題名にある様に、ポリサージェリー(複数回手術)の患者さんで満足な結果を得られていない患者さんが、何とかしたくて、やっと私を見つけ出したのです。やはり、最終的に満足な結果を得る為には私に罹る患者さんが何人もいらっしゃいます。私は最終兵器として利用されています。
この様な患者さんは、これまでの美容治療の経過=手術歴が重要です。アナムネーゼと言って病歴ですが、既往歴とも言います。美容医療以外では、アナムネが大事で診断に半分以上寄与します。診断は治療方針を決めるためにあります。診断の目的は、カルテに書いて費用を決めるためではありません。美容外科手術に於いては、これまでの手術歴と施行者が解らないと、私の治療プランが立てられません。これまでに何が為されているか判らないと、解剖学的な構造がどのように変化しているかが判らないからです。
皆さん大間違いしていますが、医療、特に美容医療に於いては、施行者の自由裁量で為されます。治療方針も手術法も費用もまちまちです。ただし、二つの点は留意されるべきです。一つは個体への侵襲=リスクと形態的ベネフィットのバランスを取るべきで、また取り戻せない不良結果を呈さない事も重要です。もう一つ、夫々の患者さんに敵している手術デザインと結果を得る為には診察や念入りな計測が必要です。患者さんの従前の形態的個体差を考慮しなければ、私の様な長い(30年以上)キャリアーを持ってしても、良好な結果を得られません。
多くの美容外科医は、上の目的の他に、費用対効果を重要視し、また間違った情報を流してまでも、患者さんを誘引しようとします。その点で逆に、私はこの通りブログで経過を追って、画像操作していない情報を流していますから、多くの患者さんが信頼して来院するのでしょう。
上に記した様な意味で難しい症例ですが、先ずは症例の説明を書きます。症例は34歳女性。先ず予診カルテに創跡修正を先頭に書いてます。次に上口唇短縮、口角挙上、鼻翼縮小と書いてありますから、ピンと来ました。創跡修正も兼ねて、ちゃんと治したいのでしょう。念入りなアナムネが必要です。丁寧な診察と治療を心掛けます。アナムネに時間を掛けます。
2年前にTVCMで有名なクリニックで、上口唇短縮術と鼻翼外側切除に依る縮小術を受けた。サイズは変わらなかった。1年後に、SNSで騙すクリニックで、2回目の短縮術。現在人中部の白唇縦長が15㎜になっているが、赤唇が可愛くなっていないとの申告。今年に同クリニックで鼻翼創跡を修正した。診ると同時に口角が挙がっていない。右の口角の傷跡を修正したら、口角の上に三角形の傷跡が出来た。
他に下眼瞼脱脂や瞼頬溝への脂肪注入を受けていて、結果は得られている。頬骨隆起部は剥離不足。鼻唇溝の外側の膨隆の治療は難しい。内眼角間は下垂手術と目頭切開を受けていて、内眼角間距離は32㎜となっている。などと他部位に話しが飛んでから、プランを立て始めます。
1、口角挙上術は内眼角感32㎜:鼻翼幅39㎜:口唇幅50㎜で45度方向へ5㎜引き上げれば創跡も切除出来るし、口唇幅と内眼角間と鼻翼幅が黄金分割比率になる。2、鼻翼を縮小すると、鼻尖幅が21㎜あり目立つため、今回は見合わせる。3、上顔面65㎜:中顔面60㎜:下顔面65㎜で縦のバランスは整っている。上口唇23㎜:下口唇37㎜で黄金分割比率になっているが、E-ラインよりも口唇が5㎜前方なため頤に梅干しが出来易い。また赤唇が薄い。鼻孔底隆起を切除されて鼻孔の後半分が隠れていない。でも今回は、鼻孔底隆起の下を切開します。両側鼻翼間を4㎜切除しましょう。更に口輪筋を折り畳んでC-カールを造り赤唇を厚くしたい。両側鼻柱基部と人中稜の縫合時に1.5㎜ずつ寄せて、口唇結節を強調したい。鼻翼の傷跡はその際切除する。
手術前にもデザインと注意点を確認しました。画像は術前から術後、術翌日までを各方向で診ましょう。
正面像の術前とデザイン。鼻の孔の後側半分は鼻孔底隆起があれば角れて見えない筈ですが、本症例は切除されているので、鼻孔が丸く見えます。デザインは予定通り。
正面像の術直後と翌日。鼻翼は拡がってますが、術後経過で必ず元に復します。翌日は思っていたよりも腫脹、疼痛が軽かった。開口は1横指で生活に支障があるが、平均的には術後1週間で困らなくなります。口唇結節(上赤唇中央の膨らみ)が前を向き、Cupidの弓が綺麗でお悦び。
術前の近接像では笑顔を造ってくれました。デザインを診ると口角の位置は笑顔の位置です。なお口角の上の傷跡はよく見ると鎌状にあります。また、デザイン画で鼻の孔が丸く見えます。
術直後と翌日の近接像は腫脹が強いのですが、翌日は軽快中です。
右斜位の術前と術直後、翌日。術直後に口を閉じにくいのは麻酔の影響です。翌日は何とか。
左側面像も術前と術直後、翌日。E-ラインと口の前後関係は腫脹が影響します。
術後1週間で一部抜糸に来院されました。
