2023 . 5 . 8

MACS Liftと広範囲剥離Jowl Liftの組み合わせ法は定番になり、効果抜群で持続します。今回は更にもう一つ、上白唇短縮術の追加で人中を寄せて可愛らしさアップを。

下顔面を目標とした広範囲剥離リフト手術は、Jowlを無くします。Jowl,ジョウルは動物の垂れた顎です。辞書にも載っている一般英語です。人では、下顎骨縁の口角の下のマリオネットライン(これも人間を模した操り人形の割れた口の線)の外側に下顎縁のカーブより外下に膨らんでいる弛みです。ある患者さんは「おむすび型。」と表現していました。下膨れと呼んだ患者さんもいらっしゃいました。私は五角形と称したり、日本ではよくブルドッグと呼んで説明して来ました。

これまで何度も書いて来ましたが、Jowl の解消には広範囲剥離皮下リフトはお得です。お得というのは費用対効果です。USAでは20世紀に入って戦前に既にRhytidectomy,シワトリ術が発表されています。切って縫うだけです。すぐ戻ります。1974年には、やはりUSAでSMAS,Superficial Musculo Aponeurotic Systemの概念が見出されて手術されました。筋膜を引き上げるのです。でもJowl に対しては意外と後戻りします。なぜなら顔面の前方のSMASは菲薄で弱いからです。21世紀に入ってRetaining Ligament,支持靭帯を付け替える靭帯法が考案されました。靭帯は強固ですから後戻りは皆無に近いはずです。でも支持靭帯の層には、顔面神経が似た走行であり、損傷を避けるためには繊細で難しい技術と特殊な道具を要します。従って多大な手術時間を要し、当然に費用も高額(桁が違う)です。コスパが悪いです。同時期にExtend face liftも考案されました。皮下でもSMAS下でも耳の前からJowlまで剥離します。上記の様にSMASは弱いので廃れましたが、皮下剥離は有用とされます。広範囲皮下剥離リフトは靭帯法に次ぐ効果と持続性がると証明されています。

ところで今回は上白唇短縮術の2回目も施行します。小柄で小顔で、面長ではない患者さんですから、加齢も影響しての上白唇の冗長が気になるのです。1回目で長さは20㎜から4㎜短縮して16㎜で後戻りはしていません。人中部を寄せて縫合して人中溝を造り、赤唇を強調してセクシー度アップしたのですが、更に追加したい希望もあります。口輪筋が厚く、白唇が厚いのを目立たなくしたい気持ちも汲めます。前回1.5㎜ずつ寄せたのですが、今回も要望されました。人中の表情と赤唇の可愛らしさは画像で見られます。

症例は46歳女性。いつも優しい患者さんで、これまでも何回かブログに登場してくださっています。優しい物腰で、いつも私をご愛顧いただいている一流の女性社会人です。月単位で時間が取れたと申告され、二つの手術の希望を述べられました。診察内容は割愛します。

画像は各方向の術前と術直後を比較しましょう。

術前とデザイン後の正面像。下顎縁の卵形のカーブに外側に膨らみが見え、デザインでは、その部分を点線で囲んでいます。これがJowlでおむすび型の下膨れの所以です。

皮膚は耳垂部で㎜、耳珠部で㎜切除、耳後部は切除ではなく㎜吊り上げました。上右図は術直後。局麻の分量と術後反応で、下顎縁全体が外側に腫脹していますが、”全長”に亘っていて、Jowl だけが外突ではありません。つまりJowlの弛みがなくなっておむすび型が改善されています。

4方向で比べます。

右側面像の術前、デザイン後、術直後です。術前にJowlが見え、デザインはその部まで剥離する予定です。術直後はJowlだけの膨らみではありません。

右斜位像では、Jowlの前に折れ返りの影の線が見られますが、術直後には見えません。

左斜位像では下顎縁全長に弛みが見えましたが術直後は全体が腫脹しています。

左側面像でも同様に引き上がっています。

この様に下顎縁からその上の全体が腫脹していますが、術後経過で腫脹が軽快していくと下顎縁の卵型のカーブが再建されて見えていきます。下の術後1週間ではどうでしょう?。

