私は医師ですから、診察に時間を掛けます。美容形成外科医を金儲け主義だと思っている国民が多いのですが、実際に自費の美容医療は料金が自由で同様の保険診療の2〜3倍の価格設定が大多数です。それに、患者さんは広告やインターネットの情報(あくまでも情報で知識ではありません。)を視て来院され、載っている情報は、料金表と画像と説明だけですから、価格は視ていても、診療レベルは知り様がありません。画像は私の様に操作がなくして、多くの症例をブログに経過を順に追って載せているクリニックは少なく、説明も手前味噌なクリニックが多く、診療レベルを知る当てにはなりません。
なお保険診療では価格は国が決めていますから、費用対効果は逆にばらばらです。もちろん医師や医療者のレベルはマチマチですからです。国家試験に受かって医師になっても、その後のトレーニングと学術的研鑽の質と量は千差万別です。ましてや自由診療でのビジネス的美容外科だけを学んだ医師達にはその期待が持てないのは当たり前でしょう。
そこで来院されたら、診療中にちゃんと個体の形態を視て計測も加えて、機序や理由を細かく説明するかが重要です。なお診察はカウンセリングではありません。Counselingを訳すと助言または忠告です。正しくはConsulting で、診察または相談です。そうです。患者さんを診察して、治療法を提示して、患者さんの状況に応じて相談するのがコンサルテーション=診察です。私は先ず時間をかけて順を踏んで診察します。そうしている内に患者さんと考え方や、気持ちが一致していって治療(主に手術)に到る頃はお楽しみに!して来られます。私もこうして望むと気持ちが乗っていい手術が出来ます。
今回は従前を越えて、更に詳しく診察していたら、手術適応に逡巡してこちらも迷う程の難しい症例でした。細かく相談してやっと手術法が決定しました。その細かい手術デザインも私の特徴です。結果は見えます。その後経過を診て行くと患者さんの悦びに出会い、私も嬉しくなります。
症例は29歳女性。インターネットを視て来院し、いきなり人中短縮を検討していると申告します。そこで慌てないで診察を始めます。人中部の白唇の縦長は鼻柱基部から赤唇縁の弓,Cupid’s bow の陥凹底の距離を測ります。19㎜ですから最低線の15㎜にしたいのはヤマヤマです。ところがE-ラインよりも口吻が5㎜前で、本人も問題点をその部分に置いて来て、これまでに他で美容治療を受けている。3か月前には赤唇にヒアルロン酸を注入して白唇を短く魅せた。E-ラインの改善の為に頤にもヒアルロン酸を注入したが、前に増えるより下に長くなったから、下顔面が長くなった。実際に顔面縦長の比率を測ると上顔面(生え際〜眉下)60㎜:中顔面(眉下〜鼻下)53㎜:下顔面(鼻下〜頤尖)66㎜と下顔面が長く、上口唇(白+赤)26㎜:下口唇(赤〜頤)40㎜と黄金比率だから、上口唇を短縮するなら頤のヒアルロン酸を溶かす必要がある。
逐一診察の所見を載せるのは紙面の関係で割愛しますが、検討の末、5㎜切除が適切となりました。歯科矯正中だが、上のデバイスは歯牙後方にあり、邪魔にならないから可能です。ただしこのE-ラインでは、矯正も影響して、口は閉じにくく、頤に梅干しが長引くだろうと示唆しておいた。ヒアルロン酸が無いと寂しい赤唇と訴えるし、C−カールはしっかり造りたい。弓と結節の強調の為に1.25㎜寄せる手技もプランした。
術前に確認すると、頤のヒアルロン酸は入れた医師で溶かして、5㎜短縮した。画像を提示しますが、先ず術前、デザイン、術直後、翌日の各方向を見比べましょう。
術前のデザインは診察後に立てたプランに従います。
術直後は腫脹が強いのは局所麻酔約の作用が残るからです。通常48時間までは腫脹が亢進しますが、翌日はスッキリしています。
翌日診ると、下顔面の比率が合っていた。血痂が少ない。術後の外出血が少なかった。創経過は順調で、頬にも内出血や腫脹が無かった。
近接画像で術前に自然に微笑んでくれました。この様に表情が優しいので口角挙上術は不要です。
デザイン通りに切りますが、鼻柱部で人中を寄せるから膨らみます。直後は局麻の影響です。
斜位像でも↙︎
側面像でも、E-ラインより口吻が前でもスッキリ感は得られます。上下の比率は明らかに整っています。
術後1週間で両側鼻翼間を抜糸した。
力入れないと閉じない。閉じようとすると梅干し。赤唇が乾いています。でもマスクしているなら開いていましょう。開口は支障ない。赤唇のヒアルロン酸は減った?。頤との比率は適切化した。患者さんはお悦びです!。
術後2週間で全抜糸しましたが、写真は紛失しました。術後1か月を見ましょう。
バランス的に結果が得られるか迷ったのですが、計算通り上手く結果が得られました。デザインの勝利です。
下面像でも創跡は目立たなくなりました。創跡は鼻孔底隆起の麓の折れ返りに有りますからです。
時折見かける鼻の中を切るデザインでの手術後を視ますが、結局鼻翼基部付近と鼻柱付近の傷跡は有るので創跡は見えます。要は創跡の質が問題なのです。美容整形屋の縫合法は手抜きですから、創跡の幅が後から拡がり目立ちます。熟練した形成外科医が真皮縫合を丁寧に時間を掛けて合わせれば創跡は消えるに等しく、長期的結果も後戻りが皆無です。また鼻の孔の中で上白唇短縮すると、鼻孔底隆起を切除されますから、鼻の孔の下半分が丸見えになって下品になります。
皆さんも鏡で自分の顔を前方から視て下さい。鼻の孔は黒く影になりますが、前方の半分だけが半月形に見えます。それは鼻孔底隆起が後半分を隠して黒く見えないからです。ところが鼻孔底隆起を切除すると、鼻の孔の黒い影の形が丸く見えてしまいます。鼻の孔が丸く丸見えになると野暮ったいと言うかダサい顔になりますが、取り戻す事は不可能です。このブログを視て来た患者さんに、たまに修復を頼まれますが、残念ですが断らざるを得ません。
術後3ヶ月で完成を診ましょう。
当院では、厚生労働省より改定され施行された省令「医療機関ホームページガイドライン」に遵守しホームページに加筆を行っています。
施術のリスク・副作用について・麻酔薬にて、アレルギー反応を起こす場合があります。その場合は適切な処置を行います。・腫れは個人差がありますが、手術直後から少し腫れがあり、翌日がピークで徐々に引いていきます。目立つほどの大きな腫れは1~2週間程度です。・術後のむくみや細かな左右差の改善には、3ヶ月程度かかります。・内出血が起こった場合は完全にひくまでに2週間程度かかることがあります。・感染予防のため、抗生剤を内服していただきます。・抜糸までの間、鼻下を伸ばす表情はお控え下さい。・口唇部の違和感は、2~4週間程度かかります。・手術後2週間は、口を大きく開けることはお控え下さい。・手術直後は、つっぱりを感じることがありますが、2週間程度で改善していきます。・手術当日は、洗顔をお控え下さい。・手術後3日間は、飲酒・激しい運動・サウナ・入浴など、血流が良くなることはお控え下さい。・手術後1週間(抜糸まで)は、鼻孔部位のお化粧はお控え下さい。・ケロイド体質の方は傷跡が残りやすい場合があります。
費用の説明も加えなければなりません。上口唇短縮術は28万円+消費税。ブログ掲載の契約を受けてもらえたら、出演料として20%オフとなります。