術の典型的な症例は、一重瞼(奥二重は一重)と言う先天性前葉性眼瞼下垂症に対して切開法の重瞼術で固定し、軽度の先天性後葉性眼瞼下垂症に後天性後葉性眼瞼下垂を伴っている場合には結膜側からの眼瞼挙筋前転法(LT法)を加え、多くは蒙古襞の狗縮に因る吊り目を呈している為に、Z−形成法に依る目頭形成(この場合切開切除はしないので正しくは目頭切開でない)を併施します。

女の子らしさはパッチリとした目の開きとクッキリした二重と丸くアーモンド型の目の窓が必須です。本症例の患者さんはこの三つのポイントを知っていて、ブログに載っている多くの症例を視て私に罹りました。上記の用にこの様な症例がメインイベントですから沢山載っています。

毎回書きますが、蒙古襞は東アジア人の特徴で、遺伝子が発現しています。日本人はモンゴル系の東アジア人と南アジア人の遺伝子が混じっていますから、二重瞼と一重瞼は約半数ずつで、蒙古襞の程度は連続的に軽度から重症まで様々ですが、日本民族では必ずあります。蒙古襞は目頭部の皮膚の被さりですが、下眼瞼に連続して突っ張って(狗縮)しているので、目の内側の前葉成分が挙がらない為に吊り目になります。

これも何度も書いて来ましたが、蒙古襞の狗縮程度は被さりに比例しますから、内眼角間距離を計測すれば手術適応が判ります。一重瞼に伴う蒙古襞に依る内眼角間距離の乖離は二重瞼に於ける内眼角間距離に比べて平均3㎜の差があります。私はほぼ全ての患者さんを計測して統計を取ってきましたから学問的に判明しています。

そして蒙古襞の狗縮が判明したら、目頭形成を適応するべきです。切り取るだけでは狗縮は解除出来ません。いや更に創跡が狗縮して悪化します。未だに多くの非形成外科医の美容整形屋が間違った手術法を押し付けるので残念です。私は今から15年前からZ−形成術を駆使しています。学会発表もしました。当院に入職した12年前からは、私も池田先生も、目頭切開手術はZ−形成法に依る目頭形成術しかしません。

Z−形成術は狗縮の解除を目的とします。形成外科医の基本手技です。他科医は知らないか、やった事がありません。だから、チェーン店系の非形成外科医は出来ません。これも毎回載せていますが、Z−形成術は机上の図示通りの結果を得られて、蒙古襞の狗縮が解除され、目頭の向きが下向きの虫状態から横向きのアーモンドアイに改良出来ます。もちろんサイズ的にも内眼角間距離が2〜3㎜近づきます。

よく変な事を云う患者さんが居ます「目頭切開を受けると寄り目になりませんか?。」私は呆れて鏡を見せながら説明します。「蒙古襞が被さって居ると内側の白目が外側の白眼より少なく見える。それが寄り目でしょう?。」私自身が寄り目にしてシミュレーションして見せます。続けて患者さんに用手的シミュレーションしながら「Z−形成法に依る目頭形成術をすると、斜め上に目頭が移動して逆に白眼が露出して寄り目が治ります。」患者さんは巷間の話題から逆に考えていたのが判るはずです。残念ながらそれでも理解出来ない患者さんには、手術をしてあげません。

症例は30歳女性。昨年初頭に初診。先天性奥二重。5年前に他院で埋没。緩んでいる。眉毛部が突。切開希望する。切開し切除3㎜で眼瞼挙筋の短縮を加える予定。内眼角間距離が34㎜で一辺4㎜のZ−形成術が適応とまで診察所見があり、当日は涙袋作成だけした。似合っていた。

本年再来し、涙袋を追加し、眼瞼の再診察をしたが、特に手術デザインの予定が変わらなかったので、カルテに所見は記載していない。

トントン拍子に手術予定が立てられ、今回手術となった。ラインは埋没で作られた前回のラインで、3㎜切除。一辺4㎜のZ−形成法で目頭部の蒙古襞の拘縮を解除して、吊り目でなくするデザイン計画を確認した。

画像は術前から。眼瞼部の遠近像を見ましょう。

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上左図の遠景像では下方視していて、上右図の近景像はカメラのレンズを見つめてくれました。だから二図を並べました。開瞼はやや弱く、MRDは約2.5㎜です。目の窓は内側が外側より下の吊り目です。モンゴリアンスラント,Mongolian slant(白人がアジア人を『吊り目細目スラントアイ』,Slant eyeと差別する英語)とは、目頭と目尻を結ぶ線が平均5度傾いている事ですが、蒙古襞の下向きが一因です。目尻を下げるのはその後の課題です。

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近接画像の左右でも開瞼が弱く、MRD2.5㎜です。蒙古襞が内眼角点(目頭の角)から斜め外に向かって直線状です。これが吊り目の原因です。また、目頭の向きが下向きなのも影響しています。

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上にはデザイン後の眼瞼部の開閉二葉。重瞼ラインは前の線。切除幅は目頭の上から目尻の上まで3㎜です。目頭付近まで同じ幅で取れるのは目頭形成を併用する時だけです。

