2021 . 5 . 23

白唇短縮術後と口角挙上術後は嬉しくなって、追加手術をしたくなるのはこちらも嬉しいです。でも逆に2回法の方が成績は良好です。

口角が下がるのは鼻唇溝の内側の軟部組織が伸展するからです。つまり上白唇は全体を短縮挙上しなければアンバランスになります。加齢で長くなる白唇に関して、経年的には10年しか診てきていませんが、平均値を世代的に診ていくと十年で約1㎜ずつ伸展しています。この数値は長年計測してきた私ならではの知見です。

なお唇は赤い部分だけでなくその上の皮膚まで唇です。赤い部を赤唇、皮膚の白い部分を白唇と称します。英語でVermillionとWhite lipと書きます。先日USA在住の人にも確かめました。唇は擬態としてセックスアピールを魅せますが、アジア人は宗教的にか、また先日の問題を見ても解る様に科学的な民度が低い為にか、性的な言動を忌避するため口唇を意識しませんから、赤唇と白唇を知りません。実は形成外科医は口唇裂を治療するので、口唇の形態解剖を学んで習熟しなければ手術できません。一部の美容形成外科医はその知識を応用して美容外科的診療においても口唇の手術をします。形成外科を研修していないチェーン店系の(いわゆる大手のビジネス系)のクリニックで受けるとトンデモない結果を呈する事があるのはこのためです。

もう一つ、鼻の下の皮膚軟部組織を切除する上口唇短縮術(人中だけではありません)に於いては、縫合術が最重点課題です。皮膚軟部組織の縫合術は形成外科医以外は学びません。なぜなら、内臓の手術ばかり学ぶからです。また限られた手術時間の中で、皮膚軟部組織の縫合に時間と手間を費やしてはいられないからです。もちろん非形成外科医の美容整形屋は縫合術を学ぶ機会がありませんからできませんし、ビジネス系チェーン店では費用対効果が重視されますから、時間をかけて縫合させません。Sでは1時間以内でさせます。それ以上時間を掛けた医師はクビになるそうです。

今回は上口唇短縮術に続けて口角挙上術を受けた症例ですが、術後3ヶ月で追加切除を希望された患者さんです。通常私は早い時期にはしません。同じ部位を切るので、瘢痕(傷跡の線)が硬いから切りにくいからです。でも術後3ヶ月で診て、可能ならします。そもそも長かったからたくさん切りたかったのですが、私は上白唇は6㎜以下、口角は鼻唇溝(法令線)を越えない量で通常白唇短縮量と同じ量までとしています。多量にあげたい場合二回に分けてします。なぜなら、術後3ヶ月経ると、表情筋や傷跡が回復しているから傷跡が広がらない=後戻りも少ないからです。

初回の診断から記載します。症例は57歳女性。白唇中央(人中部:鼻柱基部〜赤唇縁Cupidの弓の底)の長さが21㎜。E-ライン,Aesthetic line(側面像で鼻尖と頤最前部を結ぶ線)上に口唇がある綺麗な口元の側面輪郭。中顔面(眉下〜鼻下)65㎜:下顔面(鼻下〜頤尖)65㎜で骨格的に正面輪郭でもバランスが取れている。ところが上口唇(赤+白)27㎜:下口唇(下顎:赤下口唇〜頤尖)38㎜で黄金分割比率の5:8で計算すると上口唇が4㎜長い。したがって今後の加齢も加味して白唇を5㎜短縮したい。なお間違っても赤唇を切らないで下さい。赤唇縁が貧弱になります。人中は加齢で浅い。Cupidの弓の頂点が幅広いのも加齢に因る。白唇の伸展に伴い赤唇が下垂しているため口唇結節(赤唇中央部の膨らみ:セックスアピールに欠かせない)がない。私のオリジナル法で両側鼻柱基部を縫合する際に人中陵を1.5㎜ずつ内側に寄せて縫合すれば、人中を狭く深くでき、弓のカーブをはっきりさせ、口唇結節を作成できると教唆すると希望あり。

