2020 . 11 . 17

鼻中隔延長術後に鼻柱基部が喰い込んだら品がない。鼻唇角プロテーシスで美形=上品=おしとやかに!。

鼻中隔延長術は一時流行りました。私も10年前くらいに何例か手術しました。鼻中隔とは、両側の鼻の穴の間の壁です。鼻尖や鼻柱には、(何故か)鼻翼軟骨と称する軟骨があって、鼻尖の形を造り、位置を決めますが、触ると判る様に鼻尖はゆるゆる動きます。それは、硬組織としての鼻中隔の軟骨と鼻翼軟骨は連続していないで、隙間があるからです。そこで鼻中隔軟骨の下端に軟骨を継ぎ足して、それを挟んで鼻翼軟骨を縫合すれば、鼻尖や鼻柱の位置を変えて固定出来ます。これが鼻中隔延長術です。ただし、延長する軟骨の材料には限りがあり、鼻尖を前に押し出すか?、下に下げるか?、鼻柱の途中まで下げるか?、等々鼻尖から鼻柱基部までの全体を下げられません。また余り硬い材料だと、鼻尖付近を全く動かせなくなり、ちょっと触ると痛みます。結果的に摘出を求められた症例さえもあります。

鼻が高くない=前に無い=鼻陵(鼻スジ)の延長線上より後方にある場合は、鼻翼軟骨の位置を前に押し出す様に鼻中隔を延長します。鼻尖が上にある=ショートノーズ(アップノーズではない)では、下方向に継ぎ足します。鼻翼軟骨は鼻尖の両側のカーブ(外側脚)から鼻尖の下(中間脚)そして鼻柱内(内側脚)に繫がりますが、どこをどの程度押し出すのかは選択の余地があり、デザインが難しいのです。結果的に鼻尖から鼻柱の途中までが下がって、鼻柱基部が喰い込む症例は多く存在します。当然に鼻唇角プロテーシスの適応があります。最近4年間に鼻唇角プロテーシスを挿入した症例の中に数例ありました。

前にも説明しましたが、鼻唇角プロテーシスは、父が得意としていた台付きL型プロテーシスの一部だけを使う手術です。I型プロテーシス+鼻尖軟骨移植+鼻唇角プロテーシスは分離型として、台付きL型に対抗して、当時有名なD婦人の初療医が得意としていました。父は他医が入れたプロテーシスを抜いて台付きL型に入れ替えていましたが、抜いたプロテーシスはストックしていました。その中には他の院で為された物はありませんでしたが、分離型は見た事があります。

父は晩年、私も仲の良いリッツやベリテの医師達に講義をしました。彼等は多分、鼻唇角プロテーシスを抜いた患者さんがいたのでしょう。父は教えを請われたので見せたそうです。彼等は韓国の医師にも知り合いが多く教えてあげた様です。今や韓国の美容外科医は”ネコ手術”とかいって宣伝して、鼻唇角プロテーシスを多用しています。最近韓国での宣伝効果がSNSから私に波及して、私に鼻唇角プロテーシス挿入術を希望する患者さんが増えました。行って返ってのUターンです。

症例は29歳女性。6月に来院。4年前鼻中隔延長術をSで鼻中隔軟骨でオープン法で受けた。鼻尖と鼻柱の前半分は下がったが、鼻唇角(鼻柱基部)が喰い込んだ。側面像で角度は鋭角、約65度。鼻柱方向まで長めに作り、溝作って鼻中隔軟骨に嵌め込む手技を予定。

最近再来。典型的に鼻中隔延長術の造り方で、鼻尖と鼻柱の前方が下がった為に鼻柱基部が喰い込んだ症例なので、鼻唇角プロテーシスの適応だと判断された。鼻中隔軟骨がすぐ上にある。プロテーシスに溝を造って軟骨に縫合すれば位置が固定あされる。眼瞼3年前切開。右が落ちた。重瞼が浅い。ネオシネジン点眼で開くが重瞼は浅い。NILTの適応。同時でも可能と示唆したが、当日までに検討することとした。

今回画像は3次元的に両側面と両斜位像を見比べて視ましょう。

IMG_4003IMG_4002IMG_4004IMG_4005

上列は術前。鼻唇角=鼻柱と白唇(鼻の下)が造る角度は65度と鋭角です。斜位像では鼻柱基部が見えません。

IMG_4014IMG_4013IMG_4016IMG_4015

上列は術直後。鼻唇角は鈍角化して、約100度です。「話しが違うじゃあないか!?。」「90度の直角が目標だったはず。」と云われそうですが、手術直後は腫脹(腫れ)と局麻の液で押し出されています。実は挿入した直後に縫合しないで、患者さんに見せたのですが(創は前からは見えません)、見た途端に患者さん「美形ですね!。」とほれぼれとしていました。自らにほれたのか?、私の結果に悦んでいたのかは解りません。両方でしょう・・?。尚斜位像でも鼻柱基部が見えます。

