2018 . 5 . 17

きつい目元を優しく知性的に。

眼瞼の形態は大部分が遺伝子に決定されます。二重瞼と一重瞼では天と地の程の差があります。もちろん、二重瞼が優位です。その理由は窓の大きさが格段に違うからです。異性を求める際に目の大きい人を好ましく感じる率は圧倒的に高いのです。何故なら、機能的には目が大きく露出している方が生命維持能力が高いと感じられるからで、危険を察知する能力も含み周囲から視情報をより多く得られる。その結果知的に向上する。現代では知的な程度が社会に直結します。生きる為の知恵の領域ですが、急激に発達する情報社会に於いては、混沌とした情報を知性を活用して生き抜く必要があり、その為にも開瞼機能が高い者が有用視されます。

今回は知的作業の社会人で、術中も楽しい会話に終始しました。そうであれば知的能力が高く見えた方がより似合うので、目の窓を大きくすることの有用性が高いと考えられます。

症例は25歳、女性。先天性一重瞼=皮膚性眼瞼下垂。LF,Levator Function;挙筋筋力(滑動距離)=13mと正常下限値。開瞼時前頭筋を常時収縮している。ソフトコンタクトレンズ装用的は2年で、後天性筋性眼瞼下垂は極軽度で、一重瞼に依る筋力成長不良が主体と考えられる。眼裂横径22㎜:内眼角間38㎜:角膜中心間58㎜で眼球は離れていないのに目の窓の間隔が遠いのは蒙古襞の被さりと拘縮の証拠。下眼瞼圧迫で上眼瞼全体が膨らむ眼窩脂肪ヘルニアである。

画像を視ましょう。

IMG_2823左は術前。下の二葉はデザイン後開閉。

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下は術直後の開閉。

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下に近接画像の術前と術直後。

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術直後の画像だけでは結果を見て取れません。疲労と局麻の残存と患者さんの疲労によって、開瞼が不足の写真になります。また上段に述べた如く、開瞼機能は生命力を司るのですが、逆に生命力を反映します。覚醒して活動する際に眼瞼を開かなくてはなりません。その為に眼瞼挙筋が収縮しています。収縮させるのは脳からの電気信号です。活動(現代社会に於ける戦闘)時には脳からの信号が増加していつもより大きく開きます。いわゆる目をカッと開いて気合いを入れた顔つきです。逆に疲労や眠気で信号が弱まると目の開きは落ちますし、眉を挙げていた信号も減るから眉も挙がりませんから、暗い目元になります。精神疾患の一部や精神安定剤(睡眠剤や抗癲癇薬や抗鬱薬等の総称)服用者も同様です。上の写真はいつもの様に手術直後の撮影時には開いていません。疲れた表情です。実際には術中に私が挙筋を縫縮した直後に、「目を開いて下さい!」と気合いを入れますと、充分に開きました。その瞬間、私はホッとします。来週の術後1週間には、楽に開いているでしょう。その節に開瞼の評価を書きます。

目の窓は縦横のサイズに支配されます。

縦のサイズには二通りあり、第一眼位(顔面正立時の正面視)での、眼瞼縁の幅は挙筋の筋力を示し、瞼縁に皮膚が被っている場合(つまり一重瞼)の幅は見かけ状の開瞼と言います。皮膚を持ち上げるのが重瞼術(二重瞼にする手術)で、挙筋を強化する方法は短縮術や修復術と言います。通常後天性腱膜性眼瞼下垂は伸びた挙筋腱膜を修復するだけで治せます。当院の得意のLT法で可能です。従来の挙筋腱膜を縫い縮める方法に比べて侵襲が少なくダウンタイムが短くて済みます。

横のサイズは蒙古襞の被さりの程度に左右されます。ただし、眼球の位置は個体差があり、内眼角間距離との兼ね合いで蒙古襞の除去幅が左右されます。いつも計測していますが、角膜中心間距離は平均60㎜です。患者さんの距離から60㎜を引いた値(マイナスは考慮しない。)を内眼角感距離から引いた値が蒙古襞を示します。これまでの統計上、二重瞼の平均値と一重瞼の平均値は3㎜の差があります。だから、一重瞼を二重瞼にする重瞼術を施行する際には内眼角間距離を3㎜近づけなければ【不自然】な形態になります。一辺4㎜のZ−形成では1.5㎜ずつ被さりが取れますから両側で3㎜近づきます。更に目頭付近の瞼縁の弧の長さが3m伸びるため、瞼縁が丸くなり吊り目が解消します。本症例でも術直後でも解ると思います。

吊り目とは、一重瞼で、眼瞼下垂状態で、蒙古襞が拘縮して目頭部が被さっている形態と機能を言います。英語でSlant eyeと書き、アジア人をバカにする=差別するスラングとして囁かれます。私もアジア人ですから、差別を奨励しませんが、やはり目の窓が小さい(細い)と美しくないし、キツい目元で印象がよくありません。上段に述べた様に視機能(視界)が低減されるので、アジア人の平均的な知的能力が低いと揶揄されるのもここが一因となっています。

アアそうか!、政治も含めて日本の国力が低下の一途(失われた25年)のはここにも原因があったのでは無いかと考えられます。この間美容整形が再び隆盛したのにチェーン店が誘導してきたブームですから、技術が伴わない。チェーン店系で受けたナンチャって眼瞼下垂手術と目頭切開の結果は惨憺たるもので、Slant eyeが治っていないばかりか時にはSlant eye作製術になっています。知性欠如で金儲けの知恵だけ駆使する医師が増えたのです。これも失われた25年が齎した弊害です。

今回はキツい話しに終始してしまいました。次回移行術後の経過を診ながら、優しく知的な目元を賞でたいと思います。