美容医療は知的作業の集約です。知性と教養の賜物です。知性は人が生きるために有用ですが、人が生物として生きる為にあるのではありません。知性は豊かに生きる為にあると思います。ただし”豊かさ”とは、経済的な豊かさだけではありません。心の豊かさです。その意味で美容医療の患者さんは、心の豊かさを求めて診療を受けに来られます。敢えて言えば、美人で可愛がられることで儲かることを目論む患者さんは、目的を達することが出来ないと、医療者の責を問う人がいます。そうなると本末転倒ですから、私はそんな患者さんを、サラッといなします。
人間は唯一知性を持ちます。そこで美容に限らず、医療には知性が利用されます。知性とは、儲けるための道具ではありません。人間を豊かにするための脳の働きですから、美容医療に携わる医師は、知性を磨かなくてはならない筈です。知識を涵養して、それに基づく技術を磨きます。また診察時には、患者さんとのコミュニケーションの為に、教養を身に着けなければならず、また真摯に医学的に診察するための知識を要します。ところがえてして、美容医療の医師は金儲けに走りがちです。広告宣伝は誘引を目的とします。インターネット上にSNS等で巷に溢れる情報には、知性の欠片も載っていません。嘘や改竄が横行しています。対して唯一私のブログでは、知識を皆さんと共有して、画像も一切改竄していないと、皆さんには評判です。
つまり、このブログを見て来院される患者さんは、私の知性の披露を見て取って下さっていると感じます。話が飛びます。女子(女性)を見る際に、”可愛い”と”綺麗”と”美しい”を区別しましょう。言葉の意味が違います。これも知性です。
辞書を見れば、”可愛い”とは、心惹かれる様(さま)、幼い、小さいなどが載っています。愛するべき形態もです。子供が可愛いのは当然ですが、若い容貌も可愛いと表現されます。ただしそこには、美しいとか綺麗とかの説明は載っていません。患者さん側からすれば、惹かれれば周囲に人が増えて、場合によっては稼げる気がするし、だから医療者側も巧く誘引して稼ぐことに策を立てるから、チェーン店系のビジネス的美容整形屋が使う言葉です。次に”きれい”とは、色や形が華やかな美しさを呈しているさま。姿、顔かたちが整っている様、清潔、乱れていないも形容されます。外形的な形容が多く観られます。形態的に綺麗を求めるなら、美容外科医が出番です。”美しい”とは、きれいと同意も含むのですが、調和が取れている。きちんととして感じが良いなど、内面的な好ましさも形容されます。心や態度が好ましく理想的であるさまとも載っていますし、理想的に麗しい形態も形容されます。調和の取れた理想的な形態と内面性との調和を図るのは、私の様なベテランの本当の美容外科医、社会的も含む機能の調和も重視する美容形成外科医の十八番ですよ。
何を言いたいのかと言うと、昨今なんでも”可愛い”としか表現できない若者が増えたと思います。”美人”という言葉は死語かもしれません。”綺麗”は”キレー⤴︎と発音されます。私は美容形成外科医として37年間、美容整形屋の父の下に産まれて65年間、患者さんを診ながらどの理想を目指すべきか自問してきました。こうして可愛い女子と、美人と、キレーな女性を、毎日診て、自答して来たから言えることです。無理に区別しなくてはならない訳ではありませんが、美容医療に於いても、治療目標を設定する必要があると考えます。
もとい、今回久し振り(見たら3ヶ月ぶりでした)に口唇短縮術のブログ提示です。本症例は可愛くて美人ですから、上口唇=人中を中心とした両側鼻翼基部間の白唇を短縮するのが、好ましい症例です。この部位を人中短縮術と称するのは間違いで、非知性的です。人中とは読んで字の如く、人の真ん中です。白唇(これも日本人だけが知らない用語,洋語ではWhite Lip)の中央部を称します。他院では白唇全体を短縮しないから富士山型になるのです。それはそれで可愛いかもしれませんが、美しくありません。更に最近SNS上で、他院の非知性的な記事が散見されます。ならば私が知性を発揮して、細かく説明しようかと思いましたが、割愛します。ただし私は、巷間SNS等で見られるいろいろな手術法の中で、知性的に正しいprocedureを使います。その理由は記事に中で説明します。ただし、本症例の患者さんは美容医療をかなり勉強していて、こちらの説明の前に適切に希望を述べられます。良い患者さんです。
症例は27歳女性。大阪院には、関西の全域から患者さんが来院されますが、その一人です。これまでの美容医療の既往を一通り聴いて、早速診療と計測をします。人中部の白唇長19㎜。両側鼻翼基部下も同長です。上歯槽骨が前傾してモッコリしているのも気にしている。頤が延長されていて面長となっているが、計測すると、上顔面(生え際〜眉下)54㎜:中顔面(眉下〜鼻下)55㎜:下顔面(鼻下〜頤尖)60㎜と合わせて160㎜無い。ただし下顔面は長く、上口唇(白+赤)25㎜:下口唇(赤〜頤)35㎜で黄金分割比率(5:8)で計算すると上が4㎜長い。人中明瞭で幅は8㎜と狭いが並行で、Cupidの弓が四角い。前傾する白唇に対して赤唇結節が前に欲しい。以上の計測値から白唇は4㎜切除。両側鼻柱基部で人中陵を1.5㎜寄せる適応がある。口角は下がっていない。
