日本人(アジア人)は両顎歯槽の前突が強く、上顎骨から頬骨が横長で平板:つまりフラットフェイスなので、鼻唇溝の上方の三角が深い傾向があります。どんなに美人でも、逆に美人だから目立ちます。鼻唇溝は法令線と呼ばれますが、人相学の用語です。二次元的には、画に線を書かれますが、立体的には溝で、上記に書いた様に上方は骨格に因る陥没です。そして鼻唇溝は、上方の三角形の陥没を埋めれば、溝も見えなくなります。それは、これから画像を診れば判ります。
上に書いた様にアジア(中華圏)では鼻唇溝を法令線と称しますが、その角度が人相学的に重要です。窄まっていると暗い性格に見え、凶相と見立てられます。鼻翼の横から外側に向かって、丸く弧を描いていると笑顔に見え、優しい顔に見えます。人相はキャラクターから表出される形態だと言えます。
鼻唇溝の成り立ちは表情筋の停止部です。上から上唇鼻翼挙筋、小頬骨筋、大頬骨筋、笑筋が、溝の裏に付着しています。筋は皮下脂肪層を貫いて線維が網目状に真皮に達していますから、真皮がいつも上後方に引き込まれて、脂肪層が減量しています。そして長年の表情筋の作用で加齢に因り深くなって行きます。逆に言えば加齢により深くなるので、若年時から鼻唇溝が深くて目立つなら、当然埋めて起きたくなるのはヤマヤマです。
父がよく言っていました「昔から美容整形は『切る。打つ。埋める。』が手だ。」飲む打つ買うを文字ったつもりが、ゴロが合わないシャレです。切って縫合するのはフェイスリフトや重瞼術切開法に限らず、形成外科医出身の私は人中だけではない上白唇短縮術と眉下切開を得意としています。今となっては亡き父に教えてあげたかったです。打つはもちろん注射です。昔から為されていてシリコン注射は社会問題になりました。埋めるはプロテーシスです。昔は鼻に象牙を入れていました。私は取り出した事が有り、コレクションしていました。シリコンプロテーシスは1970年代から主流になりました。
シリコンはケイ素,Siの化合物で、ケイ素は石の元素です。生体親和性(溶けて身体の中に取り込まれる事)は有りませんから、物質としては人体に悪影響は及ぼしません。逆に身体内で癒着しませんから、存在する位置は組織に囲まれる事で決まります。あくまでも異物ですから、生体が反応してコラーゲンの膜で包み込みます。カプセル,Capsuleです。概ね1か月で出来ますが、その後は動きません。ですから手術時のポケットが位置を決めますが、ポケットはプロテーシスよりも大きくゆるゆるにしないとと入れられませんから、難しいのです。
でも、鼻唇溝プロテーシスのポケットは窪みに作るので丁度良いサイズに造り易く、ほとんどのケースで適切な位置に置かれます。鼻翼の内側から挿入した方が口腔内から挿入するよりも適切です。下方に移動した症例は有りません。切開からの通路は狭く剥離するので、内側の鼻翼内へも移動しません。正直に言えば唯一、深く骨の内側に落ちたケースがあります。ポケット作成時に一度だけ道具が深く入ったら、そこに落ちました。その後は注意しています。また、最近は上に移動したケースは有りません。父はたまに経験していました。私は時間をかけて丁寧にポケット作成しているので上に余計なポケットは出来ません。
症例は27歳女性。先ず銀座院に罹りました。カルテを視ますと、7年前鼻にI型プロテーシス。歯科矯正。口元はスッキリしてE-ラインは鼻尖−口吻–頤が一直線上。ところが鼻唇溝が深いから、患者さん本人も気になる。これだけが記載されています。
患者さんは、「鼻唇溝プロテーシスの合っている人でしょう?。」とご自分で仰る。更に「ここだけがいやなんです。」って〜・・。返す刀で私「なんて美しい人でしょう?。確かに他の部位には手の付ける余地はありません。」典型的美人が、鼻唇溝が深いと違和感さえ感じさせます。
直ちに手術適応を示唆しました。「私は鼻翼の内側の切開から、いきなり梨状口縁の骨の上に達して、鼻唇溝の上方の三角形の窪みの下に、骨膜上にポケットを作り、狭い挿入進路から入れます。」「だから位置は適切にポケットのサイズを作れば動きません。」口の中からだと侵入路が下にあるので、落ちる事が有るのです。」「韓国で入れて来た人で落ちて来た人を何人か診ました。」と説明すると、患者さん「先生が考えた手術なんでしょう?。お願いします。楽しみ!。」と仰って予定を立てようと考えたが、東京と大阪の中間からの来院ですから、大阪院での手術を希望された。この様にブログ掲載を承諾されたら、何回か画像を頂く契約だからでもあります。
画像を視せながらもう一度説明します。
正面像の術前とデザイン。点線で囲まれた三角形の窪みを埋めたいと思います。
術直後はまだ局麻が残っていて口は閉じにくく、鼻唇溝は動きません。ですから平らなのは動かないからか判りません。上右図の如く、翌日になれば 、表情筋は回復していますが、鼻唇溝は浅くなっています。
挿入したプロテーシスの作成法です。上左図は別の一個で、元は頤用の小さいもの。上中図はそれと同じ頤プロテーシスから切り分けて作成した両側分の二個。サイズとシェイプは上段の鼻唇溝の囲みに当てながら合わせました。上右図はこれを側面から見た図。厚さは約3.5㎜にしました。
