これまで男子の口周り手術は数え上げても十例は居ません。何故かと言えば創跡を隠すのが難しいからです。これまで毎回書いて来ましたが、口周りの手術は美容外科治療の最終兵器となる場合が多く、女性にとって至上の武器ですが、男性に於いては如何でしょう?。見てきたら意外と手術の適応性は高いのかも知れません。
男性の社会的有用性を高める為に、美容医療を利用してもらいたいと願っています。実は口周りの印象は、特に男性にとって大きな意味を持ちます。鼻の下が長いと社会的が低下します。だから男性にとっても、口周りの手術の有用性が高い症例が多いのです。
症例は23歳、男性。口元が間延びしてるのを気にして、本ブログを見い出すに到り来院。白唇長を計ると20㎜で長い。早速最大限の5mm切除を求められました。契約上全顔画像は載せられないですが、普通のおとなしい顔付きなのに上口唇が間延びしている。顔面縦比は上顔面50mm:中顔面58mm:下顔面65mm。上口唇28mm:下口唇39mmで5:8より上が4㎜長い。エステティックラインもゼロに等しく口が出ているのではなく、上白唇は内反していない。その結果、男性なので外反は不要と考え、皮下脂肪全層で口輪筋上までの切除を予定しました。
顔面部品横比は内眼角間34mm:鼻翼幅36mm:口唇幅49mmで54mを目標にしても良いが、男性は大き過ぎるとうるさい感じになるので45度でなく頬骨隆起方向に約35度とした。術直前に良く見ると鼻翼が曲がっているが、切除量に左右差を付けると口唇が曲がってしまうので、特に小細工はしないでそのままスライドすることとしました。
画像を提示します。順に正面像の術前、術直後、術後1週間、術後2週間です。
手術直後は腫脹で赤唇が厚くなります。創に血液が滲んで着いていますが、マスクで隠せます。そして手術翌日には創についた血液が凝固していますから、消毒で溶かして出来るだけ拭います。するとまた少し出血します。帰ったら一度洗ってもらうように申し伝えます。
鼻翼は必ず術後には一回引き下がり、拡がります。術直前に見つけた曲がりが強調されました。でも必ず元の位置に復すのはブログで症例の経過を診てきた患者さんはご存知です。
術後1週間経ると、術後24時間の経過から微妙に変遷しています。出血はありませんが、内出血は顕在化しました。鼻の位置はもとに戻りつつあり、左右差も減っています。何より口唇=白唇+赤唇の腫脹が軽減してきます。そのため赤唇縁のカーブが変わります。術翌日には、赤唇がぶくっとしていたのが、術後2週間では赤唇縁が自然なカーブに戻りながら、薄かった赤唇の厚みが出ました。それは多方向から見るとさらに認識できます。
下に右側面と左斜位の画像を2列。術前、術直後、術後1週間、術後2週間の順に載せます。
術後経過は24時間でも明らかに軽快傾向が見られます。白唇部短縮術の侵襲が強いので、腫脹は白唇部に強いのは当然ですが、赤唇部も腫れるのです。しかし翌日には白唇部の傾斜が落ち始めています。いつも解説してきましたが、術後48時間までは腫脹や内出血は増量します。そして術後2週間ではすっきり感が判ります。
術前と術後3か月の画像を比べて見ましょう。
男性ですからノーメイクです。白唇部の長さが減って赤唇の厚さが少し増え、形がはっきりしました。赤唇部が薄いと`薄情`?に見えてしまいますし、白唇部が長いと欲深に見えます。だからこの手術は、社会的な人格特性(英語でTalent)を変えます。
術後3か月の斜位、側面の4図を並べます。
男性では傷跡の赤い線が隠せない。でも現在術後3か月経ても傷跡の幅は拡がっていません。切開または切除して縫合した場合、真皮縫合を密に強固にしなければ拡がります。真皮層のコラーゲンが支える様に強固に生成されるのには約3か月かかります。真皮縫合で隙間なく合わせれば創縁を支えます。私は真皮縫合を丁寧にに時間をかけています。
術後3ヶ月で完成!と言おうと思ったら、右口角の創跡の線上に2点白い小腫瘤を生じています。創が治る(癒合)する際には、先ず数日内に表皮細胞が分裂増殖して表面をシールします。その後数週間の後にコラーゲンが析出して深部を癒合していきます。どちらの作用も細胞の活性化による増殖ですが、その際に他の組織も活発になります。皮脂腺や汗腺や毛根等が創の間に挟まっていれば活発になって分泌物が詰るから小腫瘤となります。創跡の線の一部にありますから、CO2LASERで焼いて腺組織を蒸散させれば消えます。ついでに左鼻翼の創跡の小さな肥厚性瘢痕も焼き潰しました。肥厚性瘢痕はコラーゲンの過剰析出です。焼いて削れば再生しないでしょう。
今回術後3か月までの経過を説明しました。男性ではどのようなコメントが良いのか悩んでいました。ひと言「形態的に満足です!」と仰いましたが、上記の合併症を処理したのでもう一度拝見します。