2024 . 6 . 7

7年前から診ている患者さん。徐々にJowl が垂れてきたら Lift が適応。広範囲皮下剥離なら効き、長持ちします。

題名にある様に、私のブログに載る手術症例はリピーターが多いのです。リピーターと言っても、注入や当て物だけでなく、手術症例もリピートされます。これには二つの理由があります。

一つには、それまで私が注入などの簡便な治療(いわゆるプチ整形)をした患者さんでも、ただ打つだけでなく、私が美容的素養を披歴して、患者さんもノって、美について語ってきたからです。そんじょそこらの若造と違って、美容形成外科医としてのキャリアーが長いのは経歴を見れば判りますし、幼少時から父に仕込まれました。前にも書きましたが、父に同行していたら、「あそこに歩いてるのが美人っていうんだぜ!。」とか教えてくれたものでした。美容的素養は目で見える外面的観点だけでなく、内面的または精神的観点、社会的観点まで仕込まれました。チェーン店系のビジネス的美容整形屋は、数をこなさないとクビになるので、美容的観点など学ぶ暇はありません。診療時にも、患者さんに説明する時間を持てません。対して私の診療は、美について楽しく語りながら行いますから、患者さんは次の美容形成外科的診療に進みたくなるのです。

二つ目は、その広告法が適正だからでしょう。もちろんクリニックのホームページはありますが、私は独自の治療法を学び開発してきましたから、載せ切れていません。ですからほとんどの患者さんは、ブログを視て来てから私に罹ります。SNSは色々な種類があり、インスタやFacebookは画像も限られ、文章は少ないし、ツイッターに於いては文は”つぶやき”で、説明になっていません。ブログはこの版の様に、細かい説明文を書けます。また、更新の度に画像を追加していますから、術前術後の比較だけでなく、3ヶ月の中期的な標準的経過も判ります。手術が主ですから、患者さんはダウンタイムを知ってから罹ることが出来て、計画が立てられるので、治療を受け易いのです。また美容に付いての知識も載せています。結果的に、実際の診療場面での私の説明は繰り返しになりますが、既に理解が得られているから診療がスムースに進むという利点があります。

ところで昨今、形成外科医が美容外科診療に進出するチャンスが増えました。それまではチェーン店を敵視してきましたが、21世紀初頭から「形成外科医が美容外科診療に進出する様に!。」と、学会で奨励されました。それまでJSAPSとJSASは対立していましたが、徐々に学会の構成員も融和しました。しかしそこで言えるのは、形成外科医は医学的知識と技術は非形成外科に比べて格段に上級ですが、美容的素養は大学病院では学びませんから、身に付けていないと思われます。

形成外科医が、美容的素養を身(本来は脳と目)に着けるには、まだ美容外科医療に対する意識が至らないので、手をこまねいている医師がほとんどです。私は医師になると同時に日本形成外科学会と日本美容外科,JSAPSに加入して学んできました。途中からJSASにも加入しました。多くの美容形成外科医は一方だけです。大学病院の形成外科に入局したら、日本形成外科学会には加入します。チェーン店に入職したら、非形成外科医の集まる日本美容外科学会,JSASだけにしか入れません。私の様な三つの学会に加入している医師は稀有です。

切開リフト手術を、上中下に分けて時間を掛けて手術することは定番になりました。中顔面にはこめかみリフト、JowlにはMACS liftです。今後はMid face liftも取り入れようと考えています。でも多くの患者さんはJowl から治したくなります。Jowl は一般英語で動物の顎、日本ではブルドック顔貌と呼びます。骨格に因ります。生来下顎のラインが逆卵型で美形の人は、Jowlが骨格を損ねるのを嫌います。また個人差はあって、頬骨の横張った人は逆に中顔面の弛みが気になります。こめかみリフトから入る適応です。この様に使い分けて一つ一つこなしていくべきです。患者さんの生来の個人差を見極めることも美容的素養として求められるのです。

症例は50歳女性。7年前に眉下切開を私が手術しました。傷跡が目立たなかったと感激されました。昨年2回目の眉下切開していますが、やはり傷跡は、ご覧の様に見えませんからお喜びです。