何と!、口唇ヘルペスが頻発するそうで、3日前から水泡が多発したそうです。一部は創の線上に発生しました。従って抜糸は一部残しました。手術侵襲は、感染がなくても炎症を引き起こしますから、免疫成分が利用されるし、血行が利用されますから、ヘルペスウイルスが元気になって再燃する機序なのでしょう。ご自分で外用約を使って下さいました。
右斜位でも左側面でも口角の創治癒過程が阻害されています。ヘルペスウイルスは一度感染して治っても、皮下の神経線維内(免疫が働かない)に隠れて潜んで居ます。全身や局所の免疫が落ちるとウイルスが潜り出て来て皮内で増殖するのです。水泡を造るので皮膚そのものが傷んで創治癒も遷延します。
下からの近接画像では口角の水泡が多発して見えます。白唇の右人中稜部にも水泡があります。早く治るといいですね。
先ず術後1週間まで画像提示しました。今後の形態的変遷を診て下さい。
下に術後2週間で全抜糸の為に来院された際の画像。
ご覧の通りヘルペスは治りましたが、まだ炎症後の発赤は残ります。
何しろ糸も喰い込んでいて一部残しました。今回やっとこさ抜糸できました。大変でしたね!。
術後1か月で画像を頂きました。
ヘルペスは治まったのですが、一部の傷跡の痂皮(かさぶた)の跡が発赤しています。でも、患者さんは形態的に満足してお悦び!。機能的にも開口はフルに出来て生活に支障は来さなくなったし、力を入れないと口は閉じにくいけど、今はマスクで困らない。力を入れて口を閉じると、下口唇を挙げるので、頤に梅干しが出来るけれどこれは術前からで気にならないとの事。
ご覧の様に鼻翼の位置は元に復しています。下から見ても創跡は目立ちません。
術後2か月半で画像を頂きました。通常3か月ですが、遠方なので特別扱いします。しかも今後他の部位の相談にいらっしゃる予定だそうです。有り難いことです。
ご覧の様に左口角に糸が残っていました。除去しましたが孔は赤いままです。消えていくでしょう。上白唇短縮術の傷跡はまだ線が赤いですが、消えていきます。鼻翼横の膨隆は術後3ヶ月まで待って、焼く必要があるかも知れません。
本症例はE-ラインよりも口吻が5㎜前にあり頤に梅干しが出来ます。口も閉じにくい骨格です。更に上顎歯槽だけでなく前の歯牙が大きく前突している為に、口を閉じる際に下口唇がその前に重なるタイプで下口唇が厚く見えます。
患者さんは「上口唇がまだ薄くないですか?。」と訊いてきました。私は上口唇を寄せて厚く尖らせたので、「厚くはなったでしょう?。」と心のなかでは反発気味に答え、更に「アアー、下口唇が前突して厚く見えるからだ!。」と答え、更に「口を閉じる際に歯の前に出すからですね。」と加えると、患者さん「下口唇の切除の適応ですか?。」と訊いて来るから、「イヤア〜、○○さんは口を閉じなければ可愛く、上下口唇のバランスも合っているかも?。」と返し「鏡を視ながら口を開いたり閉じたりして視たら?。」と患者さんに振ると、やはり患者さんは「ウーン、どうなんでしょう?。」と混乱しました。私「しばらく鏡で動的形態を視てみて下さい。それから検討しましょう。」とお願いして、「更に他の部位も検討していますよね?。」と訊き、つまり近々また再診の上検討する事になりました。
よく理解される患者さんで前向きです。まだまだ出来る事があります。もうしばらくお付き合いしましょう。その節もブログ提示が視られるでしょう。お楽しみに!
当院では、厚生労働省より改定され施行された省令「医療機関ホームページガイドライン」に遵守しホームページに加筆を行っています。
施術のリスク・副作用について・麻酔薬にて、アレルギー反応を起こす場合があります。その場合は適切な処置を行います。・腫れは個人差がありますが、手術直後から少し腫れがあり、翌日がピークで徐々に引いていきます。目立つほどの大きな腫れは1~2週間程度です。・術後のむくみや細かな左右差の改善には、3ヶ月程度かかります。・内出血が起こった場合は完全にひくまでに2週間程度かかることがあります。・感染予防のため、抗生剤を内服していただきます。・抜糸までの間、鼻下を伸ばす表情はお控え下さい。・口唇部の違和感は、2~4週間程度かかります。・手術後2週間は、口を大きく開けることはお控え下さい。・手術直後は、つっぱりを感じることがありますが、2週間程度で改善していきます。・手術当日は、洗顔をお控え下さい。・手術後3日間は、飲酒・激しい運動・サウナ・入浴など、血流が良くなることはお控え下さい。・手術後1週間(抜糸まで)は、鼻孔部位のお化粧はお控え下さい。・ケロイド体質の方は傷跡が残りやすい場合があります。
費用の説明も加えなければなりません。上口唇短縮術は28万円+消費税。口角挙上術は25万円+消費税。ブログ掲載の契約を受けてもらえたら、出演料として20%オフとなります。