片側眼瞼下垂手術+蒙古襞の解除の症例患者さんが、術後3週間で来院されました。またまた画像の撮り方がずれてしまい。上目遣いになってしまいましたが、よく開いていて二重も綺麗に入っています。窪み目も解消しています。
未手術側の右眼瞼と手術側の左眼瞼の近接画像です。
術後1週間の画像です。症例は40台女性。先天的には一重まぶた。20年前に埋没法で重瞼術を受けている。その後の経年変化で、眼瞼下垂症状を呈してきて、くぼみ目、重瞼線の多様化を来たした。合併症とLF11.5mmで先天性が否定的であることから、後天性腱膜性下垂と考えられる。
ただし眼裂横径23mm/内眼角間34mm/角膜中心間58mmと、眼球が離れていなくて顔幅も小さいのに、(計り忘れました。画像も提示できないのが残念です。)横径が小さく、蒙古襞の被さりが大きい。画像を見ても判る様に拘縮も強く、眼裂内側方面の瞼縁も皮膚も挙がらない原因になっている。術式の確認をしようとして、ブジーをラインを当ててみたら即、蒙古襞の解除も希望されました。Z−形成法による目頭の蒙古襞の拘縮の解除術は、自然な形態と機能には欠かせないと考えられます。切開法と同時に施行した方がよいのです。
画像を再掲します。今回の予定は左片側の手術です。目頭の蒙古襞による拘縮解除の為のZ−形成術も左片側を行いました。
上画像が術前と左側手術直後です。ライトの反射を見て下さい。ちゃんとできました。二重なのに内側の被さりがある右眼瞼ははっきり言って不自然です。手術側の左眼瞼は自然な形です。目頭切開による形態的機能的改善はこの違いです。
目頭切開という用語は、洋語ではMedial Canthoplasty とかEpicanthoplastyと書きます。直訳すると内眼角形成術です。つまり切開や切除が目的では無く、形態を改善することで機能的改善を目的としているのです。従来の目頭切開は、蒙古襞を切除して横径のサイズを拡大することが第一目的でした。ただ切り取る手術法デザインが横行してきました。美容整形の旧いやり方で、今でもほとんどのチェーン店では進歩していません。一番酷いのはチェーン店での三日月型切除です。蒙古襞は皮膚・眼輪筋が拘縮している、つまり下眼瞼から繫がった蒙古襞が突っ張って持ち上がらない為に、上眼瞼の内側が挙がり難い原因になっているのを治す方が自然な二重瞼を作れるのです。つまり眼瞼下垂症手術や重瞼術の補助として必要な症例が多く存在するのです。その為には縦の拘縮を解除する手術デザイン=Z−形成やW−形成が有効です。形成外科医に取っては常識です。そして皮膚性眼瞼下垂である一重瞼を伴っている症例では、蒙古襞の拘縮が標準的に存在するのです。一重瞼の遺伝子と蒙古襞の遺伝子は併存しているからです。ですから、重瞼術を施行するに当たっては蒙古襞の解除をするべきか診断しなければなりません。通常シミュレーションするとすぐに、形態的に判断出来ます。本症例でも術前に診断されました。
つまり多くの症例で、一重瞼を二重瞼に改良する重瞼術を施行する際に、蒙古襞の解除=内眼角形成術(Z−形成法がもっとも有用)を併施した方が、自然な形態と機能を作り出せます。本症例でははっきり見えますよね。術後画像を見ても、他院で埋没だけ施行されている右眼瞼の形態は不自然です。眼瞼下垂症手術+切開法重瞼術に、Z−形成法による内眼角形成術を併施した左眼瞼の方が、自然な形態です。しかもよく開いていて、機能的改善にも寄与しています。もちろん術直後は腫脹を伴っているから、手術した感はあります。
上の述べた様な意味で、本症例では良好な結果を得られましたね。今後右眼瞼の手術と共に、左眼瞼の経過を提示して、皆さんにご理解を深めていただくよう期待しております。
こうして、3週間が経過しました。下画像は両側眼瞼の画像。さらに下に近接像を提示します
右眼瞼(上左画像)と左眼瞼(上右画像)を比べればその形態と機能の差は歴然としています。手術後である左眼瞼では、開瞼がアーモンド型です。これが狙いです。重瞼高は変えていませんが、クッキリ入っています。比して右眼瞼では、埋没法で二重瞼になってはいますが浅く、内側の皮膚が被さっていて瞼縁が隠れています。結局皮膚性眼瞼下垂が改善されていません。どっちが綺麗ですか?。審美眼を働かせれば左眼瞼に決まっているでしょう。それにしても本症例は、治りが早い方ですね。この経過を見れば、対側の右眼瞼の手術の予定も立てられると仰っていました。ついでに、ほくろも焼いてあげるつもりです。その際にはまた症例提示を承諾していただき、両眼瞼の綺麗な画像を提供していただこうと期待しております。