2013 . 12 . 4

まぶたの機能と美容医療 発展編Ⅰー重瞼術は必要。埋没法がいい?、切開法がいい?。可愛いでしょ!ⅰ

これまで、まぶたの機能と美容医療とのテーマで、いくつかの留意すべきポイントを述べてきました。目が小さいと感じる人に何をすればいいのか?、日本人では目が小さい人が多くいます。これは、遺伝子の為なのは、これまで何度か説明してきました。そしてこの形態は機能異常であることもこれまで説明してきました。だからこそ、東アジアでは、形態と機能の改善として、つまり美容形成外科の治療として、まぶたの治療=ほとんどは重瞼術ですが、同時に眼瞼下垂治療を要する事が多いのです。数の上でもっとも多く(私達の施設では半数以上を占めます。)質の上でもバランスを取った適正な医療が求められると思うのです。

これまでの2症例は、①切らない眼瞼下垂手術で開瞼を強化して、二重は控えめでも瞼縁が露出する手術と、目頭切開で抵抗を除去するケース。②眼瞼下垂があるのに、他院で埋没法の重瞼術だけを施され、患者さんによると「ゼーンゼン治っていない。」との症例で、切開し挙筋を修復し、重瞼を固定し、目頭切開で抵抗力を解除した症例。どちらも術後は眼がキラキラしています。

さて今回は、21歳女性の症例。先ずは今回の症例写真提示をします。術前像とデザイン:

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今度はまた、先天性の軽度眼瞼下垂症で、他院では、眼瞼下垂でないといわれた症例。眼裂は正面視で7.5mmと、明らかに下垂です。前医(SBC)では計測していない、というかできる医者がいない。一重まぶたで皮膚下垂もある。上方視では皮膚のために、上が見えないほどの被さり、皮膚は挙がらないだけでなく、前頭筋は開瞼時には常時収縮していたために、伸展が見られる。若いのに頭痛、肩こりがひどく、挙筋滑動距離はつらくて計測不能だが、正常下限かと思われる。フェニレフリンテストではそれなりに開いたので、腱膜性も生じてきた模様。ただしコンタクトレンズ使用歴はない。

いわゆる一重まぶたで、眼裂狭小(縦も横も小さい。)、先天性眼瞼下垂に、抵抗力のために、若年性腱膜性眼瞼下垂を併発したと診断しました。腱膜修復と、皮膚切除を要するため切開法を選びました。重瞼幅は普通が似合うとサジェストしました。

眼裂横径は24ミリで内眼角間が38ミリと蒙古襞が強く、水かき状の強いツッパリがあるため、抵抗力を解除する当院独自の、形態が余り変わらないのに、機能的にはよく効くZ−形成法による目頭切開法を併施します。

ところで、手術時に、お母さんが付き添っていらっしゃったのですが、思わず「そっくり!、ですね。」と声を上げてしまいました。先天性眼瞼下垂で眼裂狭小状態と一重まぶたは本当に同時遺伝するものなのですね。

今回は、はっきりした普通の二重まぶたを希望されるので、形態的にも皆さんに期待を与えられると思います。幸いダウンタイムは短期間で済みそうなので、次々に経過をお伝えできると思います。

デザイン:重瞼線(下の線)は中央で、皮膚に緊張をかけないで瞼縁から6mm。切除幅は3mmとしてまぶたのカーブに沿った曲線を2本引きます。蒙古襞の稜線に沿ってZ形成の縦の線、内側への線は重瞼切開の2本線の終点になります。下の線は裏側で見えません。3辺は4.5㎜にしました。

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切開して、挙筋修復し、重瞼固定糸をかけたところです。突然拡大図としましたが、その次の図と比較するためです。瞼縁が見えており、そのサイズは8mm以上あります。

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眼頭切開の2枚の皮弁を皮膚、眼輪筋下で挙上し、皮弁を入れ替えて(自然に入れ替わるのは前々回お見せしました。)角だけ縫合したとこです。瞼縁の形に注目して下さい。目頭切開をしていない上図では、内側下がり、つまり吊り目になってしまっていますが、眼頭切開をするとアーモンド型の窓になります。蒙古襞がいかに開瞼の抵抗になっていたかを表していると思いませんか?。

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すべて縫合して、手術を終えた直後です。まだ局所麻酔が切れていないので、前頭筋が全く動かず、眉毛が落ちすぎて、きつい感じになっています。2時間後には動きます。

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翌日、経過診察のために来院していただきました。「ゼーンゼン痛くなかった。」とおっしゃいます。「そうですね腫れもひどくなっていないし、内出血もないし、順調!」と言ってあげました。前頭筋に自然な緊張が入り、眉の高さがちょうどいいと思います。術前の前頭筋に強い緊張がある顔つきは辛そうですが、今日は明るい笑顔で帰られました。創の経過がいいので、もう目立たないでしょう。

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通常、どんな侵襲を与えても、身体は48時間は反応します。修復の第一段階は、出血後の止血機能。組織液の浸出、つまり炎症を起こし、四兆=疼痛、腫脹、熱感、発赤を呈します。手術の侵襲は上手さ次第なので、私達は後二者は呈しません。疼痛が内服薬で抑えられなかった症例はありません。腫脹はケースバイケースですが、今回は中程度です。繰り返しますが、侵襲に対する炎症反応は48時間は亢進しえます。怪我でも、打撲でも、やけどでも、日焼けでも、手術後でも、何らかの侵襲が加わった後48時間は、炎症症状は悪化しえるのですが、その間冷却や、安静、挙上等を心がければ、亢進しないで、あとはスーッと引いていきます。今回の症例はよく注意されたので、早い経過でイケそうです。1週間後の抜糸時が楽しみとおっしゃっていました。

この様に経過を知っていれば、その日数に応じた生活上の都合をつけて、切開法も受けられる訳で、みなさんの参考にしていただければ幸いです。

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