信頼が得られたのでしょう。本年の夏に再来されました。いきなり「ブログ視ました。」とおっしゃり、「リフト手術受けたいです。」「見てみて、このJowlがいやなんです。」と、ブログを視ているからよくご存じです。話を耳に入れつつも、私は冷静にカルテを記載します。頤が短いのでJowlが目立つ。頤の後退は軽度で、生来は下顎骨縁の曲線は綺麗だったと訴えます。7年前の画像を開けてみて「本当だ!、Jowlは無い!。」と同意します。”ブルドッグ状”と失礼なカルテ記載もしました。そして下から診ても、下顎下の頸部には弛みが診られません。頤の後ろの二重顎は軽度ですから次の課題とします。

手術プランは上記所見から立てました。Jowl liftが優先で、MACS liftの切開で耳後部の切開は、ドッグイヤー予防のために曲げますが、頸部が弛んでいないので生え際までの切開は不要です。PRPを併用して、止血と癒着促進を目論むことがより効果的です。

画像は各方向の術前、術中、術直後から掲示します。その後も更新時に経過画像を追加します。

正面像では、上左図の術前と上右図の術直後を比較したら、術後の方が顔が大きいのですが、よく見ると、下顎縁はJowlだけでなく全体が腫れています。これは剥離腔の範囲全体のベースの皮下脂肪が腫脹しているからです。

翌日は局麻が吸収された分、手術直後よりも縮小していました。血腫は診られません。後出血も少量でした。今後の経過が楽しみです。患者さんは「出血も少なくて、さすが先生上手!、嬉しい!。」と感激していました。

上左図は術後1週間で一部抜糸した後。上右図は術後2週間で全抜糸後。どちらにしてもまだ腫れています。でもご覧いただける様に、マリオネットラインが消失しています。社会復帰はとっくに可能でした模様で、周囲の男性に「若くなったね!。」と云われたとお喜びです。

何故か次の画像を載せ遅れました。下には術後1ヶ月と3ヶ月です。

ご覧の様に、術後1ヶ月ではJowlに膨らみが残っています。触れると硬結で血腫と判断しました。直ちにステロイドの局所注射をしました。術後3ヶ月の画像では消失しています。結果的に下顎縁の骨格が綺麗に見られ、顔面輪郭が逆さ卵型になっています。

患者さんは「他のクリニック(S.)で受けた知り合いと比べて圧倒的に差がある好結果と云われた。」とお喜びでした。傷跡も消えつつあり、形態的にも変形がないと解ってくれる患者さんです。下段に簡単に説明します。

 

下には斜位像で比べましょう。

術前はJowl(マリオネットラインの外側)だけ膨らんでいます。術後は下顎縁全体が腫れています。

上左図は術後1週間、上右図は術後2週間です。抜糸ですが、術後1週間では耳珠部を除いた耳前部と耳後部の後ろに曲げた線だけとし、術後2週間で耳珠部と耳後部の折れ返り線を全抜糸します

つまりJowlは消失しています。

上左図が術後1週間。上右図が術後2週間。やや下向きでもマリオネットラインは見られません。

術後1ヶ月です。右のJowlにまだ腫脹が残っていますが、↓

術後3ヶ月ではJowlが見えません。

 

下からは右側面像から術中の画像も加えて説明します。

術前の側面像で観られるJowl.マリオネットラインの後ろにハイライトの膨隆。丸い膨隆の後ろはシャドー。上右図はデザインです。切開は耳輪前部〜耳珠の尾根〜耳垂前の折れ返り〜耳垂を回って耳後部の折れ返り線です。剥離範囲が点線で囲んで書いてあります。切開線から斜め45度下方向に筒状に剥離範囲です。最前部はマリオネットラインの直後までです。

いきなり切除皮膚の画像です。耳垂先端部で下顎縁に並行方向に20㎜。耳珠上部も同方向に17㎜。耳後部は最上点で19㎜引き上げました。手術は切開⇨剥離⇨止血⇨SMAS Plicationn & Cranial Suspention⇨皮膚切除⇨二層縫合の順で、上右図の如く縫い上げます。

