2017 . 6 . 1

二分鼻尖(鼻の頭)の改善だけで普通にできます。

Bifid nose と洋語で書いて、訳すと二分鼻尖と訳します。先天性疾患の病名で口唇裂の伴うことが多いので形成外科領域ではよく使われる言葉です。

知っての通り、顔は胎児のときに両側が離れていてだんだん中央に寄ってきます。中心線はその際に合わさるのですが、口唇裂は鼻孔の底から上口唇が合わさらなかった結果です。当然鼻尖も軟骨が離れています。これが二分鼻尖Bifid noseです。

しかし、先天性疾患ではなくても、鼻翼軟骨が離れている人は少なくないのです。鼻翼軟骨の形は鼻尖の形として顕われます。鼻尖の丸い人の中の多くは二分鼻尖に近いのです。

私は、鼻尖が大きいと訴える人の中で、はっきりと隙間を触れる人には、両側の軟骨を縫い寄せる手術を第一選択としています。ついでに耳介軟骨を入れて高くする場合もあります。鼻を下に長くする場合もあります。

症例写真を供覧します。左が術前、中が術翌日でテープなし、右が術直後ですが、テープを貼ってから撮りました。上から正面像、下面像、右斜位像を並べます。

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術後1週間で抜糸となりました。下図は術前と比べた直後の画像と再テープ固定後の画像です。

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やっぱりまだ、テープ固定時に比べ外したときは鼻尖が大きいです。でも、術前と比べて、小さくなっています。更に鼻尖の両側に影が見られます。そうです。鼻尖はハイライトに、その両側に鼻翼との境目にシャドーが見えるのが、鼻らしいのです。

軟骨は両側を3mmずつ、つまり6mm寄せました。縫合は水平マットレスと言って、糸を掛けた部位を線でくっ付けます。術後は剥離した皮膚皮下脂肪が腫脹します。剥離した皮膚皮下脂肪が腫れて分厚くなります。更に皮膚は剥離しているので、浮いています。テープで確実に抑えていれば1週間で癒着してきています。でもまだ腫れています。

テープ固定には、二つのの作用があります。軟骨上の浮いた皮膚をピッタリくっ付ける作用。腫脹して厚くなった皮膚を押さえ付けて、少しでも早く治す作用です。皮膚皮下脂肪が軟骨に癒着し、腫脹が引き始めるのには、約3週間かかります。その間必要です。これまでのテープを張り続けた症例では鼻尖の両サイドにシャドーが出来て自然でした。

鼻翼軟骨縫合によるBifid noseの修正術は戻るという流説があるようです。間違いです!!!、埋没法とは違います!!、ネットの情報でしょうか?。情報は正しいとは限りません。それに経過を提示しているクリニックなんてほとんどないじゃあないですか!。じゃあー、私は必ず経過を追って魅せて行きますよ!。

鼻尖だけ大きくて、シャドーが見られない患者さんは数少なくありません。目元はパチっと開いていればいいし、日本人は窓のサイズも足りないので、皆治します。鼻と言えば、高さを出せば綺麗と思っている人が多いのですが、バランスが求められるのです。低い鼻は野暮ったくて、貧乏くさいだけですが、鼻尖がでかいと鼻尖は顔の縦横の中心にあるので、やたらに目立ちます。

その中で、二分鼻尖の軟骨縫合が効をそうする症例は少なくありません。手術は両側の鼻孔内の切開だけで出来ます。ただし術後のテープ固定が結果を左右します。

更に高くしたければ、鼻尖には耳介軟骨移植が適切です。何故なら、耳甲介軟骨の湾曲は鼻尖の湾曲に一致するからです。何故かは判りませんが、神様がその様にお造りに成られたのでしょう。だから鼻尖には耳甲介軟骨移植が最良の手術です。これまでに何例か症例提示しています。

そして、症例ごとに術前の形態は違います。耳介軟骨移植は置く位置を調節します。前に置けば鼻尖を高く出来ます。前に一枚ちょっと高くして、もう一枚を下に置けば鼻尖の位置を下げられます。日本人では鼻尖が上を向いている症例が多いのですが、これをアップノーズとは言わず、ショートノーズと言います。これには軟骨移植が適応です。鼻柱延長術はラジカルな手術ですが、二つの問題点があります。鼻尖から鼻柱が硬く動かせない点と、鼻柱そのものが太くなる点です。ですから私は、この数年前からは行ないません。今現在は耳介軟骨のonlay移植術で鼻尖&鼻柱下制術を行ないます。

実は本症例でも当初は併施するつもりでした。軟骨縫合だけになった理由は不明確ですが、二度手間となるとしても、後日に移植手術は可能です。ただし同術者でないと、上手く出来ないかも知れません。

私も他院で鼻尖縫合した患者さんに、二次的に軟骨移植を施行する事になり、剥離層が掴みづらく苦労した経験があります。何しろ美容外科手術では、医師に因って細かい手技がバラバラです。特にチェーン店系では、自己流の術式を見よう見まねで伝承していくので、それこそ伝言ゲームみたいにいい加減なやり方が横行しています。

もちろん二次手術は3ヶ月以上経ってから、癒着が成熟化して、形態もほぼ成立してからの評価後にするべきです。本症例の患者さんがどのような作戦かはまだ知りません。