2019 . 2 . 14

アーモンドアイ=垂れ目形成術の効果は外眼角の位置関係も加味して・・!?

日本人(東アジアの新モンゴル系人種)は、吊り目です。英語ではSlant eye:傾いた目として差別用語です。日本人選手がMLBで一悶着しました。吊り目の原因は3点あり、どれもが遺伝子の発現として、個体差はありますが、モンゴル系に特有です。日本人の中の大多数は新モンゴロイドの遺伝子を継いでいます。

吊り目の原因は、1、蒙古襞の拘縮と被さりが内側を下げます。本ブログの読者のみなさんは知っていますよね。私達の得意の手術=Z-形成法が最適です。2、目頭と目尻の位置を決める靭帯の付着そのものが傾いています。内眼角靭帯の位置と外眼角靭帯の付着部は平均5度外が上に傾いています。ちなみに白人は水平です。3、目尻の位置はどうあれ、下眼瞼縁のカーブが丸みが足りない。上眼瞼は正常では最大12mm以上動いて丸くなるのに対して、下眼瞼縁は平均2mmしか動きません。

そして、東アジア人は白人に比べて丸身が少ない。つまり下眼瞼縁のカーブも吊り目の原因の一つです。 ちなみにこの点はVe.クリニックの仲良しのF先生とよくディスカッションします。彼は美容外科医の中でも美の本質を理解できる奴です。

今回はまず下眼瞼下制術を提示します。いろいろなニックネームがあります。多く売り出している(仲良しの)クリニックではグラマラスアイと称しています。確か本症例の患者さんは一次手術をそこで受けています。垂れ目形成は読んで字の如く垂れ目にする手術ですが、下眼瞼の全体を下げてしまうと変です。アーモンドアイは読んで字の如くアーモンド形の目の窓にすることで、つまり吊り目を治す結果になります。 目の窓をアーモンド形(=吊り目でない)にするため上の内側は済んでいる症例です。下の外側は微量な変化なので判かりにくいと思いますが、患者さんは理解しています。美意識が高く美的センスの塊のような患者さんですから!。

症例30代の美しい女性。これまでに当院で眼瞼下垂手術と目頭術他いくつかの手術を受けてきました。吊り目の要素の内側半分は治しています。経過は良好で美しさが日々アップしています。 何年か前には、他院で下眼瞼下制術を受けています。当初から左眼瞼はよく下がっていたのに(画像を見れば判ります。)、右が不足でした。対称性を求めて、昨年私が切らない垂れ目形成術(下眼瞼下制術非切開法=下眼瞼NSLT法)をしましたが、前回の瘢痕が邪魔になりあまり下がりませんでした。ご覧の様に挙がり不足です。 やはり切開法の修正は切開法が確実ですし、患者さんも同意されました。ならばもう一度切開法をしてみようということでトライしました。画像を診ましょう。

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上の両側眼瞼部画像を見比べてみれば判ります。左図が術前です。左(向かって右)下眼瞼縁のカーブは特に外側が丸く下がっているのに対して、右(向かって左)下眼瞼縁は外側に向かってせり上がっています。患者さんは「目尻の高さも違うように見えますよね!。」「なんか右目だけ吊り目になっていますよね!。」と訴えますが、良く診ると左も丸く下がっている下眼瞼縁が、一番外側ではカクッと挙がって目尻は上にあります。左右の目尻の位置はほぼ同じです。下眼瞼縁が下がっていれば吊り目に見えません垂れ目形成の効果が奏功しているのです。

今回デザインは下眼瞼結膜に書くので撮影は困難でした。ならば術中写真でも撮っておけばよかったのですが、視難いので止めました。上右図は術直後の画像ですが、微妙な差が対称化しています。下眼瞼縁の外側が下がると目尻(外眼角)も挙がって見えません。黒目(角膜)の下は余り下げていませんから下の白目(眼球血膜)の露出量は変わりません。三白眼になるとまたこれも嫌な目元になってしましますから、中央から外半分だけ下げました。 術前と術後の差は、画像上では細かい差なので判りにくいかも知れませんが(鼻唇角プロテーシスの際もそうでした。でも患者さんは効果を知っています。)、印象の変化は見て取れます。吊り目が解消しているのです。
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逆に近接画像では比較対象である反対側が無いので違いが不明瞭です。何故か目の窓が大きくなって見えるだけです。アアこれが手術の効果です。
手術法ですが、下眼瞼結膜を今回幅3mm切除しました。眼瞼の外半をスピンドル型(紡錘形)というか木葉型に切除します。同部に前回の瘢痕が固まっていましたが剥離して除去しました。創内に瞼板筋を見出し吸収糸で2mm縫縮します。結膜は撚糸で(チクチクしない)3縫合します。上辺は瞼縁の下がりを持続させる為に瞼板に掛け、下辺は折れ返り部(円蓋と言います。靭帯がありますから固定性が高い)に糸を掛けます。眼瞼結膜は粘膜で柔らかいので、3mm切除しても上記の程度の変化です。
目尻(外眼角)の位置が違うのなら、挙がっているなり下がっているなり、その高さは外眼角靭帯の(眼窩)骨への停止部が決定しているので、靭帯を外して再縫合をする方法が適応します。でもよく見ると本症例ではその適応ではありませんね!。もっともその手術法も、形成外科医の分野です。外眼角靭帯は私の得意だった顔面骨折手術の中の頬骨骨折の手術時に扱うからです。非形成外科医には触れません。

