2022 . 9 . 29

鼻唇角プロテーシスは鈍角化が目的です。口周りの両顎の骨格的位置との関係が目的です。

鼻唇角とは、鼻柱の下の線と上白唇の人中溝の前の線の交点の角のことです。鼻柱基部とは鼻柱の両サイドの線と両側人中稜の交点です。微妙に違います。でもプロテーシスを入れて前に出す部位は前者が中央で、後者の間です。まあ近いほぼ同じ部分の喰い込みを無くしたいのです。目的は上顎歯槽部の前傾を目立たなくする場合と、角が鋭角に喰い込んでいるのを治したい場合ですが、関連した状態で、卵が先か鶏が先かの違いです。その目で画像を観て下されば意味が解ります。

本来は骨切りの適応もある場合でも、リスクが高いし、ダウンタイムが長く、また高額です。言ってみれば、骨は頭蓋骨ですから、頭と顔をばらさなくてはならないので、大血管や神経幹を損傷しない様に切る為には、解剖を熟知して居なければなりません。骨を切るのは当然電気のこぎりですが、木板を切った事がある人はお判りの様に、引っ掛かるので力が要るのに、方向を違えない様に切るのには繊細な技を要します。経験が必要です。日本で骨切りが上手な美容形成外科医は数える程しか居ません。また歯槽骨には歯牙が植わっていますから、咬合を合わせる為に術前術後矯正を要します。矯正歯科医とタイアップする必要がありますが、これまた上手な歯科医は少なく、年月を要します。

その点で、鼻唇角の鈍角化と鼻唇溝の陥凹の増大,Augmentは、上顎の前傾に因る形態的低下を改善します。側面像で、上顎が前傾前突していると鼻唇角が鋭角で、鼻唇溝が鼻翼に隠れて凹んでします。したがってこの部位の改善だけでも形態的にはスッキリします。

シリコンプロテーシスは石の基本元素であるケイ素を酸素結合で架橋したゴム状です。架橋が少ないシリコンジェルとは違い、形態的に安定しています。シリコンジェルは体内で生体と化合はしませんが、バラバラになり粒状になってコラーゲン繊維に包まれてブツブツゴツゴツになりえます。昔使われて経年変化で後遺症を続出させ社会問題化しました。乳房では柘榴状になり。顔面に入れたらジョーさんになります。対して、シリコンゴムは硬さは様々に造れますが、形態的には安定し、まず壊れません。やはりコラーゲン繊維が包みますが、通常体(ケロイド体質など以外)なら薄い膜状で、身体に影響しません。あるとすれば表面の皮膚が加齢と共に(鼻で25年以上)菲薄化して危なくなることです。その場合は縮小して危険を避けます。

鼻唇角プロテーシスは鼻柱の内側の鼻孔内を切開して、鼻柱基部の深部に、 ANS,Anterior Nasal Spine:前鼻棘の前までポケットを作って挿入します。プロテーシスのサイズとポケットのサイズが合致していれば動きません。鼻柱内の両側鼻翼軟骨内側脚の間の鼻中隔軟骨の前にも細いポケットを作って円錐形の先端を嵌め込みます。傷は鼻孔内の粘膜にあるので弱いので、最近この1年間は真皮縫合を加えています。狭い視野ですから難しいのですが、創治癒が安定します。レティナーで中心化も図り、傷跡への負担も軽減しています。

症例は21歳女性。診察所見はカルテから転記します。両顎突で頤が後退し、E-ラインよりも口吻が5㎜前。結果的に鼻唇角が喰い込んで80度。相対的に口が出て見える。まずプロテーシスを希望された。触診すると鼻中隔から鼻柱表面まで5㎜は空虚でここに入れるから、さらに鼻柱を3㎜下方へ増量したいので、5+3=8㎜以上の材料を用意することとした。

また、正面像で鼻柱よりも鼻翼が3㎜下にあるから数字上も適応だが、鼻尖も同様に上方にあり、鼻唇角プロテーシスの後に、鼻尖と鼻柱も下げたくなる可能性も示唆しておきました。二次的に経過を診ながら検討することになりました。ちなみに他院で受けた上白唇短縮術の傷跡が目立ち、私の得意分野なので、修正を求められました。

