2017 . 4 . 5

可愛い目元はこれだ!、黒目整形切開法と目頭Z−形成の組み合わせは至上の手術です。

今回の症例は20歳代後半の女性で美容に対する意識が高い患者さんです。これまで8年前にS美容外科で重瞼術埋没法。3年前にPクリニックで目頭切開Wー形成法。3年前に当院で両側NILT2点(切らない眼瞼下垂手術=黒目整形)1年半前に左が緩み、1年前に左右内側1点追加。やはり緩んだ。

なかなか定着しない、特に内側が挙がらないため、今回切開法をして定着させましょうということになりました。形態的にも改良を計りたい希望です。

他院で受けた目頭切開手術はW−形成法ですから、蒙古襞のの拘縮が解除されていない為に目頭の位置が下にあるため、吊り目に見えるのがキツい感じです。やはりZ−形成法による拘縮解除を求められました。実は別の診療でも当院に通われていて、当院を気に入られて当ブログをひもといて、目頭切開の症例を沢山ご覧になり、「これだ!」とピンと来たので、私の手術を受けたくなったそうです。

現在は症例の術前と術直後の画像しかありません。出来上がりではありませんのでお間違いなく!OLYMPUS DIGITAL CAMERAOLYMPUS DIGITAL CAMERA

術前所見から説明します。挙筋筋力(滑動距離)は13㎜と正常範囲で先天性筋性眼瞼下垂は否定的。眼裂横径は27㎜と標準的、内眼角感距離は35㎜と離れ気味(以前に受ける前の数字は不明)、角膜中心間距離は60㎜と標準的。つまり蒙古襞の被さりはまだ残り、前回の目頭切開の効果が不足と感じている。フェニレフリンテストは仕事の都合で施行せず。(点眼後数時間は細かい作業が不能となる。) 後天性眼瞼下垂は軽度有り、皮膚は重瞼が緩んでいるため瞼縁に乗っかっています。(皮膚性眼瞼下垂です。) 視診上目頭の位置が目尻より下にあり、下向きに尖っています。本来モンゴリアンスラントは、目頭と目尻を結ぶ角度が平均5度の外上がりです。東アジア人の特徴で吊り目ですが、よく欧米の漫画で東アジア人を目が線で逆八の字に描かれるのが典型です。アジア人でもそのようでない人も居ますから、そんな吊り目を脱する為の私の手術は自然に作り上げられます。

術式はいつものヤツ。重瞼線は既存(埋没法)の8mm高。切除は幅3mmとし、Z−形成の上の辺に連続させます。一辺は左4mm、右5mmの60度のZ−形成のデザインです。挙筋はLT法=黒目整形=眼瞼結膜側での結膜、ミューラー筋、腱膜のtacking;ズボンのタックみたいに折り畳むことで強化します。重瞼の連続性は弱いため再建固定しました。

上の画像では腫脹が強く開瞼を阻害していますから(患者さんの手術後の疲労も影響している。)、目を細めてしまっています。決して目頭を開きすぎたからではありません。

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その証拠に近接画像を見ましょう。左2図は右眼瞼で、術前と術後の目頭の位置の改善が確実に見られます。患者さんは目頭の形にも関心があり、「丸くなると不自然だし、野暮ったい。」「尖ったまま挙がる方がいい。」と希望されましたが、その通りに出来ています。私の行なうZ−形成術ではその辺も留意していますし、デザインのミリ単位の位置で調整出来ます。更に内眼角靭帯(本当は靭帯でなく眼輪筋の腱=洋語ではTendon)の周囲の剥離で挙がり具合も変えられます。本症例は最大限挙げられました。開瞼は挙筋の収縮を脳が不随意に調整していますが、腫脹が物理的に阻害しますし、疲れると力が入りません。でも、右2図の左眼瞼の術前術直後を比較すると明らかに黒目の露出は増加しています。「こちら見て!」とお願いした瞬間に、ちゃんと力が入った様です。

重瞼の深さは周囲の腫脹に比して固定した線は膨らまないからで、経過と共に丁度良い深さになります。重瞼の引き込みは、私の医学博士論文(本邦唯一の美容外科分野の研究)にある様に、Transmission(自動車のと同じ意味)です。挙筋の収縮による牽引力が皮膚または眼輪筋(前葉)に伝わるような構造にすれば、二重瞼になります。解剖学的に証明されています。埋没では糸が前葉から抜ける事がありますから、外れる事がありますが、切開では糸で固定した線に瘢痕(創跡のコラーゲン)が出来て構造が変わりますから、外れません。ただし瘢痕のコラーゲンが完成するのには3ヶ月程度かかります。(前回の培養繊維芽細胞移植の際にも説明しました。)ですからそこに瘢痕が出来る様に糸で固定します。強く縫い付ければ取れませんが、喰い込んだ二重になります。(父の作った昔の芸能人によくあるタイプ)私はキツくなく、でも確実に固定される様に30年間試行錯誤して来ました。最近やっと、確実に固定されながらキツくない方法と調整に、自信が持てる様になりました。実は30年間でも年々上手くなっていると感じています。症例が豊富で、しかも外れたら直ちに治せる当院の体制に追うところがあり、スタッフと池田先生に感謝しています。また敢えて言えば、逆に若造の美容形成外科医は怖がって固定さえしませんから、切開しても外れるのですが、当院では、最近では切開法はほとんど全例私が担当していますから、安心です。当院でもセミナーでも若い医師に教育していますが、一朝一夕では身に付かないのが実情です。

こんな私の手術を受けた症例患者さんは大変お悦びになります。過日も患者さんに感謝されうっとりされました。ただし通常は術後3ヶ月以上を経ないと完成に到りません。若年者は経過が早いのですが、術直後は全くもって、手術しました感が見えます。これは切開法では避けられません。目頭切開も同様で引っ張られた感じになります。

これまでの症例をご覧になっている患者さんも、読者の皆さんも、術後経過はご理解いただいている事と思います。形態も機能も日に日に良好化して行き、患者さんに感謝される毎日です。逆に言えば多くの症例を提示すれば経過の変遷も念頭入れられるので、治療に臨み易いと思います。

本症例も術後経過を提示していきますから、お楽しみに。