今回は術前術直後の画像提示ですが、軽度の腫脹が下眼瞼縁を押し上げていると考えられます。ですから術後は早期より数日後から効果が増強します。次回が楽しみです。 術後1週間で画像を戴きました。本来なら抜糸なのですが、この手術は吸収糸です。 IMG_4247IMG_4248

眼瞼正面像は遠近二葉。遠方像(約1m)をよく見ると眉を挙げています。それも右の手術側をより挙げています。遠目のカメラレンズを視る際には良く見ようとして眉を挙げる癖の人が多く、しかも手術後は僅かでも異物感(吸収糸でチクチクしなくても若干のゴロゴロ感)があるので強く開こうとして力が入るのでしょう。接写(約30㎝)時にはおでこの力が抜けます。右眉と左眉の高さが同じです。 眉を挙げると眼裂も挙がります。特に目頭は内眼角靭帯が強固で挙がりませんが、目尻側は外眼角靭帯がやわいので眉の外が挙がると目尻も挙がります。折角下眼瞼外側を下げた(グラマラスアイ)のに、上左の画像では目尻が挙がって効果不足に見えてしまいます。私が下手に見えます。ところが上右の画像では、目じりの高さは左右対称で、下眼瞼縁の内側3分の2がほぼ水平に下がっています。よく出来ましたでしょう?。下眼瞼が下がると眼裂が大きくなりアーモンドアイになり目元の美しさ倍増です。

IMG_4249残念ながら比較のための左の近接像を忘れました。

こうして経過中にやはり事が足りないのを指摘されました。よく見ると下眼瞼のカーブは出来たのですが、目尻の角(外眼角)の位置が違うのです。角の位置は外眼角靭帯の付着が影響しています。これまでいくつかの手術を受けてきて目尻の構造に左右差が出来てきているのでしょう。

そこで、逆に患者さんから提案されました。目尻切開です。それも下向きに切開すれば為せるのではないかとまで教えられました。そういえば今までにしたことがありますし、画像提示したこともありました。

早速手術に到りました。目じり切開は拘縮で平均半量は後戻りします。本症例は目が離れていないし、顔の幅が無い方なので、外側が余っていない人です。ですから目尻をあまり横に拡げると顔から目がはみ出してしまいます。そこで今度は私から、3mm切除で半量戻って1.5mm動くなら丁度良いサイズだと提案しました。細かい点は下に。

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上の画像で術前術後を診ましょう。見事に下がっています。下眼瞼のカーブが綺麗です。

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上の近接画像は左から、術前は目頭よりも目尻が上にあります。下眼瞼のカーブは角膜(黒目)の外側までが緩やかに下がっています。前回の手術の効果です。ただしそこから目尻に向けてせり上がっています。デザイン(今回は撮りました)はご覧のとおりで目じりの角から下向き30度で3mmの切開線を描いただけです。術直後には目尻が下がって目頭の高さと同じになりました。下眼瞼のカーブは角膜の外側から目尻に掛けてと角膜の内側から目頭に掛けてが同じように丸みを帯びました。垂れ目ではないにしても吊り目でない優しい目元です。

下には術後1週間の抜糸直後です。

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何故か目を見開いて映ってくださいました。お蔭様で、目じりと目頭の位置関係、下眼瞼(上眼瞼も)のカーブがよく判ります。現時点では少なくとも、右(向かって左)眼瞼の目尻の高さは左(向かって右)眼瞼の目尻高さより低くなっています。でも上に書いたように拘縮で今後後戻りは起き得ます。その目で近接画像を見ると、目の窓のそとがわに傷跡の赤い線だけが見えます。3mm切ったのが既に半分近く戻っています。目尻切開は切って縫うだけですが抜糸したら癒着し始めて上下眼瞼がくっ付きますから後戻りします。粘膜が再生すれば癒着しませんからある程度以上は癒着しません。

目尻切開手術は、適応症例が少ないのです。顔はバランスが重要です。顔の幅(大きさは幅)は頬骨弓幅が最大です。両側頬骨の間に目の窓がありますが、顔の幅の5等分が理想とされています。これは白人の場合です。日本人(アジア人)では頬骨幅があるのに比して目の窓が小さい(縦の開きだけでなく横幅)ので、5等分の人は見たことありません。

