患者さんは28歳女性。他院で数年前に切開法の眼瞼下垂症手術を受けています。当院には二年前に来院され、切らない眼瞼下垂手術をいたしました。カルテ上の画像を見ていくと、ある程度の後戻りが見られました。
患者さんは瞼の開きをグイッと入れる様な癖があり、また開眼時に前頭筋を使って眉を挙げることをしないようです。言って見れば、目力がある様にしたく、また目力が感じられる様に開瞼しています。ここからが、私の美容的観点と技術の見せ所です。美容外科医には美容医学が必要です。まずは術前写真をご覧いただきます。
更なる開瞼を求めて、切らない眼瞼下垂手術=黒目整形=NILT法と眼瞼内側の開瞼の抵抗力である蒙古襞の拘縮を解除するZ−形成による目頭切開を受けられました。
第一回の手術直後です。 その1週間後です。
その後3ヶ月を経ました。カラーコンタクト14㎜ではいいのですが、裸眼では三白眼傾向ですし、もっと開瞼を向上させたいとの希望を告げられました。
そこで左に更なる挙筋縫縮術と、重瞼術埋没法を追加することにしました。
画像上ではさらに開瞼がアップしています・・・。がしかし、まだ定着ではありません。いつも述べてきましたが、黒目整形=切らない眼瞼下垂手術は、ゆるみによる戻りが生じます。現在2週間ですからこれからです。
がしかし、緩んで落ちることも予想されます。実は締めれば締める程、よく挙がったとき程、少々の戻りが気になるものです。そして本症例では、患者さんにねだられました。「ちょっとでも戻ったら、切開法で定着させて下さいね。」そういうのに弱いんです。頼まれていやとはいいません。あくまでも医学的な価値があるならですが・・。
埋没法が緩むのは(戻るのも)、糸が皮膚から外れるからです。何度も言いますが、切れたり、ほどけたりしません。しつこいようですが、私が必要に応じて切開した症例で、切れていたり、ほどけていたりしていた糸は1本もありませんでした。他院で切れたりほどけたりすることがあると説明されたという人が何人か居ましたが、その医師は面倒なんでそう言っているだけです。迷信です。
切開法では、切開面に瘢痕が出来て定着する仕組みです。でも糸で繋がないと外れることがあります。瘢痕が出来るまでに3ヶ月はかかります。その間に糸がほどけたりすれば、瘢痕は弱い者しか出来ず、結果的に重瞼ができません。でも一度適切な瘢痕が出来れば、長期的に保てます。ただし強過ぎては昔の芸能人みたいな胡散臭い二重になるので、その調整が難しいと思います。実は、切開法で出来る瘢痕にとはコラーゲン繊維です。自然の二重の線を引き込むのもコラーゲン繊維です。事前な二重まぶたと切開法で作る二重まぶたは、同じ構造、つまり自然な構造にしたいのです。手前味噌ですが、これを画像上で証明したのは私の医学博士論文です。
偉そうなこと書き始めるといやらしいので、今回は経過を見ていくこととして、またの機会に説明します。