予めお断りしておきますが、私は男色の傾向はありません。でも美男子(普通はイケメンと呼ぶ)は好きです。少なくとも、美男子をより美的に、より男前にアップする美容医療は私の得意な分野です。アッいけねえ!こんなこと書いたら男性患者が殺到して手に負えなくなってしまったらどうしよう?。とにかくイケメン作りは楽しいです。
今回の症例はイケメンですが、美容マニアです。ごらんになってお判りになれますか?。とにかくよくできています。ところが、細部の一部に問題点があります。今回患者さんが気にしている二点は私も理解できました。さらにもう一点口角も治したいそうです。後段に拡大像で載せます。
症例は22歳、男性。これまでに鼻柱延長術と鼻翼縮小術を受けている。効果は得られているが、バランスが取れていない点があるということで来院されました。問題点を挙げます。
1、鼻柱延長術の際に鼻尖に耳介軟骨移植を受けているが、鼻尖の高さが足りない。側面像や斜位像を見れば、鼻尖が下がっているのが見える。いわゆる鳥のくちばし状と形容される変形。鼻尖を高く、鼻稜の延長に持っていきたい。
2、鼻翼の傷跡を見ると、鼻背に向かっての傷跡が幅がありしかも取り足りない。鼻翼と鼻背間の溝は鼻孔縁と平行のカーブにすれば、鼻翼そのものを挙げられるから創跡切除を兼ねて切除を追加すればよい。
いきなり結果を下図に提示します。術直後に血腫予防のための圧迫と形態維持のためにテープ固定をしましたが形態は見えます。では改善点と方法を説明します。問題点が解消しています。
1、前回と同じのオープン切開を使いアプローチしました。耳介軟骨を15×8㎜大で採取しました。もう一度鼻尖の鼻翼軟骨を水平マットレスで寄せてから、その上に対角線10㎜のダイアモンド型と5×8mmの楕円形の耳介軟骨を重ねて移植しました。側面像や斜位像で、鼻尖が鼻稜の延長線にあります。正面像でも、鼻尖の形がはっきりしました。
1’、下からの像で見れば、鼻尖が前より高くなり、尖ったのが判ります。高くしたし、尖らせました。細かいデザインが結構見えるのです。鼻の孔も小さくなりました。実は鼻翼最大幅もあるので、縮小を希望されたのですが。私としては、同時施行は無理なのと、まず鼻尖の改造を行ってからバランスを見て鼻翼の数字を決めようという提案の下、二次的にすることにしたのです。
2、鼻翼の上の創跡とその下の鼻翼の余剰を紡錘形に切除し、縫合しました。正面像で鼻翼の位置も挙がり鼻柱より上にある矢印鼻になりました。側面像や斜位像で見れば判る様に、傷跡つまり溝が鼻孔縁のカーブと平行になりました。これは私の父が昔たまに行っていた手術で、どっかで真似た医師が手をつけたのですが、コンセプトがイマイチだったので、同部で私が追加手術をした訳です。形もよくなり、傷跡も細く出来ると思います。
もう一つ手術を追加しました。症例の患者さんは、上下の歯槽骨の骨切り術=セットバックを受けています。前から4番目の歯を抜いて、両側の3番目から3番目を骨ごと後ろに下げる手術です。私も一度施行したことがあります。ところが硬組織だけ下げると結果的に減量したのと同じですから、軟部組織が余剰になる訳です。その結果は見ての通り、弛むのですが、口角が下がる形態を呈します。
症例患者さんは、私が2年前からよく行なって来た口角リフトをご覧になったそうです。ブログに何例か提示していますからね。この適応であるのは明白です。上に5㎜切除して縫い挙げました。画像を見れば形態的効果は明瞭です。傷はもちろん見られますが、実は2日後には見えなくなっていました。
男子と女子という性別は生物的区別ですが、ジェンダー;Gendarというのは社会的または文化的な区別です。辞書にもあります。美容医療の患者さんはほとんど(90%以上)女性ですが、男性も少なからずいらっしゃいます。私の父が主宰していた銀座美容外科医院では男性が20%以上と多い方でした。美男子作りには定評がありました。有名な男性芸能人も何人か診ました。
女性も男性も、ジェンダーと社会性に合わせて治療方針を立てるから、そんじょそこらの美容整形屋と違い、社会的適応性が高まるからです。例えば、患者さんのソースの中で最多の銀座のホステスさんは、派手な中に気品を作ることを求められる治療を好みます。一般の人にはできません。昔のタレントさんは外人っぽくして偽ハーフを装う治療が流行りました。
同様に社会性を考慮すれば、男性で求められる美容治療は美男子と男性の野生性とを使い分けなければなりません。目標をどっち方向にするかを、じっくり話して掘り起こさなければ見出せません。例えばホストでも美男子と強面が居ます。今回の症例は一般人ですが、これまでの治療の経過から美男子方向へのベクトルが、顔面から滲みだしています。前医は私も仲の良い同年輩の名医ですが、彼もイケメンです。イケメンだからこそ美男子の心が判るのでしょう。患者さんが来院したらピンと来ました。
ということでイケメン作りに2次的改良として携わり良好な結果を得られたと思います。画像が術当日の分だけですから、形態的にはよく判らない面があるかと思います。機能的にはの生体機能の改造ではありませんが社会的機能の改善を計っています。非難するのでは無く、ペンちゃんとした鼻尖と鼻翼の幅広の創跡は目立ちました。表に出せないとしたら社会的機能障害でしょう?。これで顔を人前に見せつけられるとしたら、社会的機能改善の一助に携われたと自負しています。
近々経過を提示していきます。男性は治りが早いので、次回いいねえな経過をお見せ出来ると思います。