眼瞼下垂=まぶたを開く機能の低下。最近よく耳にされる言葉だと思います。瞼の機能は、形態に対して、如実に反映します。前回も述べましたね。
眼瞼下垂症そのものの疾病概念は、形成外科、美容外科の萌芽よりもずっと古く、20世紀初頭には医学的に認識されていました。主に眼科医が担当していました。このころの眼瞼下垂症の概念は、一目でわかる程度の病的な状態をいいます。視機能的医学の概念ですから、狭い範囲を定義していました。一言でいうと、瞳孔が隠れるかどうかで、定義していたのです。これを狭義の眼瞼下垂症といいます。
美容医療としての、形成外科や美容外科が、盛んに診療されるようになると(1960年代)、軽度の眼瞼下垂症が軽度の機能障害と形態的異常感を呈していることが見出されました。つまり、形態と機能
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カテゴリー別アーカイブ: 二重瞼と一重瞼
まぶたの機能と美容Ⅱ
前回、まぶたの美容についての前提を述べました。二重瞼が一重瞼より機能的に優位であるため美容的にも優位であるという、文化人類学的学説でした。
ところで、考え直してみたら、何故機能的に優位でない形態的変異が存在するのでしょう。ここでいう機能とは生命維持能力にも通じるものです。もし、狩猟を糧とする民族なら、目が小さいと獲物を探す能力が落ちますし、戦闘時の索敵能力も落ちますから、生存能力が低いわけで、その遺伝子は途絶えるはずです。但し、農耕文化を発達させたら、農作業は下を向いていればいいので、目の開きは関係ないかもしれません。前回も書きましたが、一重瞼の遺伝子は、約3万年前に東アジアで変異が始まったと考えられます。その頃は氷河期の最後で、同地付近は特に寒かったと判っています。寒冷地でしかも砂漠
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まぶたの機能と美容Ⅰ-二重瞼と一重瞼-
美容医療においては、なんといっても"まぶた"が嚆矢となりましょう。
前回、個体差については簡単に触れました。顔には個体差があり、求める像にも幅があり、そのため治療する側も多くの引き出しを必要とする。これが、美容医療の醍醐味というものです。
計測で、ある程度集約した理想像は提示できます。しかし、数字が個体差を確実に反映するとは限らず、全身や顔全体とのバランスというものがあります。さらに、内面性(精神性、人格、社会性等)の反映にも気を配らなくてはなりません。顔を見る前提として、生体も見ます。人という生体を診るためには、尊厳のある社会人としての人間も診ます。一人の人の顔を触る美容医療は、ここまで考えるべきだとは思いますが、美容外科医師がみんな、こんな面倒なことをしている訳ではありません
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