鼻翼縮小術の手術法には何種類かありますが、外側切開法は適応は限られます。鼻翼の付け根よりも張り出しが大きい症例だけに使うべきです。そして付け根を寄せるには、第一に糸が使われます。この10年来頻用して来ました。寄せた量の約半分が戻ります。年齢と共に戻る量が増えていました。逆に加齢で鼻翼幅は広がりますから、アンチエイジングの手術としてのニーズは高まってきたのにです。そこで15〜10年前には良く使った方法、内側切除+糸での縫縮法を復活させてみました。内側を切開しても創は見えません。三か月来で約5例施行した中の一例です。
元来美人系の人や、他の部位の改善を図り美形が得られていても、中顔面から口唇付近の改良が欲しいと気付く人は多く居ます。むしろその人は、美的観点が旺盛な証拠です。鼻と口は位置関係が重要で違いが見えます。何故なら口元の美容は知性と品性を表現します。
症例は41歳、女性。若返りを求めて来院されました。早速美容的な評価をします。上下眼瞼、口元等は手を付けてきた。修正や追加を出来る部分を診断しました。外鼻の鼻陵は高くしているが、鼻尖の下がりが残り、鼻翼は外側切除を受けたが、幅は38㎜と変わらなかった。外側切除の適応診断をしないクリニックが多発しています。その点を説明すると患者さんは、先ずそこから治したい。と乗り気です。更に、ブログ見ましたけれど、糸だけでは戻るんですよね。内側を切開するのも見ました。とよくぞご存知です。と私は身体を乗り出しました。先ずはこれからちゃんと治しましょうという事になりました。
今回術前、術直後と術後3ヶ月を比較してみます。正面像と下面像。
サイズは上記の通り、術前は最大幅38㎜でした。しかも鼻翼の下方が広いあぐら鼻です。予定では30㎜まで縮めようかと考えました。実際は手術中に32㎜まで締めて行った時点で鏡で見せて止めました。術直後は32㎜です。術後1週間で計ると、35㎜まで後戻りしていました。その後35㎜と後戻りが止まりました。でも患者さんは、形が綺麗で下の方が小さくなって嬉しい!、と喜んでいます。確かに綺麗です。正面像で診られる様に、鼻翼の下方が小さくなると胡坐鼻でなくなって美しく嬉しいのです。下面像が小さくなっているのがその証拠です。
更にもう一つ。後で気付いたのですが口唇も締まってこれまた色っぽいんです。後段で説明します
下面像が特にに結果を魅せます。サイズは上記の通りですが、その結果鼻翼の付け根の折れ返りと、最大幅の差が変化しています。術前は外側を無意味に切除されているので、鼻翼の張り出しがなく、ベタッとしています。付け根を締めると適度に張り出しが出来て鼻翼らしい丸みが出来ます。これが自然な鼻翼の形態です。外側切除は手術適応が狭いのです。美容医療でも診察が適切でないと結果が得られないということが判りやすい部位です。
側面像では、よく見なければわかりませんが口唇の傾斜が変化しています。僅かに上口唇の(唇は鼻の下です。皮膚の白い部分が白唇部、赤い部分が赤唇部です。)外反が生じています。赤唇縁のすぐ上が後退していたのがわずかに裏返りました。この点は適切で色っぽさが増しました。本症例の患者さんはエステティックラインがマイナスなので口唇が前に出ても下品にならないのです。エステティックラインがマイナスだと女性として奥ゆかしく色っぽいのですが、ゼロの方がセクシー感が増して本症例の患者さんには調和します。
斜位像でも側面像と同様の変化が得られています。口唇の外反が効いています。人中も深くなり立体感が出て唇まで色っぽくなりました。実は口唇の手術を予定しています。口唇がエステティックラインの後ろにあると品があるのですが、長いからのっぺりとしてもたついている。色っぽいのですが野暮ったいのです。
ご覧の様に前医での手術痕は創跡も目立つ。私はこうなれば傷跡の修正も兼ねて切除追加をしてあげたいと思いました。約一年前から、追加切除して傷跡も目立たなくする手術を行いました。ブログ提示症例もあります。見て下さいよ!。形成外科医は縫い方が違いますぜ!。今後一つ一つの経過を見ながらバランスを取って順次改善を図って行きましょう。
それにしても、口元はきれいです。患者さんが「キューピットの弓:Cupid’s bow がはっきりとしてキレイですね。」と自分の顔に満足しています。私は一緒になって喜んで、「でもそれは貴女の素材が綺麗だからです。とにかく素敵ですね!」と言って惚れました。あくまでも手術結果を誉めたのでありますが、患者さんは美しさを誇る価値のある女性です。
本当に口唇の傾斜と外反が増し、キューピットの弓の形が明瞭化しました。見る人の心を射止めます。弓とはその意味でしょうか?。口紅を引いて強調して弓の形を魅せています。でも外反は正面からは解りませんから、やはり長い白唇部が気になってしまいます。
術式ですが、内側切除しても後戻りがゼロにはできませんでした。内側切除法は糸だけよりは後戻りが少ないが、粘膜で寄せても結局は徐々に伸びて来る。そこで糸プラス、内側切除に内側の粘膜の裏側を縫合すればより良い。更に両側の鼻翼の間の粘膜を骨膜上で剥離して、寄せた位置で癒着させればその位置に留まる筈です。上手く剥離して糸で寄せておけば、その位置に癒着するのですが、それでも癒着する前に引っ張られることであと戻りは生じます。
ただし術式を思い返すと、切って糸で寄せた部位は鼻翼の下半分です。だから、鼻翼の下半分が小さくなって鼻翼の形態が美しく変化したのだと思います。本症例の患者さんもその点に満足されています。
更に鼻翼基部付近が寄せられるとその下の白唇部も寄せられて、赤唇縁まで寄せられます。本症例ではこの変化も色っぽさを増長しました。最近白唇部短縮術の際に人中と赤唇縁の弓形を強調する工夫を取り入れていますが、考てみればそれと同じ効果が鼻翼縮小術で得られるのです。ただし短縮効果はありませんから、後日白唇部短縮術も施行予定です。
という訳で多種類ある鼻翼縮小術のなかで外側切除術を受けて満足しなかった患者さんに糸だけでは不安なので内側切除法を加えました。形態に満足されています。色っぽいんです。術後3ヶ月でブログ提示は終えますが、実は口唇や眼瞼も予定していますから、その際もブログ提示の承諾を頂けると期待しています。
美しい人は何回でも載せたい。美しい人は何回でも見ていたい。だから楽しみです。