この症例は、男性で奥二重を望んでいました。上図の如く術前を診ると、かろうじて瞼縁が見えていて、皮膚が被さっているのを代償する為に前頭筋にが収縮していて、眉毛が挙がっています。挙筋筋力は有るのに皮膚が邪魔なのです。
1回目に切らない眼瞼下垂症手術=黒目整形=NILT法を施行しましたが、右の内側が不足なので、追加しました。同時に、外側の重瞼を強化しました。下図は今回の術後経過です。前頭筋の収縮が解消し、眉毛が戻りました。閉瞼時と同じ位置です。
二重まぶたとは、正面視(第一眼位)で瞼縁より皮膚が上にある形態で皮膚性眼瞼下垂が無いため、代償性の前頭筋収縮が無い状態です。奥二重とは、瞼縁と皮膚がほぼ同高の状態を言います。一重瞼は第一眼位で瞼縁より皮膚が下にあるか、前頭筋収縮で代償している状態です。
それぞれが形態的に形容されますが、結果的に機能的な状況を呈しています。いつも言う通り、良好な機能は良好な形態に宿るからです。
男性では、美しさを観点に置くと嫌がられる場合が有りますから、男らしさは目力に宿ると題名づけました。上の2画像、術前と2回手術後で、どちらが格好いいかは好みの問題です。基準的には開瞼が高い方が目力を感じます。前頭筋が収縮していない方が目力を感じます。皮膚が被さっていても瞼縁が挙がっていれば開瞼力が周りから感じられるからです。つまり機能は周囲から感じられ、気合いが入った目もとは社会的な人格を高めます。果たして本症例がどう見られるかは、次回聴いてみることとします。
10年前父が存命中、私は50歳前で、加齢により瞼縁に皮膚が被さってきました。前頭筋を収縮する代償作用が起き始めました。そこで敢えて、意識的に目力を入れてみせる為に、眉を下ろして、挙筋に力を入れることを心がけていたら、老醜の父に言われました。「恐い顔しているなあ、そう言うのを裏切り者の目って言うんだぜ!」「うるせえ、親父が俺に苦労をかけるからこういう顔しているんだ。金返せよ!」と悪態をついていたのですが、その後父が死んでホッとしたのか、私は優しく眉毛を少し挙げて目を開く様になってきました。最近でも「目が大きいですね!」と言われます。ある程度の年齢と共に、軽く前頭筋収縮して、明るい目もとにしていた方がいいのかも知れません。矛盾しているかも知れませんが、機能と形態のバランスは難しいということです。
本症例患者さんにも、社会的機能と形態の関係に付いて、今後聴いてみたいと思います。