IMG_3999IMG_4011

正面像は術前と術直後。術前に見えなかった鼻柱基部が術後はかろうじて見えます。影の濃さも違います。何故か術後は笑顔です。嬉しいのでしょう。笑うと口角が挙がると共に白唇も挙げるので鼻唇角も喰い込むのですが、それでも品があります。

IMG_3999IMG_4007

近接像の術前に並べてデザイン画ですが、鼻柱基部から人中稜に掛けて印します。これが中心化を示します。そしてプロテーシスは線間の上方に納まります。その物は⤵️

IMG_4010IMG_4008

上左の画像はプロテーシスを横から見た図。前後8㎜あります。図中右側が前ですが、後より若干膨らませています。鼻柱を押し出す為です。上右図はフォーカスミスですが、プロテーシスの正面像 です。この幅は人中の幅よりも若干大きいです。円錐形の先端は鼻柱の中部までの長さです。

もう一つの特殊手技として、鼻中隔延長術の結果軟骨が鼻柱の中に突っ立っている筈で、プロテーシスの後ろがぶつかって真ん中に入らない可能性がありました。先ず剥離してポケットを造っていったら、ありますあります!。軟骨の先端を見出しました。入れてみたらプロテーシスの尖っている側が当たります。

こうなると、軟骨にプロテーシスを縫合出来ます。さもないと左右どちらかにズレます。先ず軟骨に糸を掛けて、その糸をプロテーシスの先に引っ掛けてから入れ直します。同時に糸を結んでいくと中央に留まりました。私いきなり「やったア〜!、ほら真ん中にある。」と叫んでしまい。患者さんは判っているけれど、ビックリ。助手をしている看護師さんは目の前で叫ばれて顔を顰めます。だってえ〜・・、この技は特殊で他に出来る人いませんよ。だから患者さんは私に罹ったのです。前に一例だけブログにこの技が載っているのを患者さんは視たからでもあります。

これが入って術直後の画像です。巧く出来ました。

IMG_4012IMG_4020

前から診て(画角が曲がった)中央にあります。下面像では鼻の穴の大きさ形が左右対称です。鼻柱の前弯のカーブから鼻柱基部へ丸みがあり、人中への角度が丸みを帯びます。これがお淑やかな口元です。因みに正面からでも下からでも創は見えません。鼻孔縁には環状の膨らみがあり、その後を切るから見えないのです。

いろいろ勝手に形容して記載してしまい申し訳ありません。でも患者さんは解っていますし、この変化に本人が感動しています。嬉しそうです。次回抜糸時に画像を頂きますが、感想が楽しみです。いつも言う様に術直後は腫脹でオーバーコレクション,over correctionです。この手術の侵襲の程度だと術後1週間で後戻りと言うかわずかに角度が減ります。残念感がわずかに感じます。でも患者さんはブログを視て知っていますし、優しい可愛い女性ですから悦びを表わして下さるでしょう。お楽しみに!

術後1週間で抜糸しました。

IMG_4210IMG_4211

鼻柱基部が鼻翼基部より明らかに下方にあります。縫合固定したから、中央にあります。成功!

IMG_4214IMG_4217IMG_4212

 

斜位でも側面でも判りますが、鼻尖も押し挙げられています。下面像では傷跡も見えません。中央にあるのは明白です。また、鼻唇角のくぼみがなくなりました。

いろいろ聴きたかったのですが、一言「形は満足ですか?。」と訊いたら、「ええー。」と云ってくれたのでそれだけです。今回の症例は鼻中隔延長術後で縫合したので、固定性は良好ですから、レティナーはもう不要でしょう。「就寝時だけ使っては?。」と訊いたら「たいてい朝には抜けてどっかに行っているのです。」「じゃあ不要という事で。」となりました。次回確認します。

当院では、2018年6月に厚生労働省より改定され施行された省令「医療機関ホームページガイドライン」に遵守しホームページの修正を行っています。

施術のリスク・副作用について・麻酔薬にて、アレルギー反応を起こす場合があります。その場合は適切な処置を行います。・腫れは個人差がありますが、手術直後から少し腫れがあり、翌日がピークで徐々に引いていきます。目立つほどの大きな腫れは1~2週間程度です。・術後のむくみや細かな左右差の改善には、3ヶ月程度かかります。・内出血が起こった場合は完全にひくまでに2週間程度かかることがあります。・感染予防のため、抗生剤を内服していただきます。・抜糸までの間、鼻下を伸ばす表情はお控え下さい。・口唇部の違和感は、2~4週間程度かかります。・手術後2週間は、口を大きく開けることはお控え下さい。・手術直後は、つっぱりを感じることがありますが、2週間程度で改善していきます。・手術当日は、洗顔をお控え下さい。・手術後3日間は、飲酒・激しい運動・サウナ・入浴など、血流が良くなることはお控え下さい。・手術後1週間(抜糸まで)は、鼻孔部位のお化粧はお控え下さい。・ケロイド体質の方は傷跡が残りやすい場合があります。

料金も提示します。鼻唇角プロテーシスは15万円+消費税。局所のブログ掲載の契約を受けてもらえたら、出演料として20%オフとなります。