下面像を診ながら当ててみます。
術前の窪みが下から視るとよく判ります。デザイン後は正面像しか撮りませんでした。
この窪みの点線で囲んだ部位にプロテーシスを載せてみました。当たり前ですが、上左図の載せた厚さは、上右図の挿入後と同じ厚さになります。
術直後は局麻で動きません。翌日は若干トーヌスが働いていて溝が見えます。
4方向でも診ましょう。
術前の側面像では頬前の組織に鼻翼の後半分がが隠れています。斜位像では鼻唇溝の上部に三角形の影が見えます。ご覧の様にE-ラインは一直線上です。
術直後はやはり、局麻の残存で表情がぼけっとしてしまいます。埋まっているのは確かです。
翌日の画像では締まりのある口元です。E-ラインの為でもありますが、やはり鼻唇溝が無いと影がなくて綺麗だからです。鼻唇溝の下へ伸びる溝(法令線)も確かに浅くなりました。
翌日診ますと、局麻が腫脹に重なる。鏡で視て患者さんは、目を見開いて「グー!」と叫ばれました。私は早速触れると位置は正しい。もちろん押すと痛くかったみたいでご免なさい!。創は鼻翼内側にあり、肉眼的に行方不明ですから、注意点として、「鼻を擤まないで下さい。鼻翼を内側に押すと一緒にプロテーシスも動くかも知れません。」と、念を押しておきます。
術後1週間で抜糸しました。
丁度良い埋まり方です。美しい顔立ちが更に締まりました。下面像で視ると法令”線”(鼻唇溝)も見えません。
側面像で鼻翼が全部見えます!。もちろん位置は適切です。抜糸時に鼻の中を覗きながら触れますが、プロテーシスの硬さは触れません。鼻唇溝の表面から触れると判りますが、深い層:骨膜上に有るので、困りません。まだ固定していないです。癒着してカプセルが出来るのは次回です。
術後1か月でもう落ち着いています。
触れると位置は適切で鼻翼内にも突出はありません。患者さんも、触ると自己判定も可能とおっしゃいます。むしろ怖がって触らないか触れると嫌がる困った人もいるくらいなのに、本症例の患者さんはやはり美人だから、怖がらない痛がらない、いい患者さんです。更に鼻翼内は視診は不可能なので時に触ってもらう事をお願いしました。と入っても鼻翼幅が小さく孔も小さいので私は「指は入らないでしょ?。」とバカな事を訊いてしまいました。美人は鼻孔も小さいのです。患者さんは「もちろんです。」と呆れるので私「たまに綿棒か何かで、創跡のところを触れてみて下さい。」と、取り繕いました。鼻翼内からの挿入では、下に落ちる事は無いにしても、今まで一例だけ内側に動いた人が居たからです。
4方向で視ても見事に埋まって、美しい微笑みが引き立ちます。もう一度診れる2か月後を楽しみにします。もちろん動かないでしょう。
遂に術後3ヶ月が参りました。遠方から来院されていますから、もう診られないのかと考えると残念です。気を取り直して、早速真剣に完成を診ます。
正面像で何しろ口角が挙がっているのが美しい。触診上プロテーシスの位置は適切で鼻孔内にも触れません。私の手術では骨の上に載っているので邪魔になりません。表情時にも見えません。今回更に笑顔で写って下さいました。やはり見えません。患者さんは自覚的にも入っている感は無いそうです。でもよく埋まっています。下に術前の画像を再掲します。
鼻唇溝の上三角部(上右図のマーキング)の影が見事に消失しています。
4方向で診ますが、鼻唇溝は線ですが、上の三角形部を埋めると線も浅くなります。引き出されるからです。それに何しろ本症例の中下顔面はE-ラインより口吻が後でまるで白人の様な側面像です。実は目元もです。美しさはここにも存在します。だから鼻唇溝プロテーシスは効果大です。選んだのは患者さんですし、美人は美的感覚が高いと言う好例です。ですから私も診てて楽しかったのです。いつかまた見せてもらえたら嬉しいな!。
当院では、厚生労働省により施行された省令「医療機関ホームページガイドライン」に遵守しSNS上に加筆しています。画像も修正していません。
施術のリスク・副作用について・麻酔薬にて、アレルギー反応を起こす場合があります。その場合は適切な処置を行います。・腫れは個人差がありますが、手術直後から少し腫れがあり、翌日がピークで徐々に引いていきます。目立つほどの大きな腫れは1~2週間程度です。・術後のむくみや細かな左右差の改善には、3ヶ月程度かかります。・内出血が起こった場合は完全にひくまでに2週間程度かかることがあります。・感染予防のため、抗生剤を内服していただきます。・抜糸までの間、鼻下を伸ばす表情はお控え下さい。・口唇部の違和感は、2~4週間程度かかります。・手術後2週間は、口を大きく開けることはお控え下さい。・手術直後は、つっぱりを感じることがありますが、2週間程度で改善していきます。・手術当日は、洗顔をお控え下さい。・手術後3日間は、飲酒・激しい運動・サウナ・入浴など、血流が良くなることはお控え下さい。・手術後1週間(抜糸まで)は、鼻孔部位のお化粧はお控え下さい。・ケロイド体質の方は傷跡が残りやすい場合があります。
料金を提示します。鼻唇溝プロテーシスは両側で28万円+消費税。局所のブログ掲載の契約を受けてもらえたら、出演料として20%オフとなります。