昭和40年代には美容整形が盛んになり、形成外科医も整容外科と称して参入し始めます。学会というよりは寄合いに近いのですが、(まだ標榜が認められないので学会としての公的独自性がない。)二つのグループがしのぎを削ります。
そうしているうち公的な認知を求めて、つまり裏街道的に寛容されている美容整形を表だって行いたくなったのです。日陰者、前回最後に紹介したやくざ医師と呼ばれる立場からの離脱を図りたくなるのは、人として当然の感情であり、名誉も得たくなるのです。
そこで必要なのが、標榜科目です。標榜というのは、法令上広告可能な科目名です。美容整形は、法律上では、広告さえも禁止されていた訳です。もっとも父は銀座整形の看板を立てていました。十仁病院は美容整形を宣伝していました。お上に指摘されなけれ
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カテゴリー別アーカイブ: 美容外科
美容医療の神髄Ⅴ-歴史的経緯第三話- ”口頭伝承話”その3
公開に先立ち再度構成を要しています。しばらくお待ちください。
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美容医療の神髄Ⅳ-歴史的経緯第二話- ”口頭伝承話”その2
昭和40年ころまでは、美容整形の医師は、見よう見まねでまたは、創意工夫して診療していました。今だに市民間にも、医療者にも残っている感覚として、美容医療は福祉目的でないため、医業に過ぎず、そのため同業者にまたは、その斯界の他者にノウハウを明かさないという面があります。通常医療従事者は、保険診療とは国民の衛生、福祉を目的とします。したがって学会等で医療者同士や市民に啓蒙、教育することも業務です。しかし、美容医療は医療でありながら、啓蒙活動に不熱心であったのです。つまり、医学的見地のない医業として行っていた訳ですが、次第にそれではいけないという風潮が芽生えてきました。
昭和31年に東大で形成外科診療班が発足し、警察病院へシフトし、他大学でも徐々に形成外科が行われるようになります。既に欧米では
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美容医療の神髄―「器用なんですね!」って、美容医療の基本というか..。
美容形成外科医の私は、患者さんによく言われます「先生器用だから上手なのですよね!。」私はそれに対していつも言います「違います。外科医の能力は,第一にてっぺん=頭、知識と経験が結果を作ります。そして、所見を基に、患者さんとコミュニケーションをはかる、つまり口と耳も道具です。第二に頭の前=視機能です。個々の身体は解剖学的知識に裏付けられた典型的な形態に限らず、変異、変形、疾病が有る。だから医療が必要なのです。手術をしていく際に目で見て把握していき、それに応じて対処していき、形態をどのように治すが外科医の能力です。第三に手です。手は脳が動かすのですが、神経、筋、知覚は手に有ります。これらは必ず加齢と共に衰えますが、培ってきた頭の能力があればレベルは保てます。つまり器用な行為は頭、目、手の連携で成り
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美容医療の神髄本編―美容医療の基本―その5 美容外科診療には形成外科診療の経験が必要なのは説明しました。でも逆に美容外科特有のセンスは?
昨日も今日も他院での不足(不良とは言わないでおきます。)結果の患者さんが来院されます。
本来なら、初療医に診てもらうべきであるという建前はありますが、そこで、まず前医を知ることが必要だと思い尋ねると、「忘れた。」とか、「言わなければならないのですか?。」とかいう人がいて、困ってしまします。病歴は診断に繋がり、治療の方針(こちらが請け負うかも含めて)を左右する重要な所見です。何も情報がなく、ましてや、治療歴があるのに隠されて、こちらは初療だと思って治療したら、思いもよらない状態で難儀したこともありました。ですから、診療の際にはできるだけ情報を下さい。社会的情報も、同様に重要です。
もっとも、「忘れた。」のが、何十年も前だからというのなら仕方ないし、何十年も前に受けた美容整形手術の方
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