順番が逆になりましたが、既往歴を訊くと、約30年前眼瞼形成+目頭切開、外鼻形成、頤プロテーシス。診れば推測できますが、顔面のバランスを診なければ手術プランは決定できません。細面で面長でも鼻背が短くなって鼻尖が上方移動している。なぜならプロテーシスがI型で鼻尖が低いからと指摘。上向きはショートノーズ,short noseでありアップノーズ,up noseではないことを強調し、耳介軟骨2枚を斜め下向きに移植すれば改良できるが、白唇短縮術後は3ヶ月明ける示唆。

顔面横部品費は内眼角間28㎜:鼻翼幅36㎜:口唇幅50㎜で黄金比率で計算すると6㎜増大を求めて、口角挙上術のデザインは斜め45度方向に5㎜を要する。

当日、鼻翼縮小術も希望されるが予定時間がない。口角挙上術後は口角を最低2週間横に引かないように忠告すると後日希望となった。

こうして、人中を主体とした上白唇短縮術を先行する事となったが、その後口角挙上術をできる予定を立てた。したがってブログはその後から公開する事にした。

その後電話を頂き、口角挙上術をできるタイミングなので、希望されました。たまたま空いていたので、鼻翼部の抜糸を予定する術後2週間にできました。下列には、上口唇短縮術後2週間で、まだ抜糸前の画像。やはり口角は下がっています。35度方向に5㎜引き上げました。

まず前回の術前の画像から。

IMG_2203

IMG_2205IMG_2210

口角挙上術は後戻りしえます。まず第一に白唇短縮術は真皮縫合ができますが(少なくとも私は沢山真皮縫合しますから、後戻りしていません。これまでのブログに画像があり、計測値も記載しています。)、赤唇は粘膜の延長で真皮がありませんから、真皮縫合ができません。口角の角の筋肉(口輪筋)と上の皮下の真皮を吊り上げる様に縫合しているだけです。画像で口角の斜め上が線状に凹んでいるのは糸の通り道です。敢えて言えば手術直後にはここまでが口角に見え、そう思っている患者さんが多いのです。真皮ー筋肉縫合の糸は筋肉が裂けていきますから、画像でご覧になれる様に谷線は浅くなっていきます。さらに日を経ると、口角部の角の瘢痕が広がり後戻りが進みます。もう一つ赤唇は日常的に閉じ様とします。閉じる際には口角を挙げませんし、すぼめます。覚醒時で活動している間は赤唇を不随意に小さく下げる力が入っています。

 

正直に説明したら、患者さんは「もう一度口角挙上術を追加したいわ〜!。」と仰ってくださいました。これまでの症例にも二回目をした人は居ます。でも本来の目的は、私の白唇短縮術は両側鼻翼間を同じ幅で切除して富士山型を防ぐデザインですが、その際口角部の上は挙げないので、口角挙上術は赤唇縁を直接挙げておくことが求められるのです。さらに挙げるのは二時的に行なうべきです。この説明を聴いたら患者さんは「もちろんいつかはして欲しいです。」と胸をときめかせていました。「ただし位置が固定するのは術後3ヶ月です。」「二回目手術は術後3ヶ月以降です。傷跡(瘢痕)が落ち着いてからでないと、私でも同じ部分は切りにくいのです。」と言ったら、「だってモニターが終わってからでないと無理ですよね?!。」とこちらにも配慮して下さいました。いい人です。

 

術後3ヶ月で診ました。白唇は16㎜+@でわずかに(約0.5㎜)後戻りが診られます。3㎜切除追加。さらに1.25㎜寄せる。口角は25度方向に5㎜。鼻翼を埋没で32㎜に。線状瘢痕拘縮の影響で後戻りは少ないでしょう。