その後術前検査をやりとりしていたら、笑気麻酔が当院のHPに載っていたので希望されました。術後診察の予定と計画も立てて、手術となりました。
画像は各方向別に観ましょう。正面像から。
上左図は術前。上右図はデザイン後。数字通りのデザインです。
上左図は術直後。なんとバランスが良くなったのでしょう!。上右図は翌日。48時間までは腫脹が亢進し、内出血は露呈します。ただし黄色い(血液中のビリルビン=黄疸の色)ので1週間で吸収されるでしょう。造った人中も腫れて広がっています。赤唇まで腫れています。
上左図は術後1週間で両側鼻翼間を抜糸下直後。予定通り1週間で内出血は引きましたが、腫脹はピーク時の50%程度は残っています。でも形態は分かりますよね?!。上右図は術後1ヶ月です。口は力を入れないでも閉じています。頤に梅干しもできません。
下には近接画像で術中画像も観ましょう。
上左図は術前。上右図はデザイン後。両側鼻翼間を全て4㎜切除するデザインです。
デザインを両側斜位像で観ましょう。鼻翼基部から鼻翼横に向かってテーパーさせています。
上左図はデザイン通りに切開し、皮膚、皮下脂肪を全層切除した後の画。顔面表情筋には筋膜がないので、その深層には口輪筋がすべて露出しています。ただし皮下脂肪層と筋層の間には鼻翼動脈という太い血管がありますから、手間をかけて止血が必要です。上右図は切除した皮膚&皮下脂肪表面から観ていますから皮下脂肪は見えません。
上左図は筋層を縫縮して口唇の外反を目論んだ後、両側鼻翼基部だけ垂直に真皮縫合した図。真っ直ぐ上に引き上げました。この後両側の鼻翼の横の傷を縫合する前に、剥離とトリミングします。ご覧の様に、創縁の長さにかなり差があるので辻褄を合わせて縫合するためです。上右図のごとく、Dog Earを生じないで巧く縫合できました。その後両側鼻柱基部と人中陵を1.5㎜ずつずらして縫合しました。これだけで、人中が細くなっていますし、両側人中陵が平行から八の字となっていますし、Cupidの弓がはっきりしていますし、赤唇結節が前を向いています。
上左図は全て真皮縫合を終えた時点。縫合線は総延長約40㎜を合わせて18針も縫合しました。約3㎜間隔です。この時点で隙間がなければ、中期的に傷跡の幅が拡がらないと豪語しました。この点は形成外科医の独壇上です。その後、上右図の様に皮膚縫合します。なぜ隙間がないのに必要かと言えば、この手術の創縁の上下の皮膚は厚さが違うので段差になり易いからです。巧く創縁の表層をピッタリと合わせました。
上二図は翌日の画。正面(上左図)でも下方からの煽り図(上右図)でも、鼻翼付近の外側の皮膚に段々が観られます。糸の間が腫脹で膨れているからです。48時間までは腫れが増強します。
術後1週間では両側鼻翼間だけ抜糸します。抜糸時引っ掻くので発赤しています。ご覧の様に両側鼻翼横の傷は癒合が遷延するので、術後2週間まで置きます。上右図は術後1ヶ月ですが、赤唇の形態が綺麗で、セクシーです。傷跡も目立たなくなってきました。
下からは4方向で見比べましょう。
上4葉は術前。両顎前傾でも側面像で見られるE-ラインは口吻が出ていません。頤があるからでもありますが、品があります。でも上白唇が長い。
上4葉は術直後。赤唇は外反していますが、白唇が腫脹厚くなり相対的に足りなく見えます。
翌日は更に腫脹が亢進します。48時間がヤマです。
術後1週間で半抜糸のために来院されます。リップ塗って綺麗です。腫脹が引いて白唇よりも赤唇が前にあります。結節がセクシーです。斜位像での口元が美人を引き立てています。
上4方向は術後1ヶ月です。
当院では、厚生労働省より改定され施行された省令「医療機関ホームページガイドライン」に遵守しホームページに加筆を行っています。
施術のリスク・副作用について・麻酔薬にて、アレルギー反応を起こす場合があります。その場合は適切な処置を行います。・腫れは個人差がありますが、手術直後から少し腫れがあり、翌日がピークで徐々に引いていきます。目立つほどの大きな腫れは1~2週間程度です。・術後のむくみや細かな左右差の改善には、3ヶ月程度かかります。・内出血が起こった場合は完全にひくまでに2週間程度かかることがあります。・感染予防のため、抗生剤を内服していただきます。・抜糸までの間、鼻下を伸ばす表情はお控え下さい。・口唇部の違和感は、2~4週間程度かかります。・手術後2週間は、口を大きく開けることはお控え下さい。・手術直後は、つっぱりを感じることがありますが、2週間程度で改善していきます。・手術当日は、洗顔をお控え下さい。・手術後3日間は、飲酒・激しい運動・サウナ・入浴など、血流が良くなることはお控え下さい。・手術後1週間(抜糸まで)は、鼻孔部位のお化粧はお控え下さい。・ケロイド体質の方は傷跡が残りやすい場合があります。
費用の提示です。上口唇短縮術は28万円+消費税。静脈麻酔は5万円+消費税。ブログ掲載の契約を受けてもらえたら、出演料として20%オフとなります。