大仰な題名を掲げました。大人になっても子供の様な目元中途半端な開瞼と重瞼。もちろん目の窓の横幅が無く、間が離れていて寄り目に見える。内側の白目が隠れている。成長してもこの様な形態では子供みたいで可愛いけど美しいとは言えず、社会的に弱者と看られてしまいます。
前にも書きましたが、人間は胎児の際に原始的動物から人間の顔の造りになり、生後も成長に伴って顔が内側に移動して大人の顔になります。動物から人間の成長に伴い、顔面の部品は外から内側に移動して行くのです。でもその程度には個体差があります。ですから、大人になっても目が離れていて鼻が高くならないでいる人は成長不足なつまり子供っぽく見えます。人間は直立したので、前方の遠方を両眼視できる様に成ったために両目が前を向いているのです。魚や蛙、哺乳類の多くは目は離れています。原始的な顔貌に見えます。居ますよね!、魚みたいな目が離れた人?。だから目が離れていると可愛いけれど可哀想なので、私の出番です。このタイプの患者さんに対して標準的で自然にある形態を作れる医師は数少ないです。
何故なら、形成外科的技術と、美容学に基づいた形態と機能の調和を経験から得るためには、長い経験と患者さんを診る目、そし手判断する頭脳中の引き出しを要します。もちろん器用な技術も欲しいのですが、目と頭と手の三位一体が揃っていなくてはなりません。チェーン店では頭脳を練る暇はないし、形成外科単独の診療では美容を診る目が養えないのでしょう。私は30年目と頭と手を修練して来ました。本邦にはこの様な医師は100人も居ません。チェーン店の若造は修練が足りませんから、結果が出せなくて困ってします患者さんが続出しています。
特に最近アベノミクスに依って経済状態が若干向上した為に、形成外医が美容外科を併設したり、他科からの美容外科チェーン店への転向する医師がより増えました。今後数年はこの状況で三要素を備えていない`にわか美容外科医`が横行しそうです。そんな御時世だから、私達の優位性が発揮出来るのかも知れません。だからこそその点を皆さんに認識してもらいたいからこうしてブログも書き連ねています。画像も隠さずにお見せします。
症例は25歳女性。2年前に来院し、挙筋筋力(上眼瞼縁の最大滑動距離)=11㎜で先天性眼瞼下垂症と診断した。計測すると、眼裂横径(日本人の平均値25.5㎜)24㎜:内眼角間(日本人の平均値34.5㎜)36㎜:角膜中心間(日本人の平均値60㎜)57㎜でした。小顔なので眼球が近いのに、目の窓の間が離れているし、横幅は小さいと診断しました。実はその前に埋没を受けたが、直ぐ緩んだし、目の間が離れているから奇異であった。
本年2月に再度来院。1年前他院で眼瞼下垂手術を受けて来た!?。余りちゃんと挙がっていない。2016年には他院でも目頭Zと眼瞼下垂手術を示唆されていた。フェニレフリンテストで開くがラインは狭くなってしまう。それならラインは前回のままでも、切除3mmなら狭くならない
本年9月に再来。先天性一重瞼で埋没でも切開でも定着しなかった訳で切開を希望。上に書いたデザインが適切で、LT法(眼瞼結膜側から挙筋を瞼板に縫い付ける方法。)が可能。目頭は蒙古襞の拘縮が強い一重瞼の典型で、一辺4mm60度のZ-形成の適応です。眼瞼を3㎜切除するなら連続してのZ−形成術がデザイン上自然な形態を作り上げられると考えた。これまでの症例で証明されています。
画像を供覧します。
上に術前の画像は露光と撮影距離を変えて二葉。重瞼は浅く中途半端な末広型で、蒙古襞が突っ張っていて吊り目を呈している。開瞼時に前頭筋収縮が常時診られ眉が挙がっている。
左はデザイン後。細かい説明は後段の近接像に。
上に術直後二葉。左が開瞼時、右が閉瞼時。多くの症例で一カ所は内出血が出てしまいます。腫脹はもちろん有ります。後出血もあり得ます。開瞼は良好化し、眉は挙がっていません。
ここから下に近接像で目頭のデザインを説明します。
上の術前の画像は両眼瞼像で説明した通り。
デザインを書いた直後。眼瞼の下の切開線はこれまでに作りたかったラインで瞼縁から5.5㎜でした。上の切開線まで3㎜の切除を書きます。続いて目頭のZ−形成術のデザインです。蒙古襞の稜線からデザインを書きます。でも裏側はよく見えません。ここで思いつきました。隠れているじゃあないですか?。引っ張って撮ろう!。