上右図の術直後像ではJowl のハイライトがシャドーに変わりました。

上左図が術後1週間。上右図が術後2週間。

縫合創のアップ。耳前はデザインの如くの線。耳後部はドッグイヤー予防のために、外耳道孔の真後ろから曲げています。フォーカスがずれていて申し訳ありません。

左側面像も同様に提示します。

術前とデザイン。耳垂の先端に方向が描いてあります。

切除皮膚も同じサイズです。上右図の術直後像ではJowl が無いどころかシャドーになています。縫合糸が引っ張っている部分があるからで、治ります。

上左図が術後1週間。上右図が術後2週間。やはりマリオネットラインは消失しています。

術後1ヶ月では側面像でもJowl が見えます。腫脹と拘縮です。

術後3ヶ月で完成です。

 

下には手術直後の左耳介周囲の縫合線を載せます。

切開リフト手術での二つのポイントを指摘します。耳垂が伸びない様に神秘縫合をアンカリングしています。耳珠が前に倒れない様に、またペチャンとしない様に再建しています。この二点をリフト手術の際に留意しないと、不自然でバレバレなんです。

上二葉は全抜糸後の耳後部の傷跡です。部位的に目立たないのです。

上には術後1ヶ月の耳介前後部の傷跡の画像。まだ全て赤い線が見られます。

上列と下列は術後3ヶ月の耳介前部と耳介後部の傷跡。赤い線が遷延しています。

但し形態として、リフト顔貌の目立つ変形は来していません。よく診る変形を羅列します。1、耳珠が前へ倒れる。2、耳珠が平坦化して珠でなくなる。3、耳垂が伸びる。4、もみ上げが上方移動する。予防法を書きます。1”、耳珠の稜線を切って、しかもここは切除を控える。ご覧の様に、耳の孔(外耳道)は半分しか見えません。2”、耳珠の前部で皮下脂肪層と皮膚をアンカリングして凹みを作り、相対的に耳珠が豆状に膨らんで見える。3”、耳垂の下端(耳垂尖)の真皮縫合の際にSMASとアンカリングする。4”、ご覧のように耳輪の前で曲げて、切除は最小限にする。リフト顔貌は目の位置でも如実に判りますが、Jowl Liftでは関係ありません。そこはこめかみリフトの際に選ぶことです。

今回他の部位の診療も求めて来院されました。その際患者さんからも申告されて画像を頂きました。中期的経過を載せることが出来ました。ありがとうございます。

術後約9ヶ月です。上左図に術前の画像と並べました。上右図は術後9ヶ月です。私「完成ですよね?。」と、ささやきます。患者さんまた「みんなに若返ったと云われます。」患者さんは顔を見せるプロです。高レベルの人にお褒めいただいて嬉しいです。

ああそこで私「術前術後を比べたら効果は明白ですね。」と、ニコニコして言いました。

斜位像でも側面像でもすっきりした下顔面が素敵です。

傷跡は流石に9ヶ月では耳前部は目立たない、いや消えているに等しいのです。耳後部の傷跡というよりもプリーツは日常は見えない部位です。

耳後部の傷跡は髪を上げてもバレないそうです。

当院では、厚生労働省より改定され施行された省令「医療機関ホームページガイドライン」に遵守し、ホームページの修正を行っています。

施術のリスク・副作用について・麻酔薬にて、アレルギー反応を起こす場合があります。その場合は適切な処置を行います。・腫れは個人差がありますが、手術直後から少し腫れがあり、翌日がピークで徐々に引いていきます。目立つほどの大きな腫れは1~2週間程度です。・術後のむくみや細かな左右差の改善には、3ヶ月程度かかります。・内出血が起こった場合は完全にひくまでに2週間程度かかることがあります。・感染予防のため、抗生剤を内服していただきます。・抜糸までの間、鼻下を伸ばす表情はお控え下さい。・口唇部の違和感は、2~4週間程度かかります。・手術後2週間は、口を大きく開けることはお控え下さい。・手術直後は、つっぱりを感じることがありますが、2週間程度で改善していきます。・手術当日は、洗顔をお控え下さい。・手術後3日間は、飲酒・激しい運動・サウナ・入浴など、血流が良くなることはお控え下さい。・手術後1週間(抜糸まで)は、鼻孔部位のお化粧はお控え下さい。・ケロイド体質の方は傷跡が残りやすい場合があります。

費用の説明も加えなければなりません。広範囲剥離中顔面リフトは80万円+消費税です。PRPは10万円+消費税です。ブログ掲載の契約を受けてもらえたら、出演料として手術代から20%オフとなります。