画像は各方向を並べて比較しましょう。

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正面像。思想が前傾前突していると口唇の特に下が前に押し出されます。下面像。口唇の影に鼻唇角が隠れています。

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近接像。鼻尖から鼻柱、鼻唇角が鼻翼基部よりも3㎜以上は上方です。デザインは人中稜に書いて中央を知ります。

IMG_2167鼻孔の中に切開線を描きました。見えない部ですね

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プロテーシスを作りました。上左図は用意した鼻尖から台付きの鼻用プロテーシス。現在私は基本的に鼻尖には入れませんから、台だけ使って鼻唇角プロテーシスに流用しています。上中図と上右図は切り出した鼻唇角プロテーシス。前から見ると三角、上から見ると円形ですから、全体像は円錐系です。中図で底にANSに嵌める溝があります。物差しは撮りませんでしたが測りました。前後最大径は8.5㎜です。

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術直後の画像を診ると、鼻柱の位置が下がり、下面像で鼻唇角が見えます。

IMG_2174近接画像でよく下がりました。

翌日診ました。画像はありません。腫脹でオーバーに増量されていますが、形は喜んでもらえました。創の経過は順調です。

下に術後1週間です。

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何となく口吻突が改善されています。やはり簡便な手術でプラス方向に結果が得られるので、患者さんにとっても得策です。変わりすぎないのも受け易い所以です。

IMG_2217中心にあります。

なぜか上白唇の傷跡が目立たなくなったと仰る。画像を比べて診ると、術前は喰い込んだ鼻孔底隆起の影に創跡の谷線があり、余計に黒く見えました。傷跡の線の下にプロテーシスが入ったら、引っ張られて谷線が平坦になり。光が当たり目立たなくなった模様です。80度から115度に鈍角化しています。

術後3ヶ月です。

IMG_3663IMG_3666IMG_3664ご覧の様に鼻柱は鼻翼より上でも、鼻唇角は鈍角化されています。この様な希望を汲みました。

実は4方向が判りやすいでしょう?!。

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上列が術前

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中列が術直後。

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下列が術後1週間。術直後には腫脹で人中の最上部が膨らんでいました。経過中に変わりました。口吻との前後関係も変化が感じられます。

更に右側面像でE-ラインと口吻の位置関係を診ましょう。

IMG_2160IMG_2176左図が術前、右図が術直後。

もちろん両顎を下げたのではありませんが、上白唇の傾斜が変わると、見た目に口吻の突が軽減して見えるでしょう?!。そこが求められた効果です。

今後ほかの部位での改良も検討して活きましょう。鼻?。鼻唇溝?。頤?。

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4方向では鼻唇角の鈍角化と口吻の突出を隠す目的です。出来ています。他部位の検討は忘れてしまいました。頤が優先事項ですか?。鼻唇溝も意味が大きいです。できる医者はあまり居ませんから、また私を訪ねて来てね!。待っています!。

当院では、厚生労働省より改定され施行された省令「医療機関ホームページガイドライン」に遵守しホームページの修正を行っています。

施術のリスク・副作用について・麻酔薬にて、アレルギー反応を起こす場合があります。その場合は適切な処置を行います。・腫れは個人差がありますが、手術直後から少し腫れがあり、翌日がピークで徐々に引いていきます。目立つほどの大きな腫れは1~2週間程度です。・術後のむくみや細かな左右差の改善には、3ヶ月程度かかります。・内出血が起こった場合は完全にひくまでに2週間程度かかることがあります。・感染予防のため、抗生剤を内服していただきます。・抜糸までの間、鼻下を伸ばす表情はお控え下さい。・口唇部の違和感は、2~4週間程度かかります。・手術後2週間は、口を大きく開けることはお控え下さい。・手術直後は、つっぱりを感じることがありますが、2週間程度で改善していきます。・手術当日は、洗顔をお控え下さい。・手術後3日間は、飲酒・激しい運動・サウナ・入浴など、血流が良くなることはお控え下さい。・手術後1週間(抜糸まで)は、鼻孔部位のお化粧はお控え下さい。・ケロイド体質の方は傷跡が残りやすい場合があります。

料金も提示します。鼻唇角プロテーシスは15万円+消費税。局所のブログ掲載の契約を受けてもらえたら、出演料として20%オフとなります。