2017 . 3 . 14

この鼻なら、この手術の組み合わせが効を奏する。お任せあれ!

今回の症例は外鼻だけが残念な患者さんです。何がっていうと、結構きれいな顔立ちの(今回の症例提示は部分的なのが残念。)まあまあの美人なのに、外鼻だけが大きくボテッとして、しかも鷲鼻で品に欠けるのがもったいないのです。顔面の周囲とのバランスを考えると治したくなる症例です。

今回は術前術直後の画像を、正面、下面、斜位、側面像の順に並べて、それぞれでの見るべきポイントを記していきます。

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上の正面像では、鼻翼と鼻尖の大きさそれにその比率が良くなったのが判ります。術前は内眼角間34mmに対して鼻翼幅36mmで大きく、鼻尖は二分軟骨となっていて幅が20mmありました。鼻尖の幅は鼻翼の幅の半分が理想です。術前の数字からから、術後は画像のごとく半分になりました。術直後には腫脹がありますから数字的評価はしません。

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下面像では、鼻翼の丸みが無くなっているのが良く判ります。鼻翼の付け根より、張り出している鼻翼を三日月形に切除しました。術後は付け根と最大張り出し幅がイコールになりました。これがきれいな鼻翼です。鼻尖は明らかに高く、小さく、尖がりました。軟骨を3枚も移植しましたから、1枚1mm厚として3mm高くなっています。ちなみにその結果、鼻孔の形も細長くきれいになりました。

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斜位像では、鼻翼の丸みはもちろん解消しています。鼻尖の位置は画像上は下がっています。鼻尖の最前方点を下げることが目的ですが、その下がペタッとしているので、ツンと長くすることも目的でした。移植軟骨でその形を作りました。細かい手術法は下段に説明します。

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側面像では明らかに鼻尖の位置が下がっています。比較法は鼻翼基部と鼻尖の最前方点との関係で判ります。もちろん、鼻尖の形は見事でしょう。これは改善点をよく吟味して(術中にも悩む)移植軟骨の形を作った結果です。そして高さは、鼻尖の上から鼻尖に向かってジャンプ台の踏み切り部みたいにカーブしています。ツンとして格好いいです。これが本当のアップノーズです。鼻翼の上下長が減少したのは当然ですが、鼻尖を前へ出したから引っ張られて、縦横の比率が変わったためでもあります。

鼻は立体的な構造ですから、3次元的な構造変化が求められますが、まだ3Dソフトは掲載できないので、4方向の画像で評価しました。みなさんお解りになりますよね。まあ一言綺麗に、しかも豊かな形態になりました。鼻は下がっているといじわるっぽいし、短いとイモっぽい。そうでなくするとゴージャスになります。

さて鼻尖の美しさは移植軟骨の形成に左右されます。今回の手術は鼻翼切除の適応で、見ての通り3mmの切除で野暮ったさが解消しました。鼻尖の両側の鼻翼軟骨が離れている二分軟骨は縫合すれば治せます。ですから鼻尖のポジションとシェイプを作り上げるのためには軟骨を移植して増大するので、その方向と形態とサイズのデザインを提示します。

今回は軟骨の形を紙上で2次元画像化してみました。

前提として耳介の中の耳甲介から取ると、鼻尖の湾曲に何故か必ずフィットします。たぶん人間の構造はそうできているのです。厚さも1mmと一定しています。今回は10×15mm採取しました

OLYMPUS DIGITAL CAMERAまず耳介軟骨を3枚に分けます。左図の如くに切り分けます。

上が土台で縦10㎜横8mmで、ダイアモンド型、中は鼻柱方向を増量するためで縦はやはり10㎜で幅は6mm、下は鼻尖をとがらせるための3段目で、3×4mmとしました。

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これを3段重ねにします。耳甲介軟骨は亀の甲羅みたいな恰好をしているので、私はよく「親亀の背中に子亀を乗せてえ~。」と歌いながら作るのですが、今回は3段なので「そのまた上に孫亀乗せてえ~。」と唱えながら3枚を縫合します。

上左図が正面から見た模式図。上な数が横から見た模式図。上右図が下から見た模式図です。耳甲介軟骨は上に書いたように、湾曲しているのですが、それを図に書く際はフリーハンドですから、難しいのです。本物を手術する方が巧くできます。でも何となく形が判りますよね。そこで本物の術前術後画像と比較してみます。

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正面像です。耳甲介からの移植軟骨が入った結果丸い鼻尖が小さく尖がっています。

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側面像です。移植軟骨の形が鼻尖の高さと形を改善しているのが解かります。デザイン通りの形が作り上げられました。

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下面像です。移植軟骨分の高さとシェイプが変化しました。

どうですよく判りますよね。場合によっては軟骨の画像も術中に撮影しておくのですが、今回は一遍に三つの手術をし他ので時間が押してしまい撮り忘れました。なので、紙上での模式図を添えて術前術直後の比較しました。通常患者さんにも入れる直前に見せるのですが、実は見せ忘れたので、これで見て確認いてもらおうと思っています。

と思っていたら、今回の症例は忙しくてブログ掲示が1週間後となってしまいましたので、抜糸後の写真も頂けました。順に正面、左側面、左斜位、下面の4画像を取り急ぎ提示します。

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経過はまだまだかかります。軟骨が生存し定着して位置が決まるのに(縫い付けてもずれる可能性はある。)最低3週間、覆う皮膚が意図したような形に癒合するのにも3週間はかかります。其れまでテープで表面からContourを作る様に抑えると、そのように癒合します。次回術後2週間目で提示しますので、お楽しみに!。