DSC_0077いつもの図ですが、眼瞼の拡大図と照合しましょう。IMG_3067➡️IMG_3070術前の左眼瞼のデザインの線を切開して、三角形の皮弁を入れ替えて、術直後の傷跡の線(画像が不備で判りにくくてゴメン)になりました。机上の図での術前に蒙古襞の稜線にあるabが、術後は1.75倍延長したa’b’になり狗縮が解除され、目頭の向きは下向き三角形abdが横向き三角形a’c’dになります。術前の’cdが1/1.75のc’d’になり理論上3㎜短縮しています。

前葉性眼瞼下垂症は重瞼線は変えないでも強固にし、皮膚眼輪筋を3㎜幅切除して1.5㎜拡げて、後葉性眼瞼下垂症は挙筋をタッキング,tacking(ズボンのタックと同じ意味)して強化。

下には術直後の画像。

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遠近二葉診ましょう。上左図の遠景では術直後でお疲れで目を開き難いのですが、上右図の近景では何とかレンズを見つめて下さり、術前より黒目の露出は増えています。

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近接画像では腫脹で開き難く、開瞼の向上が診られません。重瞼は腫脹で持ち上げられて拡いです。ただし蒙古襞の狗縮と被さりが無く、平行型二重瞼で、目頭は横向きになったのは判ります。

細かく説明しましたが、皆さんに少しでも理解してもらいたいからです。術前の診断法と手術法の適切な選択。結果得られた形態的および機能的改善の証明。画像を視れば学術的説明の意味も判り、皆さんもこの手術法に期待される事でしょう。本症例は明るい女子で、理解力も高く術後経過も判っていますから、今後の経過が楽しみです。

術後1週間で抜糸します。

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遠近二葉診ましょう。上左図の遠景より上右図の近景の方が近づいた分、目を開く力を抜いています。でも術前よりは大きいです。まだ腫脹が40%程度残っています。そのため重瞼はまだ広くなっています。でも患者さんは広い二重をご希望です。

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近接像で見る様に、まだ力を入れて開かないです。目頭の形態はちゃんと平行型二重になっています。左が二股なのはむしろ自然です。

次回術後1ヶ月ではかなり治っているはずです。形態と機能はその際に評価しましょう。

術後1ヶ月で来院されました。

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遠近に二葉ですが、今やどこを向いても目は楽に見開いています。重瞼はまだ線の下が腫れています(ピーク時の20%程度)から、わずかに持ち上げられて広いのですが、私「広めにした訳ですが、これがお好みでしょう?。」と訊くと患者さん「ええちょうど良いです。」って言うから私「若干、約0.5㎜以下ですが狭くなります。」と答えました。さらに「この目はきれいですよ!。」と念を押すとニコっと笑顔で退室しました。

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近接画像が露光ミスってしましましたが、目頭部の肥厚性瘢痕(ケロイドもどき)は起きません。「目頭形成の形もきれいでしょ?。」と訊くとお慶びでニコっと微笑んでくれました。また近々来院されるそう。楽しみです!。

術後3ヶ月での完成像を見ましょう。

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遠近二画像で眼球の位置が変わります。上左図の遠景では目線が正面。上右図の近景では輻輳して眼球が内側に寄ります。その際に内側の白めの露出面積が減りますが、目頭形成しているので寄り目になりません。いつも言いますが、蒙古襞が被さっている人は術前が寄り目に見え、術後は寄り目が解消します。それにしても、キラキラした目線が魅力的です。

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患者さから評価を頂きました。アーモンドアイが綺麗!。二重まぶたは広すぎず、でもはっきりして、周囲からも好評価をいただいているそうです。

また肥厚性瘢痕もなく、処置は不要です。したがって完成です。もう診られないのはツマラナイ。可愛い女子は何度でも観たいです。と思っていたら、近々涙袋を造りに来院したいそうです。そうです!。この目元には似合います。可愛さアップを楽しみに!。その際も画像を頂けるかな?。

当院では、一昨年に厚生労働省より改定され施行された「医療機関ホームページガイドライン」を遵守しブログを掲載しています。

医療法を遵守した情報を詳しくお知らせするために、症例写真・ブログに関しましても随時修正を行っていきます。症例写真の条件を一定とし、効果だけでなく、料金・生じうるリスクや副作用も記載していきます。ブログにも表現や補足の説明を付け加えさせていただきます。

施術のリスク・副作用について:・麻酔薬にて、アレルギー反応を起こす場合があります。その場合は適切な処置を行います。・腫れは個人差がありますが、手術直後から少し腫れがあり、翌日がピークで徐々に引いていきます。目立つほどの大きな腫れは1~2週間程度です。・術後のむくみや細かな左右差の改善には、3ヶ月程度かかります。・内出血が起こった場合は完全にひくまでに2週間程度かかることがあります。・感染予防のため、抗生剤を内服していただきます。・手術直後は、つっぱりを感じることがありますが、2週間程度で改善していきます。・目頭の切開部位は、目やにがでる場所ですので、消毒にご来院下さい。・手術当日は、洗顔をお控え下さい。・手術後3日間は、飲酒・激しい運動・サウナ・入浴など、血流が良くなることはお控え下さい。・手術後1週間(抜糸まで)は、切開部位のお化粧はお控え下さい。・ケロイド体質の方は傷跡が残りやすい場合があります。

費用は眼瞼下垂症の診断が得られれば保険診療で3割負担は約5万円(出来高請求です。)目頭形成術は角膜に掛かる程でないと保険は適用出来ません。自費で28万円+消費税。