上の様に私が指で目頭部を内側に引いて、表裏二枚の蒙古襞を平面にしました。Z−形成のデザインが判ります。引っ張っているので角度が60度でなく写っています。まるでナチスの鈎十字の様です。上の辺を底にする様に眼瞼の切除の二本の線が連続しています。こうすると、自然な重瞼と内側の開瞼向上、さらに二重瞼に標準的な目頭部の蒙古襞の形態と機能になり自然な二重瞼を作り上げられます。
使い回して来た図です。左の術前の線画は上の左眼瞼の目頭部の鈎十時と同じです。Z−形成術とは切って二つの三角形を入れ替える手術です。右の図は下の術直後の左眼瞼の目頭の創と同じなのですが出血でよく見えません。
ただしよく見ると、目頭のZ型の創が縦に間延びしたのが見えます。
と言う事は、目頭の蒙古襞の皮膚が縦に伸びて(計算上3㎜)、横には3㎜短縮していてその半分の1.5㎜蒙古襞の被さりが除去されています。上の机上の図でこれまでに説明して来た様に、中学校で習う√3=ひとよひとよにひとみごろ×4−4≒3㎜の変化です。
一重瞼と二重瞼の蒙古襞の差に因る、内眼角間の平均値の差=3㎜ですから、先天性筋性眼瞼下垂症に対する手術に先天性皮膚性眼瞼下垂症を改善する重瞼術を行なう際には、4㎜のZ−形成術が適切で有るのは科学的に自明です。そしてだから自然な形態に改良出来て開瞼機能向上が為されます。何度も書きましたが一辺4㎜60度のZ−形成法以外の目頭切開手術法は犯罪行為です。でもZ−形成術は皮弁形成術ですから、形成外科のトレーニングを積んでいない医師には出来ません。
いろいろ書いても術直後の画像は評価に堪えません。今回はここまでで、次回以降経過画像を追加して更新して行きます。隠さずに経過を追って載せていかなければ正しい情報と見做されなません。本年6月から、ビフォーアフターと書いて、術前のノーメイク画像と術後数ヶ月のメイク画像を比較して載せている様なクリニックは摘発されています。私は以前から真面目に書いています。
下に抜糸後の画像。
結膜下血種は原因不明ですが、痒くて擦るだけで起きます。自然消退します。それにしても良く開いています。目の窓の大きさは縦横の比率がよくなりました。
下に術後1か月の画像。
可愛い目元です。いや可愛いでは上の表題と違えてます。目元がキリッとしました。少なくとも片側ずつの近接画像では目がパッチリして大人っぽい視線で見つめられている様です。両側眼瞼の画像ではまだ標準より目が離れているのですが、それは小柄で顔が小さいから比率的にそう見えるのです。数字的には、眼裂横径25.5mm:内眼角間33mmになっているので、やっと目の窓の横幅は一重瞼の標準になりました。間は二重瞼の標準です。それに顔の横に髪を降ろして写っていますから、両側の顔の余白が少なく、余計に目が離れて見えます。
可愛いか大人っぽいかの基準はありませんが、キレイで美しい目元です。今後の経過でまだ微妙に変遷しますから、お楽しみに!
当院では、2018年6月に厚生労働省より改定され施行された「医療機関ホームページガイドライン」に遵守しブログを掲載しています。 医療法を遵守した情報を詳しくお知らせするために、症例写真・ブログに関しましても随時修正を行っていきます。症例写真の条件を一定とし、効果だけでなく、料金・生じうるリスクや副作用も記載していきます。ブログにも表現や補足の説明を付け加えさせていただきます。
施術のリスク・副作用について:・麻酔薬にて、アレルギー反応を起こす場合があります。その場合は適切な処置を行います。・腫れは個人差がありますが、手術直後から少し腫れがあり、翌日がピークで徐々に引いていきます。目立つほどの大きな腫れは1~2週間程度です。・術後のむくみや細かな左右差の改善には、3ヶ月程度かかります。・内出血が起こった場合は完全にひくまでに2週間程度かかることがあります。・感染予防のため、抗生剤を内服していただきます。・手術直後は、つっぱりを感じることがありますが、2週間程度で改善していきます。・目頭の切開部位は、目やにがでる場所ですので、消毒にご来院下さい。・手術当日は、洗顔をお控え下さい。・手術後3日間は、飲酒・激しい運動・サウナ・入浴など、血流が良くなることはお控え下さい。・手術後1週間(抜糸まで)は、切開部位のお化粧はお控え下さい。・ケロイド体質の方は傷跡が残りやすい場合があります。