2016 . 4 . 8

遠方からの患者さんが増えています。PRP&スレッドリフト

先週いらっしゃった患者さん。今まで何回もの美容医療を受けている由。なんか違う。症例は55歳、女性。来院当日にいくつかの美容医療を希望されました。

今回PRP2ccによる目じり、ゴルゴライン(鼻頬溝)、鼻唇溝(法令線は人相学用語です。)、頤の凹凸(なんか入っているのが凸凹)の改善。3Dリフトとコグリフトの併用でJowlの改善。ついでにBTXで目じり下眼瞼の小じわも消せるといいですね(すぐには効果が出ないので今回の画像では提示出来ない。)

実は外国在住の患者さんです。でも、帰国するたびに美容医療を受けている模様。情報がないのか、よく判らないのか、受けている施術のコンセプトがバラバラで、どこがどうなっているのかさっぱり判らない症例です。よく視診して、触診するといろいろあるみたいです。

という訳で、今回急遽治せるところを、手をつけました。術前と術直後の画像を提示します。経過写真は送ってもらう事になりました。

まずは下図。左は術前、右はリフトとPRPの後です。

OLYMPUS DIGITAL CAMERAOLYMPUS DIGITAL CAMERA

下図は切らない眼瞼下垂手術の術前と術直後。

OLYMPUS DIGITAL CAMERAOLYMPUS DIGITAL CAMERA

極端に目を見開いてくれました。さすがにこんなに強化したつもりはありません。でも逆に術前の写真は目を細めている。演技派ですかね。

何よりリフトの効果ははっきりしています。とは言ってもスレッドリフトではここまでで、Jowl に対しての効果だけです。しかし、逆にJowl にはスレッドリフトが効きます。Jowl とは、豚の垂れ下がった顎と言う一般用語です。USAではよく使うそうで、言い得て妙ですね。アッ、ハワイ在住のUSA人ですよね。聴いてみましたが、判らないとの回答でした。術前の画像で顎のラインがブルドッグ状に波打っているのが判ると思います。術後は下顎のラインが曲線になりました。どれだけ保てるかは経過観察をお楽しみに。

何カ所かに注入材が入っているのですが、何だか不明です。どうも非吸収性剤か硬いものの様で、鼻唇溝に帯状に診られます。頤(下唇から顎先)にブツブツがあるのは注入材かにきび跡か不明です。これらをPRPで隠そうとしました。鼻唇溝のは画像上は判らないかも知れませんが(近接像を撮って置けば良かった。)、目立たなくなりました。頤は点状に多数カ刺入したので血だらけでよく判りませんが、凹凸は減りました。これらは浅層に注入する事で皮膚に張りを出す方法です。

PRPは、深層に注入する際にはAugmentation の効果を得られます。増大と訳します。Volume up とも言いますが、美容目的だけでなく加齢により減量した皮下組織を補充する際にはAugmentation の方がUSAではよく使われます。Aug. とは音楽用語にもありますから、日常語です。

ところで、身体の組織の成り立ちを説明しますと、皮膚は表皮(細胞がシート上に並んでいる層)と真皮(コラーゲン繊維がヒアルロン酸と言うジェリーの中に詰まっている層+毛細血管)から成りますが、PRPは細胞を分裂増殖させ、コラーゲンをも増量します。だから、皮内や皮下直下に注入すると、皮膚を厚く丈夫にするため、張りが出て小じわも埋められます。でもその為なら、ヒアルロン酸等の注入でも可能です。対して皮下組織は、コラーゲンの編み目の中に皮下脂肪細胞が蜂の巣状に詰まっています。PRPでは、この層の増量効果もあると証明されています。CTやMRIで調べられています。でも全体のVolumeが増えるのであって脂肪細胞の分裂増殖が起きているのか、網目状のコラーゲンが増量したのかは不明です。いずれにしても加齢により減量した皮下組織を補うのにPRP療法は有用です。私達の臨床経験が証明しています。数年前に学会で報告しましたが、絶賛されました。

PRP療法の詳細に着いては書き始めると長くなりますので、次回経過時とします。今回はまず症例のご紹介から。