これまでの多くのブログには、前振りを長々と書いてきましたが、今回は症例説明の中に詳しく書きます。経緯と経過を読めば手術の意味が解るからです。では症例の説明と手術内容の説明を兼ねて書いていきます。
症例は、何回か登場して下さったゴージャスな容姿と、美しく明るい容貌の38歳女性。彼女の画像を視て来院し、「あのゴージャスな美人!。」の手術を希望する患者さんがひっきり無しです。感謝に堪えません。今回は美容的目的と機能的目的を50%:50%兼ねる手術です。
これまでに何回か下眼瞼下制術等を繰り返してきました。ご覧の様に、右下眼瞼の外側が下がっています。前にブログにも書きましたが、白人の様なゴージャスな顔立ちの美人ですから、アジア人と違って瞼裂が吊り目で無い方が似合う女性です。本症例は吊り目が酷いわけでは有りませんが、吊り目解消には上眼瞼の内側方面を挙げて、下眼瞼の外側を下げる併用療法が根治的です。
毎回患者さんとそんな話題を交わしてきたのですが、そういえば逆さ睫毛の件も訴えられたことがありました。随分前から「睫毛が刺さるんですよ1。」訴えていました。目に刺さって傷さえ出来るそうです。下眼瞼下制術は結膜側から下げるのが定番ですが、眼瞼葉のうち後ろが下がれば、回転するので睫毛は内側に向く可能性さえあります。逆に下眼瞼下制術を皮膚側から引き下げ過ぎると、外反し得る訳で、これはヤバい結果です。アッカンベーと評されるか、Scleral show,強膜(白目の表面は硬く細胞が無い強い膜)見える(露出)が起きて浮いてスースーすることになります。
本症例は10年以上前に私が下眼瞼形成術をしました。目的は微妙な問題なので記載されていませんが、画像を診るとたるみ取りと下制術を兼ねていると考えられます。その後眼瞼結膜側から下眼瞼下制術を何回か行いました。糸だけで抜い縮めたり、切開し瞼板を縫縮してきました。右下眼瞼はその効果が保たれています。でも左眼瞼は下がり足りないし、逆さ睫毛が酷いようです。画像を視ても差が見えます。そこで今回は左下眼瞼形成術を皮膚側から切開し、眼輪筋縫縮、皮膚切除で、軽度外反=睫毛内反を前向きにすると共に、瞼縁を下げて三白眼気味にしようとなりました。
下に術前の画像を遠近二葉。
上左図は遠景。視線が遠くで目を細めています。上右図は近景ですが、輻輳し開瞼力が入ると、下眼瞼もわずかに下がります。睫毛は切っているので解りにくいのですが、瞼縁を超えて強膜の前に黒い線が見えます。
下に術後の画像も遠近二葉。
どちらも三白眼になっています。下眼瞼の位置は右よりも低い程度になりました。睫毛の向きは強膜の前に有りません。
下には術後1週間で抜糸した直後。
さすがに下眼瞼と黒目の位置関係は少し後戻りします。いや術直後は腫れていて引かれていたのでしょう。もう一つの結果的として逆睫毛は再発していません。
目の窓はぱっちりしています。白人女優の様な吸い込まれる様な目元です。少なくともSlant eyeでありません。皆さん自らの顔と比べてよく視て下さい。目尻の角と目頭の角を結んだ線がEye Slant,眼裂の傾斜です。アジア人は外が上ですから吊り目です。これを称してSlant eyeと揶揄します。差別用語です。純粋な白人は吊り目ではありません。その目でよ〜く見ると本症例の傾斜は水平に近いNon Slant eye となっています。毎回記す、ゴージャスな顔立ちの所以はここにもあります。
もう一つ上下眼瞼のカーブも差があります。父がよく言っていました。アジア人は、上が丸くて下が直線的な福笑いの目。白人は上が直線的で下が丸い爬虫類の目。本症例は下眼瞼を下げたから(目尻と目頭の位置はほとんど動かない)下が丸くなって、上下とも丸い、アジア人と白人の中間的な要素にできました。
下に左眼瞼の近接画像で手術の説明を加えます。
上左図は術前、露光不足ですみません。結果黒白のコントラストがはっきりして黒目の下に白目が見えません。短い睫毛が下向きで無く、一部は上向きなのも見えます。上右図はデザイン:下眼瞼縁の睫毛が並んで生えている線の1㎜下を全長に亘って切開線を描いています。ただし万が一深く切って涙小菅を切らない様にすることが重要ですから内側の切開は涙点より外側までに留めます。目尻部を最大幅切除するので、Dog earを防ぐために外側へ1㎝は切開を延長します。
上の図は手術直後の画像です。手術はまず切開、剥離は皮膚直下で切開から約1㎝下までし、眼輪筋を全て温存します。続けて眼輪筋を縫縮,Plication(スカートのプリーツ=折り畳み)します。この際瞼板にも糸を掛けると眼瞼縁も引き下げられます。その後眼瞼が下がった分皮膚が余るので、切除します。今回は幅最大5㎜切除しました。縫合したら手術終了です。
上の図は術後1週間です。フォーカスミスでした。上左図が左眼瞼(手術側)、上右図は右眼瞼を左右反転しました。黒目の下縁と下眼瞼縁の位置関係は対称的です。創治癒は早い症例ですが、傷痕は抜糸してもまだ赤い線です。でも下がりは充分です。アートメイクの位置で判明されます。カーブも綺麗です。睫毛の向きは今後変わらないと良いですね。
下に術後1ヶ月の画像群。
遠近視で撮りました。上左図の遠景では視線が緩やかで、上右図の近景では輻輳して凝視しています。キラキラしています。それは睫毛が当たらないからでもありそう。
まつ毛を抜かなくても、切らなくても良くなったとお悦びです。切開しての下眼瞼内反修正術は、上眼瞼の重瞼術と同じく確実な形態と機能的改善が目的ですからね!
傷跡はまつ毛の根本の直下で目立たないと認めて下さいました。ありがとうございます。確かにここを切るのは精密を要します。他医の跡でまつ毛から離れていると目立ち、私が見ればすぐばれます。一般人でも判るほどの線も見たことあります。
術後3ヶ月で完成を診ましょう。
と思っていたら、勤務の都合で私が直に診察はできませんでした。まつ毛がどちら向きかを確認できません。診たところ前向きです。ならば近接画像を診ましょう。
近々見せにいらっしゃるといいなあ〜!。なにしろゴージャスな女性です。明るく素敵な女子で、見るだけでこちらを明るい気持ちにしてくれます。今後の計画もあるでしょうからお楽しみに!