2013 . 9 . 1

まぶたの機能と美容医療Ⅷ 眼頭切開 -蒙古襞(もうこひだ)について-

モーコひだって何?。まぶたの機能と美容Ⅰで記しました。一重まぶたに付随する構造です。といっても覚えていないでしょう。ではもう一度。ところで、【まぶたの機能と美容】のテーマですが、機能には関係ないんじゃなねぇ⤴?と、思われるかもしれませんが、大ありなんです。これから説明します。

一重瞼の遺伝子は、約2万円前に北方アジアでの突然変異の結果生じて、現在まで北東アジアではその遺伝子の存在が継続していることは、今まで述べてきました。北東アジアってどこ?、今でいうモンゴルです。中国の北漢字を漢字で蒙古と書きます。そして日本人は、南アジア出身の、古いアジア(モンゴロイド)系と、北東アジア出身の新アジア(モンゴロイド)系が混血していると考えられています。遺伝子も混合しています。ところで、蒙古斑というのを聞いたことがありますよね。産まれたとき赤ちゃんのお尻の上に青緑のあざがあります。子供がいる方は知っていると思います。2歳くらいまでに消失しますよね。日本人なら、必ずといって良いほどあります。(約97%)蒙古斑はモンゴロイド、つまりアジア人には広く分布していて、東南アジアにも見られます。この場合の蒙古はアジア全般ということです。

本題の‘蒙古襞’に戻ります。一重瞼は、北東アジアでの発生で、分布は北東アジアに限ります。日本人は南北アジア人の混血と考えられていますので、約半分の人が一重瞼遺伝子の発現をしています。そして、この遺伝子に伴って、もうひとつ蒙古襞の遺伝子が発生したようです。一重瞼と二重瞼の違いは、一か二かの違いですが、蒙古襞の遺伝子は代々継いで来て、程度の差こそあれ日本人はみな蒙古襞があります。そして発現形としては、一重瞼の人の方が程度が強く、二重瞼の人では程度が軽い傾向があります。

蒙古襞とは何かというと目頭部分の被さりで皮膚が突っ張っている部分です。目頭を見ると赤い肉状の部分がありますよね。涙湖といいます。白人では涙湖は丸見えですよね。蒙古襞はこの部分を隠すように被さっている皮膚の襞を言います。見方によってはカエルの指の間の水かきみたいですよね。それは置いといて、この皮膚は下眼瞼に繋がっているので、突っ張りが強いと眼瞼下垂状態の補助になってしまいます。変な話、人間の指にも水かき状の構造があります。指を開くと間の皮膚は突っ張ります。例えば、親指をを上眼瞼、人差し指を下眼瞼すると、指を広げたときの皮膚は蒙古襞に似ていますよね。そこで、瞼の内側の開きが小さいことになるほど蒙古襞が突っ張っていると、いわゆる吊り目になります。さらに一重瞼の方は、眼瞼下垂症を伴なう方も少なくなく、蒙古襞の突っ張り(=拘縮)が強いため症状が強い方も多いようです。この場合、同時治療をお薦めしています。

もう一つ美容的にも、蒙古襞は、目を小さくしますから、容貌の要望からの治療も多いのです。目の距離は角膜中央で60ミリが平均で、55ミリ~65ミリまでに95%が入ると考えられますが、蒙古襞の被さりが強いと、目の窓が離れてしまいます。さらに眼裂横径が小さいと、当然縦径も小さく目が小さいので、美容的には手術適応者となります。私は常々患者さんを計測しています。目の窓の内側点と外側点の距離=眼裂横径&両側内側の距離=内眼角間距離を右/内/左で記載します。二重瞼の人では、27/34/27mmが平均値です。あくまでもヒト種としての正常形態の二重での標準です。白人の理想値は30/30/30とされていますが、日本人ではめったにいません。ちなみに私は28/31/28です。

このように、日本人では原則として蒙古襞があるのですが、バリエーションがあり、程度に差があります。二重瞼で涙湖がかなり見えている(といっても全部露出はあり得ない)人もいれば(私がそうです。)、一重瞼で白目の半分近くまで隠れている人もいます。実際には、シミュレーションしてみると、眼瞼下垂状態に対する寄与度も判ります。重瞼線をピンで抑えて瞼を開き、黒目を出してみた時に、内側がカックンと曲がって開かないラインになるのは、蒙古襞が強いためです。この場合、眼瞼下垂の手術と、重瞼術、目頭切開のどれもが適応と考えられます。もちろん程度によりますが・・。一つ付け加えると、蒙古襞は成長にしたがって鼻が高くなると、皮膚が内側に引かれていって、被さりが軽くなることがあります。もちろん成長期までですし、変わらない人も多いですが・・。私の息子は、私に目元が似ているのですが、明らかに蒙古襞は開いてきました。写真を見ると、どうも私もそうだったようです。これも遺伝子が支配しているようですが、鼻は脳圧で高くなるという説もあり、成長期に脳(頭脳)をよく使う、つまり勉強をして脳の血行=圧を高くしていると、鼻が押し出される力が働くという傾向があります。

とにかく、機能的にも、美容的にも(形態は機能の反映であるのは、再三述べました。)蒙古襞と一重まぶたは氷河期の北東アジア発で、温暖期には必要ない構造です。好ましくない構造です。ただし、現代社会の状況=就職氷河期、という言葉に代表される暗くて寒い世相に置いては、一重瞼&蒙古襞もマッチしているのかもしれません。結局、一重瞼や蒙古襞は、機能的には損失な訳ですから、個人の機能や能力は、国家社会的にも経済的に損失になり得ます。どうも日本国のデフレ、GDP低下には、これも関与しているのかも知れません。大韓民国での美容外科と経済の平行した隆盛を見れば、その通りですよね。だって、遺伝子的に、韓国人はほぼ100%一重瞼のはずなのに、二重瞼の多い事、多い事=韓国では重瞼術はご飯より日常的なのです。目力があれば、経済力も上がる訳ですね。日本には「残念!」な人が多い様です。二重瞼術と内眼角形成術は北東アジア人には定式の手術です。だって、人類の中ではまたは動物の中では、以上な形態で機能異常なんですよ!。

本日はかなり、厳しい事を述べましたが、巷での目頭切開(=内眼角形成術)に対する誤解=傷が目立つ、不自然、キモイ、等の見解があり。確かにこれまでの方法で多くの美容外科医が格好悪い手術結果を呈していたのです。実例として、父の手術結果は美しいのですが不自然です。次回写真を提示します。

私達の目頭切開(内眼角形成術)は、これまでここで述べた目的に適う、最高の手術です。掛け値なしです。手術後早期の経過中にも気にならなく、傷跡は見えなく、それでいて調整によって目的を達する。何故そんな魔法の様な事ができるのか?。形成外科の経験と理論、美容外科としてのセンス。何度も自慢?!、しますが、私達には最高の治療を開発する能力があります。

その手術法の詳細、比較について次回をお楽しみに!

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