口周りの手術が流行中です。でも今回の症例はオプション付きです。多く行われてきたのは上口唇(白唇部)短縮術と口角挙上術の併施ですが、最近では口角挙上術単独からの方が受け易いので、何例か画像提示もしました。上口唇短縮術単独症例も少なからず行いました。そして、鼻翼縮小術を同時施行する症例もあります。鼻翼縮小術は外側切除の適応と、糸だけによる埋没法と、内側切除法の適応をよく検討する必要があり、他院で間違えられている症例が散見されました。本症例はその一例です。その理由はこれから書いていきます。鼻は口の上ですから、セットで形態を考えるべき部位なのです。
症例は28歳、女性。上口唇短縮の希望が主訴です。既往歴として、他院で鼻中隔延長術を受けたら曲がったので修正した、ら今度は結局鼻尖が上方に戻った。顔面縦比は上(生え際～眉下)６２mm：中(眉下～鼻下)５２mm：下(鼻下～頤尖)６８mmと下顔面が圧倒的に長く、中顔面が短顔である。口唇(赤唇＋白唇)長は上２４mm／下４０mmと黄金分割比に近い。但し白唇長(鼻柱基部～弓の底)＝17ｍｍで15ｍｍを超えて、短顔の中でここだけが長く目立つ。顔部品横比は内眼角間３４mm：鼻翼幅３５mm：口唇幅４６mmと口唇幅が1.6倍より小さいが、口角は上がっている。
鼻柱と鼻翼基部の三角は上向き△で、鼻翼基部が基部の溝より下にオーバーハングしている。前回他院で鼻翼外側切除を受けているが、画像を見ても判るようにデザイン不良のために鼻翼基部付近が膨らんだままとなっているからです。 白唇部4ｍｍ切除。外反は強調する必要がないため、皮膚皮下組織を口輪筋の上まで全層切除し、口輪筋は縫縮の予定とする。口角は下がっていないが白唇と同幅挙げたい。４×６ｍｍの三角形切除を頬骨隆起方向＝４５度方向に最大4mmとして、口唇幅を3mm増大を求めた。オーバーハングしている鼻翼基部から鼻翼下半分を最大３ｍｍ切除のデザインを加えた。
まずは正面像を比べましょう。左から術前、術直後、術後2日です。
術直後は術前と比べ、腫脹で外反して見えます。術後2日＝48時間では増長しています。いつも言う48時間がピークです。口角は縦横に拡がり可愛いです。術前の鼻翼は白唇に乗っかっていたのでこのままで増長します。術後は部分的に鼻翼外側切除をしたので圧し掛かっていませんが、腫脹で鼻翼下方が膨らんでいて、一見すると胡坐鼻に見えますが、治ります。鼻柱も鼻翼も術後早期は挙筋群のトーヌスが低下するために下がりますが、必ず治るのはこれまでの画像提示で判明していますから、待ちましょう。下に右側面と左斜位の画像を比べます。
左の術前の画像では、白唇部が長いのは判ります。赤唇縁が突出で白唇部より前にあるので、モコっとはしていません。頤も前方にありE-lineはマイナスです。術後上口唇と下口唇のバランスは取れました。術後48時間では腫脹がピークです。鼻の位置は引き下げられていますがトーヌスの回復と共に戻ります。
今回術後1週間で抜糸した後も載せます。
術後48時間と比べましょう。
術後48時間が腫脹のピークで、その後軽快していきます。でも治っていくスピードには個体差があります。しかも部位ごとに差があります。48時間と1週間を比べるとかなり治っています。
側面像で見ると、白唇部と赤唇部が腫れていたのが軽快して、E-lineが戻っています。白唇部の外反も増えてきれいです。赤唇部の突は可愛いですね。斜位像で見ると、まだ腫れているから赤唇部全体が厚いです。口角の腫脹は口角部の上のあたりをボテッと見せていましたが、1週間ではすっきりしています。鼻翼の位置も術後1週間で元に近づいてきています。トーヌスが戻ってきたからです。但し正面で見ると腫れて横に拡がっています。鼻翼も手術したからです。
どの方向から見ても、どの部位もダウンタイムを過ごしています。術後1週間は出来上がりではありません。でも、結構完成形が見えてきています。次回が楽しみですね！
