2017 . 9 . 11

鼻尖増高と下制術と鼻稜増高を両側耳介軟骨移植で作り上げました。

鼻尖の手術が続いています。そういえば最近、ブログ掲載承諾症例が続いていました。月単位経て最終的結果が見えて来ているからでしょう。それはそれは素晴らしい美容的形態を呈しているからでしょう。但し、形態的に完成に至るまで最低3か月かかります。ブログの読者の皆さんはご存知でしょう。

今回は特殊で、両側耳介からの軟骨移植です。鼻尖上に陥没がありこれも増大する必要があるために23×10㎜代の軟骨を要しました。耳甲介からの軟骨採取は創も目立たない部位ですし、形態的に変形も来たしません。触ると判るのは私達美容外科医だけです。但し採取に30分程度は要しますから、両側だと1時間は掛かります。手間と時間が増えるだけです。料金は当然嵩みます。

ですからこうして、ブログ提示を承諾いただいてコストダウンさせてもらいます。コストダウンとは、料金を%オフすることですが患者さん側にだけではありません。このブログを見て患者さんが来院し同様な手術を希望されますから、医療者側にとっても広告量がコストダウンされるわけです。特に当院では広告費は微々たるものですから、ほとんどの患者さんはホームページやブログの症例を視て来院されます。

症例は26歳の女性。鼻の尾根が太く、鼻尖の上にさらに低い船底上の凹み。鼻尖はTDP: Tip Defining Point,鼻筋の延長線から落ちる点が上にある。つまり鼻尖が上にある。鼻柱も鼻翼より上にあり、三角が上向き。要するに鼻柱が喰い込んでいる。

形態的な評価を画像を見ながらしていきましょう。術前と術直後と術後1週間の画像を並べて、上から、正面、下面、右斜位、右側面と提示します。それぞれの方向から見てコメントします。

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正面像:一目見て自然な鼻尖の美しさが出来たと思います。術後の画像はテープを貼ってからになりました。それにしても恰好良いです。

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下面像:明らかに高く、しかも尖がっています。鼻尖らしい自然な形態です。何故か術後1週間の画像ではテープを貼る前に撮っています。見事な形態改善ですが、まだ抜糸直後なので傷跡が赤く目立ちます。ただし数週間で見えなくなります。

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術前の斜位の画像では、鼻尖の上の陥没が診られましたが、術後はちゃんと埋まっています。鼻尖への流れも自然です。

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側面像では上向き加減というか、鼻柱と白唇の角度(=鼻唇角)に注目して下さい。鈍角から直角に改善しました。鼻尖が上向きから前向きになったということです。鼻尖の高さは軟骨一枚が約1mm、3枚で2mm増高しています。鼻尖下制も1.5mm達成されているから、鼻唇角が改善されているのですす。

それではどうやって作り上げたのかを見せます。滅多に見る事がない画像です。患者さんは面白がっていました。どうやって綺麗に治したのかを知ったら喜びも倍加するそうです。Donorの軟骨の形態がそのまま、Reciepient: 被移植部の形態に反映する画像を魅せます。

先ずは採取した軟骨。

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耳甲介軟骨は、鼻尖の理想的な湾曲にマッチします。今回は、左耳介から13×10㎜、右耳介から10×10㎜の軟骨を採取しました。上左図が採取後です。図中の左に有るの左耳甲介からの、右に有るのは右耳甲介からの軟骨です。上右図は左図の左の軟骨を3つに切り分けた後です。3枚に切り分けた軟骨を重ねて糸を通してピラミッド型にします。

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そこで、鼻尖に乗せて撮ってみました。上左図は移植軟骨を鼻尖の皮膚の上に、もう一枚を鼻尖より上の陥没部に乗せて撮影しました。上右図は鼻尖の皮膚を持ち上げて、鼻尖の軟骨の上に移植軟骨を載せています。この後創を縫合しました。するとその形態が鼻尖の表面に反映しています。

もう一度術前と術後1週間の画像を見て下さい。

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形態的な改善度がよく判ると思います。今回の手術は最近の私の定番の手術ですが、自然な形態を作り上げられていると思います。しかも普通にきれいです。それはですねェ~!。私はアジア人の平均的な外鼻の形態を知っているからです。

逆に言えば、アジア人の標準的な理想形と、患者さんの差異を見出して、その差を埋めていきます。通常アジア人の鼻は白人に比べて前方凸ではないし、高さに比して幅がある人も多いです。でもその日本人の中でも最近は鼻が綺麗な人が増えてきました。だから平均値よりも大きい鼻尖や鼻翼は小さくしたいし、鼻稜はまっすぐかアップノーズ(何度も言いますがアップノーズは鼻尖が鼻稜よりわずかに前にある形を言います)にしたいし、鼻唇角は90度を基準に下げたい。両側鼻翼基部と鼻柱基部を結んだ三角は下向き化少なくとも水平にしたい。さらに言えば鼻稜を高くしたはいいが、その結果鼻尖が下がって恰好悪くなった症例散見されます。

その意味で、今回の症例も鼻尖の標準的な格好に作り上げられました。鼻尖の上が陥没しているのは珍しいとしても、そこを埋めたら鼻尖が低いので話にならない。両側鼻翼軟骨が離れているので(二分鼻尖)、鼻尖の幅は縮小したい。鼻尖から鼻柱の位置が鼻翼より上にある。鼻柱が上向きで鼻唇角が鈍角。上に羅列した形態の損失のうちいくつかが揃っています。

何をしてこれらの形態を標準化したかは上に説明した通りです。移植軟骨の作製と、位置は個々に調整します。軟骨縫合もサイズは調整します。術前に頭の中でオペしてイメージを作り、手術中にやってみて、見て作り上げていきます。その意味ではブラックボックスなのですが、今回は適切な形態を得た時点で画像を撮ってみました。この通りの形態改良ができたと思います。

何度も言いますが、鼻尖の手術後はテープ固定が結果を左右します。抜糸後は患者さんに貼り換えてもらいますから、私が指導のために貼ってしまってから撮影しました。次回はテープなしで撮影します。その際どれだけ出来上がってきているかが楽しみですね!