男性をブログに提示する機会が少ないのは、男性の患者さんが多くはないからですが、実は最近増えています。ブログ提示症例を見て経過と結果が判るから、診療と手術に臨むスケデュールを立てられるからでしょう。
そういえば一般的には、美容外科に於いては男性患者さんの割り合いは10%が平均といわれていますが、父のクリニックは20%程度でした。それは何故かと言うと、ジェンダーを重視していたからです。男性にもジェンダーがあります。男らしさも男の色気も、美男も男のジェンダーです。それぞれの男性性を見分けて向上を図れば、男性でも外面と内面の調和を取りながら形態と機能の改善が得られるのです。要は診断能力です。父は長けていました。私も見習っています。
ジェンダーは性的な要素も含みます。父は性医学の分野にも関連を求めました。成書も著しています。最近日本美容外科学会JSAPSで或る大先生(私の元上司)が同様の講演をしていました。父と私の方が先んじていた筈が先を越されました。これから彼と共にも研鑽していきたい分野です。
それはともかく、男性のジェンダーを高める美容医療のカテゴリーは結構多いのですが、なんと言っても眼瞼は重要です。目力は男の武器です。
症例は25歳、男性。一流企業の会社員。先天性一重瞼で治療歴無し。LF12mmと正常下限値。前頭筋収縮しない代わりにChin upする。眼裂横径(二重瞼者の平均値27㎜:一重瞼者の平均値25㎜)は24㎜と小さい。内眼角間距離(二重瞼者の平均値32㎜:一重瞼者の平均値35㎜)37㎜と離れている。角膜中心間距離は60㎜と平均値であるから、蒙古襞が被さっている形態が判る。したがって機能的にも当然に拘縮を伴っている。
いつものやつになりますが、一重瞼を二重瞼に改良して皮膚性眼瞼下垂を修正して、挙筋筋力の伝達を向上する為の腱膜修復術を行なうならば、蒙古襞の被さりと適度に解消し拘縮を解除するZ−形成法による目頭切開は併施すると自然な状態に改良できます。何度も言いますが、人間は二重瞼で眼瞼下垂症がなく蒙古襞は適度に被さるのが自然な形態で正常な機能を呈するのです。変異は修復するべきなのです。デザイン:切開は末広型で中間位の5.5mmラインを設定。切除は最低量の2㎜は要します。一重瞼と二重瞼の差異を無くす為の量は一辺4mmのZ−形成が適切です。
下の画像は術前と術直後の両眼瞼部。
いつもの様に術直後は目を顰めて撮られます。本当はもっと開きます。
下の近接画像の方がまだましです。
術直後には流石に眼瞼を引っ張られる様な感覚があるのです。挙筋を縫縮しているので、緊迫されるのです。だから、開瞼時に挙筋に随意的に力を入れない様にする患者さんが多いのです。もちろん必ず軽快します。それに局所麻酔は前頭筋やミュラー筋にも働きますから、眉を上げる力も挙筋の収縮も不随意的にはコントロールされません。翌日にはこの点は解消して開いてくれます。
形態的には予定の手術が出来ました。吊り目で目の窓が小さいと意地悪な印象を与え、社会的に低レベルとなります。美容外科は社会との適応を図る目的で受けられるべきです。そこで男性のジェンダーですが、例えば会社員がクライアントとやりあうシーン:意地悪な目付きでキツい事ばかり言っていたら誰も着いてこないでしょ?。クライアントも買ってくれない筈でしょ?。つまり顔の中でも目付きはものを言うから、経済的にも社会的にも売り物なのです。
特に眼瞼は売り物です。目がパッチリしているとその人はキラキラ輝いて見えます。社会的に視野が広く見えるからでもあります。逆に瞼縁は挙がるのに一重瞼で皮膚が被さっていると防御的;Defensiveに見えます。所謂いじめられっ子か、敗れたボクサーみたいな顔付きに見られます。これでは溌剌と生きる力が見られません。
従って男性のジェンダーとしても眼瞼は、二重瞼で眼瞼下垂状態でなく、蒙古襞が突っ張った吊り目でないという形態と機能が社会的に有用性が高いと考えられます。
とはいっても、術直後の画像では疼痛と局所麻酔の影響で、Defensiveな顔貌を呈しています。ですから評価は、来週の経過画像を待って下さい。