2016 . 11 . 22

番外編として、新進の形成外科医に黒目整形を教えて、美容外科医に仕立て上げます。

モニターという制度は、物を売る場合に感想を頂くために安くしたりすることです。私達医療従事者(医師、看護師、カウンセラー)は、薬を含めて物を売ることもありますが、外科医は腕を売っています。そして治す対象は人間です。人間は個体差があります。そして好みもあります。社会的状況もそれぞれが違います。だから、適応する治療方法は多岐に渉ります。ですから、一人の患者の感想を得るためのモニター制度もふさわしくありません。さらにいうなら、宣伝広告をもってして、誰もが同じ様な結果を得られるかのような幻想を患者さんに抱かせる方法を誘因行為といい、違法行為です。ですからこうして、医療サイドが個々の症例をブログで説明するのが、正しい広告(誘因行為でなく、症例紹介によって広く知らしめること。)だと言えます。その場合もちろん広告宣伝に出演してもらうために出演費代わりにプライスダウンしています。

ただし敢えて言えば、黒目整形は大多数の人間が適応します。特にアジア人では一重まぶたを二重瞼にする重瞼術が適応どころか機能的に必須ですし、一重まぶたの人は眼瞼下垂症を伴うことが多いので、黒目整形を併用するべき症例がほとんどです。その方が美しい形態を呈しますし、美しい形態は良好な機能に宿するとは私がいつも提唱していることなのでご存知でしょう。誰が受けても良好な経過と結果を得られるから、どの症例を提示しても誘因行為にならないのです。ですから、黒目整形はモニター症例になることが多いのです。

今回何故か、他の医師が診察して手術予定を立てていたのに、患者さんの都合で私の担当日に回ってきました。私は手術予定で一杯なので、本年から勉強を兼ねてアルバイトに来ている新進の形成外科医に手術してもらいました。

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症例の患者さんは25歳の女性。一重まぶたです。挙筋筋力は正常下限でしょう。眼裂横径が大きくないので、縦径が得られない典型例です。一重まぶた症例には多発することです。

NILT法=切らない眼瞼下垂症手術は、第一眼位=顔面を垂直にして正面視するときの眼裂縦径を拡大する手術です。眼瞼挙筋が収縮して瞼を開く際には、脳が筋力をコントロールしますが、筋力には限界があります。そこで、眉毛を挙げて助けようとします。これを代償とします。上掲した術前術直後の画像を比べてみれば判りますよね。そして、一重まぶたを二重瞼にして皮膚を挙げたら瞼縁が露出しました。その瞼縁が挙がったのもよく判りますよね。重瞼術によって皮膚を引き上げても瞼縁が挙がっていなかったら余計に眠そうになってしまします。ですから、重瞼術を試行する際には眼瞼下垂手術を併用する方が良い結果をもたらすのです。こうして黒目を露出し、眼をキラキラさせるのを黒目整形というのは大当たりです。

紹介しておきます。術者の吉沢先生はJ大学の形成外科医局員ですが、本年から月曜日に当院にアルバイトにに来ています。形成外科医10年生で、学会認定医はもちろん取得していて、今現在医学博士も申請中と脂がのっています。大学では医局長という重責を担い忙しいのですが、月曜は美容医療を学びに来ています。月曜は私の診療担当日ですから、毎週私の助手をしてきてちゃんと美容外科ん基礎から学ぼうとしています。形成外科医ですから、私との知識との交換ができます。言葉(専門用語)を知っているからです。知識は授けていますが、逐一メモして、自分なりのマニュアルを作成しています。その内容たるや私の知識を凌駕するほど勉強していて、何回か私も知識を授けられました。手術法は覚えて行っていますが、まだ耳学問的な部分が多く、概ね3回程度同じ手術の助手をしてもらったら、その手術の術者をしてもらってきました。まだ60点の合格ラインというところです。その意味では、今回も合格点です。ただし上に述べたように、本症例の初診は他の医師ですから、手術を決定したのは吉沢先生ではありません。デザインは術直前に吉沢先生が決めました。無難というところです。やはり、診察し説明して手術にいたり、経過もダウンタイムも診療していくようになるまで、一人前としては扱いません。

そうです。形成外科・美容外科の定型的な手術だと、術前の診察の結果としてのデザインが出来栄えの60%を左右します。術後の経過的変遷を推測し予想して患者さんを支えていくことも大事です。そこは私達ベテランには叶いませんよね。本症例でも少しは腫れています。開きもオーバーでしょう。この点をフォローしていくのが私の務めで、今後この面からも、経過を提示していくことが本ブログの務めです。