症例は00歳、女性。一重瞼だった。20年前に埋没は受けているが、ご覧の様に外れてきた結果ラインが乱れている。LFは11.5mmで、眼裂横径23㎜、内眼角間34㎜、角膜中心間距離58㎜と眼球の位置が離れていないのに、目の窓の間が離れている。つまり蒙古襞が被さっているし、ピーンと突っ張っている為にまぶたの内側が開かない。所謂吊り目っぽくて、キツい目元の感じに見える。くぼみ目や三重瞼も生じているし、黒目の上が2㎜以上隠れている(=MRD<2㎜)から後天性腱膜性眼瞼下垂を伴っていると考えられる。
この様な機能と形態の改善にはなんと言っても`黒目整形`切開法が最良の結果をもたらします。ブログの読者の皆さんはご存知だと思います。
通常私は、両側同時に手術する事をお奨めしています。両側の手術のデザインと手技を同じくして、出来るだけ近づけたいからです。ただし絶対ではありません。ラインが決まっていて、切除幅を決められて、筋力の左右差もないなら、本症例の様に埋没が緩んで二重の引き込みが非対称になってしまっていても、合わせることは出来ます。片側を手術した際のデザインを詳しくカルテに記載しておき、対側を同じデザインで手術する事は出来るからです。この場合片側ずつ手術して、或る期間隠しておく希望を汲む事はできます。敢えて費用ですが、片側の手術は両側の手術の半分ではありません。約60%です。手術を二回に分けると時間と使用する医療材料が増えるからです。でも今回は、症例提示も承諾されましたし、三ヶ月以内に確実に対側の手術を予定するなら、特別に半額ずつにします。勿論目頭切開分も切開法眼瞼下垂手術と連続デザインにしますから、プライスダウンがされます。
昨年の10月に左側の手術を施行しました。
左図は今回の術前です。前回提示したように、既存の(埋没が緩んでも浅く残る)ラインを切開し上の皮膚を2㎜切除し、目頭部は連続して蒙古襞の稜線を挟んで一辺4㎜のZ−形成術を行ない突っ張りを解除しながら、1.5㎜ずつ寄せて被さりを減らしました。勿論LT法で眼瞼結膜側から挙筋を縫い寄せて、重瞼固定をしました。
左側眼瞼は上とその上の2画像を比較すると綺麗にしているのが判ると思います。程度が丁度いいし、よく開いてはっきりしていて、二重のラインもあくまでも末広型ですが、むしろ自然な(自然に存在する様な)二重になっています。
右側眼瞼も同様な形態変形と機能低下がありますから、当然に改善を求められました。
上に術前のデザインと術直後の画像を載せます。ポイントは目頭の位置です。術前は下向きに尖っていたのが、横向きになり、吊り目が解消しています。開きと、二重の幅等が見えるのは経過待ちです。
さて今回は左右の比較画像を見ましょう。
まず今回の右側眼瞼の手術後1週間での両側眼瞼部の画像です。腫脹が軽微で治りがいい症例です。もう左右の対称性が取れて来ています。
上の二画像は右眼瞼部の近接画像です。ウソです。左の画像は右眼瞼部の近接画像ですが、上右の画像は左眼瞼部の術後3ヶ月での近接画像を横に反転したものです。ほぼ似た形になっていますから間違えそうです。私もブログを編集しながらこんがらかってしまいました。よく見ると創跡の差が目安となりました。
左図が左眼瞼部の近接画像です。上右の画像が反転画像である事が判ります。
さて両側の術前を比較しようと考えました。上左画像は右眼瞼部、上右画像は左眼瞼部の反転画像です。並べるとよく判る様に左の方が被さりが強かったのですが、これは埋没の内側が外れている為です。
それが証拠に左眼瞼を手術したら、上の画像の様にちゃんと開きました。反転画像ではありません。上右画像では何故か、力が入りすぎていて撮影されました。
ではと言う事で右眼瞼も手術に到りました。デザインの近接像はいつものやつです。カルテを見て左右全く同じデザインとしました。上右画像が術直後です。Z−形成術の三角皮弁を入れ替えて目頭の位置が横向きになりました。開瞼も充分に得られました。重瞼も揃っています。
こうして3ヶ月の経過を追ってみました。上左画像は左右共術前。上右画像は左右とも術後、っといっても左は術後1週間です。本症例は経過が早く腫脹による重瞼の左右差や開瞼の左右差が少ないので、既に揃って見えます。全く腫れていない訳では無いのですが、もう眼鏡で隠せる程度です。来週以降ならメイクで創跡を隠せる程度になるでしょう。
今回は近接画像を反転してみて提示し、左右の比較をしてみましたが判り易かったでしょう?。逆に言えば左右同時手術でなかったので画像を比べていきながら経過を追えました。今後更に揃って来るでしょう。巧く出来た症例ですよね。