2016 . 10 . 18

切らない鼻翼縮小術はサイズが決めてですが、手術法の適応も大事です。

あぐら鼻の修正は、縮小に限ります。切除ではなく縮小が適応の症例がほとんどです。今回は術後2週間の経過画像をご紹介します。記載内容の一部は前回のコピペになっていますが、適応について記載を追加します。

症例は46歳、女性。今回の画像提示は部分に限りますが、実は美しい顔立ち(輪郭と目、口元)の患者さん。鼻だけ残念なので治す価値が高いと考えられ、私が依頼をされ請け負いました。このブログを見て参考にされたそうです。加齢と共に鼻が広がって来たようで、実際の最大幅のサイズは36㎜です。

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上画像が術前。正面と下から。

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 上画像は予定通り31㎜まで締めました。糸が掛かっている両側2点がまだ赤く見えます。これでは赤点ですが、翌日には目立たなくなります。掛ける位置はやや下部としてあぐらを改善するデザインです。結構位置が重要なのです。患者さんにも念を押されました。私はむしろ、さすがあ〜よく研究していいらっしゃると感じて嬉しかったです。そういう患者さんがより良い結果を得られます。それは精神的な満足感を得られるからです。

ところで、手術法についてよく訊かれます。その度に「糸を八の字に入れるだけです。」と説明するのですが、患者さんはたいてい、ぽか〜んと口を開いています。

詳しく説明すると、両側の鼻翼と頬の折れ返り線に2点ずつをデザインし、極少量の局麻(1点に約0.05cc)を35Gという世界一細い自家製の針でするからほとんど痛く無い。それぞれにに直径1㎜で深さ1㎜の孔を開ける。もちろん痛く無い。片側の下の孔から、直径0.4㎜で長さ10㎝の針を入れていくのですが、さすがに痛いときはその針に注射器を付けて局所麻酔を足します。片側の下の孔から反対側の上の孔まで針を挿入した状態で針の中に直径0.2㎜のアスフレックス糸を通します。次いで反対側の下の孔から交差していれます。両側2点ずつに糸が出ます。それぞれの上の糸を同じ孔から皮下を通して下の孔に出します。こうして八の字に入りました。次に左側の下の孔に出ている2本を結紮(結わえること)して、結び目から1㎜先で切り落とし、結び目を孔に埋め込みます。別に右からでもいいのですが左からと決めています。右側を結ぶ際には鼻翼の幅を計測しながら目標値になった所で3回結紮します。同様に切って埋めます。これで出来上がりです。診察の場面では細かく説明する暇はありませんので、覚えておいて下さい。

こんなに簡単な手術ですから、効果は半量戻ります。ポイントは三点あります。1、結んだ糸がほどけたことは1回しかありません。ちゃんと結び目から1㎜残せばほどけません。引っ張って実験しましたから確かです。アスフレックス糸は密度が高くそれでいてしなやかで、でも伸び縮みしない最新の繊維で出来ています。溶けませんし、もちろん害はありません。2、糸が皮膚の中に喰い込んでいきます。強い糸に比べ、身体のコラーゲン繊維は弱いのです。孔の中に引っ掛かっている糸は、引っ張られているうちに身体のコラーゲン繊維を裂いていき喰い込んでいきます。それでは元に戻るのかと言えば止まります。数字では平均的に寄せた半分が戻ります。これまでに計測してブログでも提示してきました。何故止まるかと言うと、糸の掛かっている所に数週間でコラーゲン繊維が増生するからです。物理機械的刺激に対して身体が反応して、コラーゲンを動員します。糸の周りだけコラーゲン繊維が密になり`三本の矢`の例えに従う様に、もう切れません。この構造は簡単には壊れません。だから、約3週間後からは定着します。3、手術時に寄せた際に、ちゃんと確認すること!、一巻き結んでは計り、もう二巻き結んでは計りを繰り返して鼻翼を拡げてみて数字を確認する様にしています。ですからここで、手間と時間を要します。でもそうすることで、数字が確実に出ます。

こうして2週間を経ました。比較して計測します。

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画像上での計測ができるといいのですが、ソフトがありませんし、撮影時に物差しを写し込んでいませんので数字を出せません。ですから必ず私は撮影の度に実測します。

術前36mmが術直後に31mmにしたら、1週間で34.5mmにまで戻りました。でも今回の術後2週間後でも34.5mmと変わらず後戻りは止まりました。このままいくでしょう。これまでの症例の経過を診てきて断言できます。症例提示の際にも計測も欠かさないから、みなさんに信頼を頂いています。

もう一度適応について簡単に説明します。ひとことで言うと鼻翼の最大幅と張り出しとの関係で、結局はシミュレーションしてみれば判ります。最大幅は正面から見ての最大幅ですが、鼻翼と顔の折れ返りの位置が最大幅より狭いかどうかです。例として上の画像を見ると、術前は最大幅と折れ返りが正面から見てほぼ同じです。この場合折れ返り線を寄せた方が自然な形を作れます。術直後はオーバーにしますから、明らかに折れ返り線が縮まり、最大幅はそれより大きいです。2週間後でも折れ返り弧は内側にあります。術前にシミュレーションして、結果が予想されています。対して、術前に鼻翼が丸く張り出していて、最大幅が鼻翼と顔の折れ返り線よりも前にある場合、下から見れば判りますが、最大幅が折れ返りより約3mm前にあるならその幅を切除するのもありです。これもシミュレーションすれば判ります。鼻翼幅の大きい人のうち多くの症例は最大幅が折れ返り線です。ですから切除する必要が優先する症例は20%もありません。ところが、なんでも切ってしまう美容整形屋がいます。すると鼻翼がペチャンコになり不自然な形になります。適応を間違えないで欲しいものです。

何より、今後の数字的経過を診ていくのが務めです。次回も定着していると思います。