今回の術前は前回の術後3ヶ月です。

IMG_5252IMG_5253

デザインは上記の通りです。

IMG_5262IMG_5263

術直後です。

IMG_5264IMG_5265IMG_5258IMG_5254術前の右斜位像と左側面像。

IMG_5270IMG_5268術直後の右斜位像と左側面像。

下には術後1週間での抜糸後。

IMG_5582IMG_5587

創の経過は一回目と変わりません。

IMG_5584IMG_5585IMG_5588下面像でも治り方に問題はありません。

今回二回目の同部の手術ですが、特に問題なく創傷治癒しています。次回からの経過で腫脹が引いてきたら、形態が視えるでしょう。お楽しみに!。

術後4週間です。

IMG_6133IMG_6134IMG_6138IMG_6135お悦びです。

2回目の手術後3ヶ月は、他の手術の際に重なりましたが画像を頂きました。IMG_8647IMG_8652

なんとも創傷治癒過程が良好です。サイズも適切となりました。

IMG_8649IMG_8650IMG_8653

 

立体的に診て、すっきり感は明らかです。下から見ても傷跡はわかりません。

お悦びです。次に進みます。もう一度版を延長して、口角挙上術の2回目も載せます。

IMG_8775IMG_8780

術前は上の段と同じです。

IMG_8781IMG_8782

デザインは垂直から25度斜めで5㎜ですが、口角の上の白唇部の切除の三角形を膨らませて、鼻翼下まで挙げます。

IMG_8783IMG_8784

術直後は腫れています。

IMG_8779IMG_8788右斜位像でよく挙がっているのが判ります。

IMG_8776IMG_8785左側面像でも口角の位置が見えます。

下には術後1週間の抜糸後。

IMG_9031IMG_9032

本症例の患者さんは創傷治癒過程が早い。

IMG_9034IMG_9035 2右斜位像でも左側面像でも傷痕はまだ赤いけれど腫脹はかなり軽減してきて形態が見えています。

次回術後1ヶ月に診たら、かなり治っているでしょう。どうも他の手術の予定もあるようです。その際も版を変えて載せさせてもらえるでしょう。

追加手術後1ヶ月です。

IMG_0150IMG_0155

 

口角の位置がよ〜く挙がりました。優しい雰囲気です。いや本症例の患者さんは優しい女性なので似合う口元になったと言えます。

IMG_0152IMG_0153

 

斜位像でも側面像でも口元がすっきりしました。傷跡はもう気にならない程度です。二回以上なのに治癒が早い患者さんです。やはり、精神性が安定しているからでしょう。それに信頼関係が醸成されているからでもあります。何度も書きましたが、術後早期から数週間の中期に精神的に安定している患者さんは創傷治癒過程が早く進みます。医学的に証明されています。

当院では、厚生労働省より改定され施行された省令「医療機関ホームページガイドライン」に遵守しホームページに加筆を行っています。

施術のリスク・副作用について・麻酔薬にて、アレルギー反応を起こす場合があります。その場合は適切な処置を行います。・腫れは個人差がありますが、手術直後から少し腫れがあり、翌日がピークで徐々に引いていきます。目立つほどの大きな腫れは1~2週間程度です。・術後のむくみや細かな左右差の改善には、3ヶ月程度かかります。・内出血が起こった場合は完全にひくまでに2週間程度かかることがあります。・感染予防のため、抗生剤を内服していただきます。・抜糸までの間、鼻下を伸ばす表情はお控え下さい。・口唇部の違和感は、2~4週間程度かかります。・手術後2週間は、口を大きく開けることはお控え下さい。・手術直後は、つっぱりを感じることがありますが、2週間程度で改善していきます。・手術当日は、洗顔をお控え下さい。・手術後3日間は、飲酒・激しい運動・サウナ・入浴など、血流が良くなることはお控え下さい。・手術後1週間(抜糸まで)は、鼻孔部位のお化粧はお控え下さい。・ケロイド体質の方は傷跡が残りやすい場合があります。

費用の説明も加えなければなりません。上口唇短縮術は28万円+消費税。今回は切除量を減らしたので30%オフとしました。口角挙上術は25万円 +消費税。今回は後戻りもあったので20%オフとしました。ブログ掲載の契約を受けてもらえたら、出演料としてさらにそこから20%オフとなります。