まだ下顎縁の上の剥離範囲が大きいです。

4方向では下顎のカーブがスッキリして見えます。

この後2週間経て、日程を作ってあったので、上白唇短縮術の2回目を施行しました。前回は、4㎜切除で、両側鼻柱基部よりも人中稜を1.5㎜内側に寄せました。今回も同様のデザインを使います。画像を観てください。

術前とデザイン後と術直後。赤唇が薄かったのが厚くセクシーです。

近接画像で手術中の重要ポイントを説明します。術前は赤唇が薄いだけでなく、口角は下がっていないのにその内側の赤唇が見えません。寂しい口元です。

切除は皮膚皮下脂肪全層で、その深部にある口輪筋を折り畳んで縫い縮めます。この時点で赤唇は外反します。その後鼻翼機部と鼻翼の横の創を辻褄を合わせて真皮縫合した後が上左図です。続けて鼻柱基部と人中稜を1.5㎜ずらして糸を掛けました。上右図で透明の糸が斜めに見えますか?

その二本の糸を結紮すると、人中稜間が狭く、Cupid’s bow赤唇縁の弓の頂点が近づき唇に表情が出来て、赤唇中央の膨らみ、結節が前を向いて私がいつも表現するキスシーンの口が造り上げられました。続いて創全体を縫合して外反を強調します。

4方向の術前が上列、術直後が下列です。術前は口が締まりお淑やかですが、寂しい!。赤唇が薄いと貧相です。術直後は白唇が腫れて前に傾きますが、赤唇が外反して厚くなるとセクシーです。

さらに今回のリフト後2週間の画像も視ましょう。

腫脹が軽減してきました。まだ40%程度残りますが、下顎縁のカーブが卵型になって結果が見えて来ました。

4方向で診ると下顎縁のカーブが綺麗に弧を描いているのが解ります。

次回は更に腫脹が軽快して美しさ倍増の口元と下顔面を魅せられるでしょう。

リフト手術後1.5ヶ月。口唇手術後1ヶ月です。

まだエラ(人間には鰓はないが、下顎角部をこう言う)の咬筋部付近、剥離腔の後ろ側に腫脹が40%程度残っています。でもJowlは膨らんでいません

両側面像でも、両側斜位像でも、咬筋部は見えますが、Jowlは観られません。

両側鼻翼基部間の傷跡はまだ赤い線です。やや長引く生体ですが、必ず白くなります。患者さん「6年ぶりに会った人に『変わらないね!。』と云われました。」とお悦び!。本当は綺麗って想って欲しいのですが、何より優しい雰囲気が倍加しています。一流人は美しい。

リフト術後3ヶ月の画像です。

何しろJowlは消失しています。その後ろはエラです。

どこから見てもJowlはありません。

もう一度上口唇を診せに来てくださいました。

人中部で13㎜で固定しました。

赤い線は目立たなくなりました。

当院では、厚生労働省より改定され施行された省令「医療機関ホームページガイドライン」に遵守し、ホームページの修正を行っています。

施術のリスク・副作用について・麻酔薬にて、アレルギー反応を起こす場合があります。その場合は適切な処置を行います。・腫れは個人差がありますが、手術直後から少し腫れがあり、翌日がピークで徐々に引いていきます。目立つほどの大きな腫れは1~2週間程度です。・術後のむくみや細かな左右差の改善には、3ヶ月程度かかります。・内出血が起こった場合は完全にひくまでに2週間程度かかることがあります。・感染予防のため、抗生剤を内服していただきます。・抜糸までの間、鼻下を伸ばす表情はお控え下さい。・口唇部の違和感は、2~4週間程度かかります。・手術後2週間は、口を大きく開けることはお控え下さい。・手術直後は、つっぱりを感じることがありますが、2週間程度で改善していきます。・手術当日は、洗顔をお控え下さい。・手術後3日間は、飲酒・激しい運動・サウナ・入浴など、血流が良くなることはお控え下さい。・手術後1週間(抜糸まで)は、鼻孔部位のお化粧はお控え下さい。・ケロイド体質の方は傷跡が残りやすい場合があります。

費用の説明も加えなければなりません。広範囲剥離中顔面リフトは80万円+消費税です。上口唇短縮術は28万円+消費税。ブログ掲載の契約を受けてもらえたら、出演料として20%オフとなります。