2017 . 10 . 10

鼻尖増高と下制術と鼻稜増高を両側耳介軟骨移植で作り上げました。

鼻尖の手術が続いています。そういえば最近、ブログ掲載承諾症例が続いていました。月単位経て最終的結果が見えて来たからです。形態的な改善が素晴らしいからでしょう。形態的に完成に至るまで最低3か月かかります。ブログの読者の皆さんはご存知でしょう。実際術後1か月で比較してみると、やはり経過中であると説明できます。本症例は典型的です。

今回は特殊で、両側耳介からの軟骨移植です。鼻尖上に陥没がありこれも増大する必要があるために23×10㎜大の軟骨を要しますから、両側に分けて耳介軟骨の採取には30分程度は要しますから、両側だと1時間は掛かります。頑張りました!

症例は26歳の女性。鼻の尾根が太く、鼻尖の上にさらに低い船底上の凹み。鼻尖はTDP:鼻筋の延長線から落ちる点が上にある。つまり鼻尖が上にある。鼻柱も鼻翼より上にあり、三角が上向き。要するに鼻柱が喰い込んでいる。

形態的な評価を画像を見ながらしていきましょう。術前と術直後と術後1週間と術後1か月の画像を上から、正面、下面、右斜位、右側面と提示します。それぞれの方向から見てコメントします。

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正面像:一目見て自然な鼻尖の美しさが出来たと思います。術後1週間の画像はテープを貼ってからになりました。本来この様な形の鼻尖になります。ところが術後1か月でテープを貼らないで撮影したら、小さくなっていません。鼻尖の両側の影が見られません。そうです。これが、術後1か月での瘢痕拘縮の影響です。だから、術後3か月が出来上がりなのです。後段で説明します。

OLYMPUS DIGITAL CAMERAOLYMPUS DIGITAL CAMERAOLYMPUS DIGITAL CAMERAOLYMPUS DIGITAL CAMERA 下面像:明らかに高く、しかも尖がっています。鼻尖らしい自然な形態です。何故か術後1週間の画像ではテープを貼る前に撮っていますが、鼻尖の形ははっきりしています。まだ抜糸直後なので傷跡が赤く目立ちます。数週間で赤くなくなりますが、術後1か月では線状陥凹瘢痕となっています。鼻尖の形は下面像の方がはっきり見えます。後段で説明します。

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術前の斜位の画像では、鼻尖の上の陥没が診られましたが、ちゃんと埋まっています。鼻尖への流れも自然です。今回この点は特殊でした。鼻尖のTDPの位置は上記と正面像と同様に挙がっている時期です。

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側面像では上向き加減というか、鼻柱と白唇の角度(=鼻唇角)に注目して下さい。鈍角から直角に改善しました。鼻尖が上向きから前向きになったということです。鼻尖の高さは軟骨一枚が約1mm、3枚で2mm増高しています。鼻尖下制も1.5mm達成されているから、鼻唇角が改善されているのです。あれれ、術後1か月の正面像や斜位像では、鼻尖が下がって見えなかったのですが、側面像では見事に下がっているのが判ります。鼻唇角もむしろ鋭角になっています。画像を撮る際には方向が重要なんですね。

折角ですから軟骨の画像を再掲します。Donorの軟骨の形態がそのまま、Reciepient: 被移植部の形態に反映する画像を魅せます。

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耳甲介軟骨は、鼻尖の理想的な湾曲にマッチします。今回は、左耳介から13×10㎜、右耳介から10×10㎜の軟骨を採取しました。上右図は左図の左(Donor:左耳介)の軟骨を3つに切り分けた後です。3枚に切り分けた軟骨を重ねて糸を通してピラミッド型にします。その後移植ました。移植軟骨を鼻尖の皮膚の上に、もう一枚を鼻尖より上の陥没部に乗せました。この後創を縫合しました。するとその形態が鼻尖の表面に反映しています。

そこでもう一度術前と術後1か月の画像を比較します。正面像、下面像、右斜位像、右側面像です。

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形態的な改善度がよく判ると思います。今回の手術は最近の私の定番の手術ですが、自然な形態を作り上げられていると思います。私はアジア人の平均的な外鼻の形態を知っているからです。 平均的なアジア人の鼻は白人に比べて前方凸ではないし、高さに比して幅がある人も多いです。でもその日本人の中でも最近は鼻が綺麗な人が増えてきました。だから改善の余地が=バリエーションが増えました。

平均値よりも大きい鼻尖や鼻翼は小さくしたいし、鼻稜はまっすぐかアップノーズ(アップノーズは鼻尖が鼻稜よりわずかに前にある形を言います)にしたいし、鼻唇角は90度を基準に下げたい。両側鼻翼基部と鼻柱基部を結んだ三角は下向きか少なくとも水平にしたい。また鼻稜を高くしたはいいが、その結果鼻尖が下がって恰好悪くなった症例(いわゆる医原性鷲鼻)も散見されます。

今回の症例は鼻尖の標準的な格好に作り上げました。鼻尖の上が陥没しているのは珍しいとしても、そこを埋めたら鼻尖が低いので話にならない。両側鼻翼軟骨が離れているので(二分鼻尖)、鼻尖の幅は縮小したい。鼻尖から鼻柱の位置が鼻翼より上にある。鼻柱が上向きで鼻唇角が鈍角。これらの点を改善するべくの手術が出来ました。術前に頭の中でイメージを作り、手術中に形を見ながら作り上げていきました。

でも術後1か月の時点では、完成ではありません。瘢痕拘縮が最も強い時期だからです。上に書いたような形を作ったのですが、皮膚が収縮して軟骨が潰されている部分があります。

1、正面で見る鼻尖の位置ですが、下がっている様に見えません。画角の違いもあるかもしれませんが、鼻尖の皮膚の瘢痕拘縮が影響している時期です。2、鼻尖の形のだるさは露光度の違いかも知れませんが、1か月では逆に皮膚が癒着しきっていないからかも知れません。3、鼻柱の傷跡が線状陥凹しています。もちろん瘢痕拘縮のためですが、3か月目がヤマです。1’、鼻尖の位置は側面像や斜位像では術前より下がっています。この分なら、瘢痕が成熟したらもっと下がるでしょう。2’、鼻尖の形と尖がり方もやはり、術前と比べて下面像でも斜位像でもはっきりしています。4、術前の画像で目立つ、鼻尖の上の陥没部はちゃんと埋まっています。但し逆に陥没があったから鼻尖がはっきりしていた。チョコンっとして目立った。鼻尖にも軟骨移植したので術後の斜位像で見ると、鼻尖が鼻稜までつながってハイライトに見えます。そうです。ダイヤモンド型の鼻尖とはこの形態を形容しています。その点では見事に改良がなされています。4’、ただし鼻尖を下げたため、側面像で見られるように鼻稜から鼻尖に掛けて直線化され、真のアップノーズが損なわれました。どちらがいいかは好みですが、鼻尖の上に陥没が無い方が美しいのは確かです。

いろいろな角度から見ても正確に画角が合っていないので、評価は難しいのです。ならば私と患者さんの目でいろいろな角度から見て評価すれば判ることです。次回瘢痕が成熟したら、患者さんと医師の観点で評価してみます。