2018 . 1 . 29

やはり長い白唇は切除術が適切!、そして口角は上手に挙げましょう!

口周りの手術は、数年来大流行りです。本ブログに提示する症例が多発しています。私は白唇部での口唇短縮術と口角挙上術を組み合わせる手術を多数提示しています。費用面からブログ提示のモニター承諾を希望される症例が多いので、約半数以上は提示しています。実は本症例の患者さんは当院をお気に入りで、これまでいくつかの治療を受けてきました。でもこの私の書いている院長ブログもご覧いただいていて、口唇の手術は任せたいと希望されました。嬉しいかぎりです。そうなれば、術前診察での検討の為に、念入りに計測して、よく視診して、デザインプランを頭に入れておかなければなりません。難しくも楽しい診療です。

症例は38歳、女性。口周りはこれまでに鼻翼の外側切除術を他院で受けている。口角も他院で引き上げ済だが、創跡が見える。白唇部の長さが気になり、約1か月半前にまず上唇小体手術を受けて1.5㎜だけ短くなった気がする。元は口唇長19㎜が17.5㎜になった。シミュレーションすると5㎜切除可能。上口唇は生来外反しているセクシー美人なので、外反は求めない。内眼角間30㎜:鼻翼幅34㎜:口唇幅48㎜と顔面部品の横のバランスが取れているため、口角は上に挙げたい。画像を提示します。

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上に術前の正面像、左斜位像、右側面像。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA右図はデザイン図です。両側鼻翼基部感はNostril sil:鼻の孔の底の土手状の膨らみの麓を上切開線として幅5㎜を下切開線。鼻翼に沿って余剰を切除するデザイン。口角部に三角形の切除部、外側辺は口角点から上方に5㎜、底辺は赤唇縁に沿って7㎜にデザイン。下赤唇縁に沿って7㎜切開線をデザインして、口角を横V字に口輪筋層まで外して上に縫い付けるデザイン。

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上図は術直後です。腫脹が強い方ですが、患者さんも予測していました。先ずは術前と術直後の画像を掲示するのが私の定石です。今後の経過のスタートだからです。

今回は静的にも形態評価を見合わせます。腫脹が強めでした。でも必ず軽快します。毎回記してきた様に、口唇の手術は、腫脹が強いのです。口唇は食べる、喋る為にいつも運動する部位ですから、血行が豊富ですから、切れば腫れます。正常な創傷治癒反応です。しかも赤唇部は角質が薄い柔らかい組織なので、腫脹を内包すると表皮の膜が伸びて分厚く腫れます。でも、血行が良好な部位は腫脹の軽減も早いのです。腫脹は豊富な血管内に吸収されていくからです。これまでの症例でも、術後1週間では意外と治ってきていますよね。

ただし運動の回復は症例ごとにばらつきがあります。口周りは表情筋が豊富なのは上に述べましたが、その走行は複雑で何層にも交錯しています。大別すると、閉口筋群は口輪筋。挙上筋群の一部の上唇鼻翼挙筋と鼻柱下制筋が影響します。これらの筋群は手術後の腫脹の影響で神経信号が走り難く、筋そのものも浮腫んで収縮が弱くなります。もちろん、手術後の影響は日時と共に軽快し消失します。

或る患者さんが「神経を傷めるから、動かなくなると聴いたのですが?」と訊いてきました。私は「それは素人の言う大間違いです!。いや美容外科チェーン店には素人もどきの医者も多いのでそんなフェイクを流すんでしょう。」と教えました。私のこれまでの症例を見れば判りますよね。しかも形成外科30年、美容外科30年の経歴で日夜研鑽し、解剖にも精通しています。これまで口周りの手術で神経や筋の永存的ダメージを与えた症例は皆無です。

術後早期は静的にもすごい画像です。今後の経過画像をお見せしていくと「素晴らしい結果ですね。美しい結果ですね。」との評価を毎回頂きます。その意味で次週をお楽しみに!

ここまで書いたのが術後6日めでした。そうなると翌日には抜糸に到ります。そこで画像を追加して、書き加えて更新します。

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正面像は二葉載せます。下に両側面と斜位の4方向を並べます。

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まずお断りしておきますが、この治療期間を使い、小さなシミ(そばかす状の色素斑)に対してレーザー照射をした後に透明テープで保護しています。画像に見えますが、口周りの手術は中、下顔面とのバランスを見たいのでそのまま載せました。そうです。このブログは無修正を旨としています。他院では改ざん、修正、画像加工が多用されているようですが、問題となり、厚労省が摘発に乗り出した模様です。先週の新聞記事やテレビにもありましたから、目にした人も居るでしょう。

それはそれとして、形態は見事に見えてきました。運動機能も回復が早い様です。本症例は術後の腫脹がやや強く(10人のうち3番目くらい)、結果的に運動制限も強かったのですが、術後1週間での経過では、もうここまで軽減しています。

正面像で見るとまだ腫脹で膨らんでいますが、外反度は変わっていません。赤唇縁のCupid’s bow :弓の形と人中も変わりません。口角はキュンと挙がっています。可愛いでしょ?。4方向で見ると、腫脹は度外視しても、可愛さ百倍に見られます。素材がいい(E-lineが一直線)からですが、特に斜位像(斜位が自然な角度です。)美人女優が微笑みを湛えているかの様に素敵な画像です。左側面でのAEsthetic-lineは口角の位置と相まって最高の横顔を演じています。

何故経過が早いのかと考えると、思い当たりました。本症例は静脈麻酔を併用しました。もちろん別立ての料金が発生しますが、ブログ提示させていただくのでプライスオフがあります。局麻の疼痛を健忘(痛くても覚えていない。)させるためです。これで安楽に受けられます。手術中は適度に起きていてもらいました。口周りの手術では出血が呼吸器に流れると危ないからです。その際白唇部の手術時は(口角挙上術時は無理。)会話も可能でしたが、安心して内容も信頼性を述べるばかりでした。そうなんです。本症例患者さんは看護師さんにも優しく対応して頂けるし、医師にはいつも感謝の言葉を投げかけ続けます。信頼関係と安心感で対応されてきました。

いつも書いて来た様に、手術に臨む際と術後に安心している患者さんは経過が良好で早いのです。自律神経系とは交感神経と副交感神経のバランスのことを言います。手術中に怖がったり、術後に悩んだり、不満足に感じたりすると交感神経が亢進して、術中は血圧が上昇し出血が増えます。そういえば本症例では、静脈麻酔する際は血圧計を装着しますが、血圧は全く変動しなかったので、出血も少なく済みました。術後も交感神経が亢進すると血圧が変動して内出血が悪化するのですが、本症例では起きませんでした。また、血管が収縮して血行不良になり、腫脹を吸収する機序を阻害するのですが、安心していた本症例では早く治ったのです。

そのような訳で本症例の患者さんは術中から術後に安心して過ごし、安定した身体状況で居たと考えられます。ですから経過良好で、術後1週間でこんなに早く治りつつあります。でもまだピークの35%程度の軽快ですから、形態的には出来上がっていませんし、運動機能が戻らないと鼻や口の位置は正しい位置に来ません。したがってまだ形態的評価をする時期ではありません。あくまでも、経過を提示しました。今後の経過と出来上がりをお楽しみに!。