2013 . 11 . 27

美容医療の神髄番外編-本邦の戦後の医療の経緯Ⅰ

古来は医療というのは、怪しいもので、神懸かりだったり、気持ちの問題だったり、科学的ではなかったのです。

本来生命や、機能を保全する事は、国家や為政者に取って必要な事です。兵隊を減らさない。労働者に元気に働いてもらう。この為に医療は便利です。その事に気付いた集団のリーダー=王でも、君でも、社長でもありです。)は、医療を利用しようと考えるのは当然です。

文明開化以前にも、日本では江戸時代には、医学を目指した者はいました。町医者と御典医です。経験則から医療をしていました。ちなみに私の四代前は福島で地域医療をしていたそうです。欧米では、ルネッサンス期に、東アジアでは文明の萌芽と共に、日本では明治維新後に近代医学が科学的に発展しました。

日本では、後付けで西洋医学をまねたので、制度が整いませんでした。明治時代から、戦前までは免許制度も整っていませんでした。医学校も軍医要請に迫られ専門学校が林立しました。戦後、GHQの中心である米国が、制度を押し付けました。先ずインターン制度。これは酷い者で、医学部卒業者を、研修の為に1年間ただ働きさせる制度です。10年程のちに「封建主義的である。」との声の下に、インターン制度は消滅しました。その後、医師不足との掛け声の下に、昭和45年から新設医大が認可され始めました。

実は米国では、インターン制度は存続しています。しかも有用とされています。ただし、無休ではありません。国家が補助しているからです。米国ではそもそも、医学部は日本と違うレベルです。一般の大学(2年生カレッジでもいい。)を卒業してから4年生の医学校に入ります。奨学金制度が充実していますから、頭脳明晰なら誰でも入れます。しかも、成績次第で資格に差がつきます。医師のレベルの差が、市民からも見える制度です。その為には、上司=臨床経験によりより多岐診療の能力を備えた指導医に認められなければならない、厳しい世界なのです。

日本では、戦前から医局制度という封建制に近い集団が存在しました。いや、今でも形を変えて存在しています。皆さん市民には、なじみが無いし、アヤシい仕組みだとしか思わないでしょう。いわゆる徒弟制度です。江戸時代の職人が弟子入りして、見てまねて覚えるやり方、これと変わりありません。医局とは、教授の下のピラミッド型の組織をいいます。何故そこに在籍しようかとするのか?、それは人事と肩書きの為です。決して実力から得る資格ではないと思います。

医局とは、例えば私は、昭和62年に医師国家試験に合格した後に、北里大学医学部形成外科医局に入局しました。就職です。当時は、臨床研修病院制度はありませんでした。ですから、多くの卒業生は卒業した大学病院に就職しました。進む科を決めるので入局と言います。

何度も言いますが、医学部を出たての医者なんて使えません。右も左も分らないのですから。だから、上医に学ぶのです。もちろん、教科書や論文を勉強しまくって知識を入れます。でも人を見る医学では、バリエーションがあるので、臨機応変の対応が必要です。そんな部分を含めて先輩医師から指導してもらわないと診療能力が備えられないのです。

医局制度にはあと二つの特徴があります。最近では認定医、専門医が重視されます。より、高い能力を学会と政府が認定することです。この為には、症例経験が必要で、しかも専門性の高い、大学病院でしか診療できない様な症例の診療経験を必要とされています。大病院か大学病院に入局しないと、認定専門医はとれない制度です。

もう一つはタイトルです。医学博士は、大学院教授が授与します。医学博士の価値はなんでしょう。これも二つあります。大学病院の教授陣や大病院の科の部長になる条件には、医学博士を要する場合が多いのです。規定は施設によりますが、横並びです。博士を頂点とした、学術的能力のタイトルは、世界的に使えます。逆に言えば、世界的な真理性が求められます。各国家が、政府行政的に認可します。英国などは王室が授与します。職業選択の条件になる訳です。開業医には条件はありません。

でも開業した際に、広告宣伝できます。前にも書きましたが、医療機関は名刺程度の広告しかできないのですが、医学博士は掲げられます。私の父は掲げていました。私は、病院での形成外科の臨床診療が面白くて、美容外科の開業を先延ばしにしていましたから、広告の為の医学博士は、要らないかな?、とも考えていました。もちろん私は、美容外科医でありたかったので、難しい選択でした。ここにも制度があります。医師として大学病院に就職し、大学医学部が卒後教育を担保する。この機構においては、年限があるのです。または、無給が延長されるのです。

詳しく説明しても面白くないので、医学博士に付いてはここまでとします。医局制度の目的は相互扶助制度です。医局は学術的高い研究や認定医の輩出が病院という会社の中で認められ、教授の地位や、名誉ひいては報酬に結びつきます。

ところで、医学博士とはなんでしょう?。医学研究です。医学の発展の為には、学門的な努力が必要なのです。よく人体実験との言葉で危険視されますが、臨床的研究は欠かせません。動物実験も必要です。遺体を調べて疾病の質的違いを知る事も必要です。

日本の医局制度がいかに封建的で、前時代的なのかは、日本の社会や、政治が前時代的なので当然なのでしょう。しかも経済状態がが低迷しているがために、時代は逆行しつつあります。医療をはじめとする社会保障は、先細りになる事は避けられません。美容医療は国家が担保しない部分があるので、関係ないとも言えますが、今よりより経済論理での進歩、逆に言うと医療としての安全性が不足する可能性が高くなると予想されます。韓国では、美容医療が流行っているのですが、私から見ると、医学的進歩性は低く、金儲け主義的とも言える国家の方針が反映していると思います。

話しがあっちこっちへ行ってしましましたが、次回続きとして、臨床研修とは何か?と学会認定専門医の有意性について述べます。

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