2024 . 5 . 14

Augmentation,増大効果≒充填法には、硬くない組織を造るPRPが綺麗です。逆にその様な考えでないとうまく埋まらないかな?。

PRP,Platelet Rich Plasma療法は、美容皮膚科領域で喧伝される、皮膚の張りを造る注入剤ではないと考えます。題名に書いた様に充填材です。加齢や生来からの減量部位に組織を取り戻す作用が見込めます。患者さんは「たるみ、弛み。」と簡単に言いますが、加齢で起きる変化(変形)には下垂と減量と伸展があります。

加齢で皮膚は伸びます。面積が増えた皮膚は皺シワになるので、弛みと表現されます。さらに皮膚は伸びると、重力で落ち下がります。下垂です。視点が下方移動するから弛みに見えます。そして顔面皮膚には、支持靭帯と表情筋という支えが所々に付着しています。顔面骨から表情筋を貫いて皮膚の裏の真皮層に到る柱みたいな紐状のコラーゲンの束です。ですから、下垂して膨隆した部分が上から、人体で支えられた皮膚皮下組織に伸し掛かり、下に折れ返り線に溝が出来ます。そして溝の組織は骨に着いているので増量しませんから、上と比べて相対的に減量して見えます。ですからシワと溝は成り立ちが違います。

実際若年時に比べて組織は減量して来ます。たとえ体重増加しても眼瞼の皮膚が進展して表面積が増えた分ほどの脂肪の増量は起きないのでしょう。溝の部位は弛みといっても、影が目立って弛みに見えるのです。上から主に3箇所です。瞼頬溝,Palpebro jugal groove(クマ)が、目袋の下のOrbital retaining ligament,眼窩支持靭帯の部位に出来ます。根本的には目袋の中の眼窩脂肪を取って皮膚を吊り上げる手術が効果的ですが、溝を埋めれば目袋も見えなくなります。鼻唇溝,Nasolabial fold(ほうれい線)は表情筋の頬骨筋群が皮下に付着して後ろ向きに引き込んでいます。溝の角度が窄まってくると、余計にやつれて見えて来ます。口角下溝(マリオネットライン=操り人形の口角の下の割れ目)は、Jowl fatが下垂して来て、下顎靭帯の口角下制筋を通る靭帯に伸し掛かって来て溝となっています。口角下制筋も作用していますから、口角も下がって来ます。

本日ご紹介する注入充填増量療法に着いてご説明します。英語でもFillerと呼びます。訳せば充填材です。約半世紀前にコラーゲン注入剤が発売されましたが、体内のコラーゲンのリモデリングにしたがって数ヶ月で吸収されました。当時父は「インチキだ。騙しだ。ぼったくりだ。」と怒っていました。今世紀に入ってヒアルロン酸が生体材料として抽出されました。長持ちさせるには硬くしなければならないので、ボコる危険があります。ところで半永久的と称して非吸収性の製剤を使う美容整形屋がまだ居ますが、危ないので騙されない様に気をつけましょう。シリコン注入禍を覚えている人は少なくなったので、警鐘としてもう一度書いて置きます。

PRP療法は四半世紀前から注目されて来ました。当初は他科が先行して来ました。ご存じの様に整形外科がアスリートに局所注入して、靭帯等を再生して、競技能力を再生しています。歯科では痩せた歯肉や溶けた骨を再生させて、歯を刺す(差し歯やインプラント)土台作りに使われています。何にしても、組織を増量させる効果を求めて局所注入されています。形成外科領域では、外傷や疾病での皮膚軟部組織欠損を保存的に補う際に使われています。さて美容皮膚科領域では、皮膚の成分を増量して張りを出すとの売り込みが為されましたが、皮膚全面に浅く注入しなければならずかなり手間と時間が取られる為普及しません。

そして私達は、美容外科の分野でいち早く取り入れました。今から15年前です。組織の増量と陥没部への充填効果を求められると見込んで、実は私と池田先生とが打ち合ってみました。確かに見事な効果がありました。私などは3年後でも、二日酔いの翌朝に顔が浮腫んでいると、下を向いたら瞼頬溝に見えるくらい埋まっていました。そういえばスポーツ選手が黒い日除けテープを貼っている部位で、私は頬が前にあるから見えてしまうのです。でも「これは良い!。」と、その後積極的に利用してきました。ちなみに私は、最初だけ一回、実験として打っただけで、その後は打っていません。ですから皆さんも、私の顔に瞼頬溝があるのは知っています。

と言う訳で、今から15年前から、PRP療法は美容外科分野でも普及しましたが、再生医療の一種なので、10年前(ノーベル賞の後)から厚労省の認可制度が成立しました。認可が難しい上に、正しい製造方法でなければならず、注入部位と量も報告しなければなりません。したがって危ないチェーン店系では認可が降りなかったままの所が多い様です。私達は先駆けの一人なので認可され、その後も継続的に治療に使って来ました。むしろ年々増えています。

今回PRP療法の学問的仕組みについての説明は、これまで何回か書いたので省きます。持続性は1〜2.5年ですが、2ヶ月後からLASER照射を毎月繰り返すと3年以上の持続効果が見られます。2回目以降は持続期間が伸びます。とは言っても私の患者さんは年単位でPRP療法を繰り返す人が多くて、毎年お喜びの声を聴くのが楽しみとなっています。