平均値の女性で頬骨幅140mmなら、目の窓(眼裂横径)が28mm、内眼角間28mmが理想ですが、日本人で自然状態ではそんな人はいません。ちなみに私は頬骨幅140mmと男性としては小さくても眼裂横径は28mm、内眼角間は31mmでやはり5等分ではありません。多くは目の間が離れるから(蒙古襞)横径が小さいのであって、目の外側はそんなに多くありません。顔の幅(何度も言いますが頬骨弓幅)が大きくて、目の窓が離れていて、目の窓の外側も余っている人も、少なからず居ますが、その場合でも目の間を近づけるのを先行するべきです。同時か後日に外側の余りを減らさないと変です。つまり目が離れていると人間的でない動物的、酷いと魚類的な顔貌に見えます。そんな人たまに見ますよね。

本症例は目頭が離れていないので(手術済み)今回目尻を切れました。もっとも、目的は目の窓の外側を減らす為ではありません。目尻を下げる為です。目尻切開手術法は何種類かあります。その一つの靭帯を縫い縮める方法は変な形の目尻になるので使えません。何度も言いますが適応症例は少ないので、控えめな方法が適切です。

ですから単純に切って縫う方法が頻用されます。皮膚から眼瞼結膜までを横に(斜めもある)切って、皮膚と粘膜を縫い合わせるだけです。ところが三つ問題があります。1、上の皮膚と粘膜下の皮膚と粘膜が癒合する前に、外側の上下の皮膚が癒着してしまい、上下の粘膜も癒着してしまいます。つまり後戻りです。平均的に3㎜切って半分の1.5㎜は戻ります。私は予め説明しておいて切開長を決めます。2、目尻の皮膚には睫毛がないので、そこが目の窓になると睫毛のない眼瞼縁が出来ます。だから私は最小限の切開量にしたいのです。3、切開した内端が角になる。つまりそのままではYの字になります。私はその角を電気メスで焼き削ってなだらかな形Vの字にして形態的に整えています。三つの問題は根してクリアー出来ます。

ところがさらに発展して、本症例では斜め下向きに切開して目尻の位置を下げる手術術式を使いました。数年前の学会で発表された方法です。30度下向き(適切な角度)に切開して外眼角靭帯を上下に分けて、下の靭帯を落として目尻の位置を下げられます。外眼角靭帯は目尻から骨に向かっていて目尻をぶら下げています。これを斜めに分けて下の成分ごと目尻を落とせます。がい眼角靭帯は深浅二層あり浅外眼角靭帯だけ落とし、深外眼角靭帯は温存しますから、目尻が際限なく落ちる事はありません。本症例は見事に下がっています。使える手術法です。

靭帯の解剖は、骨折手術の際に取り扱いますから、私達形成外科医の独壇場です。

IMG_0086術後1か月です。目尻は下がりました。眼裂の高さは対称かしました。ところが逆に相対的に下眼瞼縁のカーブがなだらかになりました。これまで埋没法と切開法で下眼瞼下制術を行なって下眼瞼のカーブを丸く下げたのですが、目尻の位置を下げたら直線化しました。行ったり来たりです。下眼瞼の眼瞼結膜を診ると、ちゃんと縫い縮めた痕があります。効果はあったのですが、もう一度切除をしたいとの希望を述べられました。まだ前回の傷跡が落ち着いてからですが今後とも経過を見せていきたいと思います。

医療法を遵守した情報を詳しくお知らせするために、症例写真・ブログに関しましても随時追加修正を行っていきます。症例写真の条件を一定とし、効果だけでなく、料金・生じうるリスクや副作用も記載していきます。ブログにも随時表現や補足の説明を付け加えていきます。

施術のリスク・副作用について ・麻酔薬にて、アレルギー反応を起こす場合があります。その場合は適切な処置を行います。・腫れは個人差がありますが、手術直後から少し腫れがあり、翌日がピークで徐々に引いていきます。目立つほどの大きな腫れは1~2週間程度です。・術後のむくみや細かな左右差の改善には、3ヶ月程度かかります。・内出血が起こった場合は完全にひくまでに2週間程度かかることがあります。・感染予防のため、抗生剤を内服していただきます。手術直後は、つっぱりを感じることがありますが、2週間程度で改善していきます。・手術当日は、洗顔をお控え下さい。・手術後3日間は、飲酒・激しい運動・サウナ・入浴など、血流が良くなることはお控え下さい。・手術後1週間(抜糸まで)は、お化粧はお控え下さい。・ケロイド体質の方は傷跡が残りやすい場合があります。

6月から費用の説明も加えなければなりません。目尻切開手術の費用は25万円+税です。ブログ掲載の契約を受けてもらえたら、出演料として20%オフとなります。