2013 . 7 . 3

まぶたの機能と美容Ⅱ

前回、まぶたの美容についての前提を述べました。二重瞼が一重瞼より機能的に優位であるため美容的にも優位であるという、文化人類学的学説でした。

ところで、考え直してみたら、何故機能的に優位でない形態的変異が存在するのでしょう。ここでいう機能とは生命維持能力にも通じるものです。もし、狩猟を糧とする民族なら、目が小さいと獲物を探す能力が落ちますし、戦闘時の索敵能力も落ちますから、生存能力が低いわけで、その遺伝子は途絶えるはずです。但し、農耕文化を発達させたら、農作業は下を向いていればいいので、目の開きは関係ないかもしれません。前回も書きましたが、一重瞼の遺伝子は、約3万年前に東アジアで変異が始まったと考えられます。その頃は氷河期の最後で、同地付近は特に寒かったと判っています。寒冷地でしかも砂漠のようなところでは、目を細めていなければ、凍るか砂だらけになってしまします。そこで、変異した一重瞼遺伝子を持つ者が、目が細いため、実は優位だったと考えられています。その後、北東アジアから、中国または朝鮮半島を経て、日本にも上陸したとされています。天皇家がその一族で、万世一系なので、”はっきりした”一重瞼が多いですね。つまり生命維持機能には一重瞼遺伝子は影響しなかったのです。

これを代表として、人間では、多くの遺伝子変異が存続しています。ワキガでない遺伝子も変異です。いずれ説明しましょう。

ところで人間は生存に影響する遺伝子を持っても生存し、継代していけます。それは、人間は家族をはじめとした集団生活し、文化を育み、援助しあいます。また、教育によって、より生存に寄与する 文明を発展させてきたからです。ある程度の機能的変異差は、許容できる環境にあるのです。

しかし、立ち返ってみると、やはり、目が大きい方が形態的に優位だとみられるものです。機能的に優位であろう形態を、美しいと感じてしまうのです。私達人間は、産まれてから、大人になるまで、場合によっては死ぬまで、刷り込み教育を受けて人生を歩みます。そうして文化文明の発達に寄与しています。幼少時は親から、学生生活では、教師からまたは友人から、社会人となってからはその集団形成員等から、また、現代の情報化時代では様々なコンテンツから。例えば、タレントさんの多くは、二重瞼でキレイさ、可愛さを見せつけます。学校に行っても、美人少女と云われる子はみな、パッチリお目メだったでしょう。会社でもそうですね。帰属する集団が、個人に刷り込みをしますし、多くの集団が同じ方向を向いていますから、集約すると一定の方向性を持った価値観が継代していくのです。

これはまぶたに限ったことではありません。古来から、女性は社会的に強そうな、能力の高そうな男性を求め、男性は能力の高い子孫を残してくれそうな女性を求める。目が大きいという形態の人の方が、機能的に高いと認識している(刷り込まれている)人が多いので、当然求められる機会が多いでしょう。もっとも、他の要素も多々あります。形態的、機能的ならず、精神性や社会性、知性等の内面的機能も含む訳です。順次お話ししていきましょう。

今回は、前回に続けて、形態の遺伝と機能について、詳しく述べてしまいました。機能について、つまり眼瞼下垂について、いろいろな方向からの見方を述べたいと思いますので、次回にしましょう。

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