症例は65歳女性。当初はご覧の様に下眼瞼に稗粒腫が多発していて、4年前に来院されて、前医がCO2 LASERで何回か焼きましたが、傷だらけになるので限界となりました。その後半年前に目の下のシワを治したくて前医に依頼して,昨年11月にPRP注入をされました。

その後昨年末に何故か私に罹りました。聴くと、PRPを瞼頬溝だけに入れたかったが、下に周ったと診られます。患者さんはSNS上で視て、膨隆が怖いと訴え、ステロイド局注も必要かと載っているので、私に罹った様です。続けて私のブログを視て、巧く出来ているので私に罹ったと云われました。前医が入れたPRPの上下に折れ返りの段差があるので、そこを埋めれば平坦化できると見て取れました。どうせならついでに鼻唇溝やマリオネットラインも埋めたいと希望されました。実は私、心の中で”前医は美容?皮膚科医に徹していて、皮膚科医と同じくに、やはり浅く皮内層に注入している。充填材と捉えていないのだ。観点が間違っているのでしょう”と叫んでいました。

今年に入って患者さんは確認のために再来されました。実は20年前に他院で下眼瞼手術を受けていますが、影響や問題はないでしょうか?。私診て「そこには入れませんから大丈夫です。」稗粒腫は限界ですね。私「同部位ですが、まず溝を平坦化しましょう。」とお願いします。前医でのPRPでも瞼頬溝の上に影が、ゴルゴ線にも足りない部分があると診い出しました。鼻唇溝と口角下溝(マリオネットライン)もでPRPを2CC注入しましょうとなりました。

画像は各方向を経時的に載せていきます。

上二葉は正面像。左図の術前像では、瞼頬溝部にしわしわ、ウネウネに入っています。両側共に、その上下に折れ返り線が診られます。上右図の注入後の画像では、溝が埋まって平坦化しました。ごつ後線まで増量したのでMalar部が前に出て明るい雰囲気です。他の部位、鼻唇溝や口角下線(マリオネットライン)はそれなりに浅くなりました。

斜位像の上二葉が術前像、下二葉が注入後像。斜めから診ると、しわしわが目立ちます。

上二葉の注入後は平坦化して、Malar部も前に出て若々しい。

側面像での上二葉が注入前と下二葉が注入後。

側面像では、下眼瞼頬溝のしわしわ感の改善性はよく解りませんが、Malar部が丸みが出来て明るい雰囲気に変わりました。

注入後2週間で来院されました。いきなり上眼瞼が発赤と腫脹していました。

注入後ではなく、数日前からだそうです。花粉症の時期ですが、解りません。注入部も発赤腫脹しています。ただし、前回もだったそうで、概ね3ヶ月は様子見ることになりました。

上の斜位像でも発赤腫脹が診られますが、今回の注入前よりは段差が埋まっていると仰ってくださいました。下の側面像でも確かに、下眼瞼とMalarの段差は見られなくなっています。

様子見て1ヶ月後に見る予定です。

炎症で増えてはいますが、「今回の注入前よりずっと良い感じです。」と仰って下さいました。

斜位像でも側面像でもなんとか平坦化しました。

術後2ヶ月で見せてくださいました。前回のPRP

が浮いた様に増えています。この時期PRPを注入して2ヶ月頃は一度減っているのです。だからLASERを当てて再建したい時期なのです。

斜位で観ても、前回のPRPが浮いていますが私の注入前よりは目立たないとお喜びです。

側面像では凹凸は見られません。

次回注入後3ヶ月ですが、その前にLASERを当てますから変遷するでしょう。

本日LASERを当てに来院されました。

ご覧の様に凹凸は目立たなくなりました。良しとして下さいました。

ならば、保つためにも、LASERを毎月でも定期的にどうぞとお願いしました。

当院では、厚生労働省より改定され施行された「医療機関ホームページガイドライン」に遵守しブログを掲載しています。 医療法を遵守した情報を詳しくお知らせするために、症例写真・ブログに関しましても随時修正を行っていきます。症例写真の条件を一定とし、効果だけでなく、料金・生じうるリスクや副作用も記載していきます。ブログにも表現や補足の説明を付け加えさせていただきます。

施術のリスク・副作用について:・麻酔薬にて、アレルギー反応を起こす場合があります。その場合は適切な処置を行います。・腫れは個人差がありますが、手術直後から少し腫れがあり、翌日がピークで徐々に引いていきます。目立つほどの大きな腫れは1~2週間程度です。・術後のむくみや細かな左右差の改善には、3ヶ月程度かかります。・内出血が起こった場合は完全にひくまでに2週間程度かかることがあります。・感染予防のため、抗生剤を内服していただきます。・手術直後は、つっぱりを感じることがありますが、2週間程度で改善していきます。・目頭の切開部位は、目やにがでる場所ですので、消毒にご来院下さい。・手術当日は、洗顔をお控え下さい。・手術後3日間は、飲酒・激しい運動・サウナ・入浴など、血流が良くなることはお控え下さい。・手術後1週間(抜糸まで)は、切開部位のお化粧はお控え下さい。・ケロイド体質の方は傷跡が残りやすい場合があります。

PRP作成から注入治療までの料金は1CCが10万円+消費税、2CCでは15万円+消費税ですから、2cc以上がお得です。通常瞼頬溝には約1CC、鼻唇溝やマリオネットラインには深さによりますが1CC以下で足ります。PRP後のYAG LASERは本来1万円のところ、五千円としています。