2018 . 11 . 16

人中部白唇短縮術単独症例も流行っています。

口周りの手術は最終兵器だと強弁してきましたが、これで最後の手術にしたい人も居れば、まだまだ次の計画を立てている人も居ます。結局骨も影響する症例もあるからです。去年までは骨切ったら口が余った症例が良く来ましたが、今年に入ってからは、まず私に罹って、口周りの診察を受ける人が増えました。私はベテランですから美容コンサルタントも兼ねています。やはりE-ラインを改良した方がいいなら告げます。症例によっては「やっぱり先生の言うとおりですよね!、骨が先ですよね。」さらに「実はどこそこに予約しているんですが、どうですか?。」と無理な質問をする人もいれば、「ならば、骨切り受けてからいつならいいですか?。」と真面目に考えている人も居ます。そういう人は、私が「ちゃんと経過を見せて下さいね?!」と言って待っていると着々を計画を立てます。

今回の症例はやはり二次的に手術を組み合わせてきました。今後の計画もあるようで、私の手術も影響を受けます。まずは人中部上ロ唇切除術と眼瞼から入りました。説明します。

症例は、28歳女性。本年7月に来院。白唇長21mm内反。人中と弓は明瞭。韓国で下顎骨切り。上顔面70mm:中顔面60mm:下顔面64mmと下が長く、なかでも上口唇26mm:下口唇38mmと黄金分割比の5:8に合わせると上が3mm長い。ただし頤骨切りするなら5mm短縮可能と告げた。内眼角間32mm:鼻翼幅34mm:口唇幅53mmと口唇幅はあるから、口角を挙上する際には目じり方向(約30度)に6mmの適応。鼻柱基部が鼻翼基部より下にある喰い込んだ鼻で、鼻唇角プロテーシスの適応でもある。

8月末に再診察しました。7月末に韓国で下顎骨V字切除5mmを受けた。頤の長さは少々短縮。したがって白唇部切除6mmが可能。口角は?。鼻唇角は?。眼瞼は皮膚余剰で眉下の適応。6mm挙げると視界良好。ただし、さらに1年後に骨切りLe-FortⅠ+SSROの予定。その場合鼻唇角プロテーシスは邪魔になるので見合わせる。

画像を並べます。

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正面像の術前デザイン後、術直後。

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近接像も。

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上左から、術前の斜位、側面。術直後の斜位、側面像の順。

要するに下顔面が長い中で、上赤唇が外反して、白唇がもたっとしなくなると、すっきりします。人中や弓は強調されます。相対的に口角が下がるので、上口唇が山形になりますが、これも腫脹が影響しています。傷跡が綺麗になるかどうかは数か月の経過を診なければなりません。

術後1週間で結構変わりました。

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結構治りが早いでしょう?。まだまだダウンタイム中ですがどんどん良くなります。

下に術後1か月の画像です。

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創跡の線は幅がありません。色も薄くなりました。本症例患者さんは鼻孔の下の膨らみ,Nostril sillがはっきりと土手状になっているので、土手の下の折れ返りにある創跡は谷線になったらむしろ目立たないのです。

IMG_3136IMG_3133斜位や側面像でも冗長感が無くなり、上下口唇の比率もバランスが取れました。

市民のうち、語彙が足りない人は混同していますが、創跡は創ではありません、あくまでも創跡です。抜糸して癒合していたら創はありません。そして縫合した創は一時癒合といいすぐに治ります。創傷治癒機転には順があり、先ず止血期が2〜3日間で炎症期ともいい、腫れて内出血したり、疼痛も強い数日の後、表皮層は(角質層ともいいます:表面の細胞の積み重ねで厚さ0.2~0.4mm)、細胞増殖して最低72時間で接して癒合します。まだ深部はグズグズなので抜糸は満7日後にします。真皮層が(表皮の深部のコラーゲン等と毛細血管で詰った層:厚さ数mm)、連続すれば強固になるのですが、約3週間は罹ります。外力に弱いのです。むしろ3週間の頃は真皮層の瘢痕は硬く場合によっては増え過ぎています。約3か月で周囲と同じ硬さのコラーゲンに置き換わって行きます。だから創跡は3か月まで診るのです。

ところが、真皮層が強固になるまでは外力によりコラーゲンが出来ては切れてを繰り返します。深部で隙間が出来ては埋まりを繰り返すのです。その間表皮は切れないで引き伸ばされ、ツルッとした帯になります。これが創跡の幅です。これを防ぐ為に私達形成外科医は真皮縫合をしっかりします。真皮層を縫合しておき創の隙間が出来ない様にします。真皮層に隙間が無ければ表皮層のツルッとした帯も出来ません。これが形成外科医が真面目に真皮縫合した創跡です。最終的には見えなくなります。特に白唇部短縮術の傷跡は谷線に置きますから目立ちません。最も密に真皮縫合する技術は容易ではありません。

真皮縫合が重要です。顔の前側を切開する美容外科的手術は数少なく、私は眉下と口周りだけしか切りません。真皮縫合を密にして、真皮縫合を終わった時点で隙間無く、引っ張っても隙間が出来ないくらいにすれば、創痕に幅が出来ない自信があります。余りに強い緊張には堪えませんが、年末の総括したら、この一年間で約150例の白唇部短縮術を施行した症例の中で幅が出来たのは3例だけでした。丁寧に手術したからです。

またぞろ苦言を呈します。形成外科の研鑽をした医師でなければ顔の前側を切ってはいけません。真皮縫合が出来ないからです。実際チェーン店には形成外科医はほとんど居ませんから、白唇部短縮術後に幅のある帯状の傷跡になって後戻りした症例が続出しました。よく考えたら、売り上げの約半分近く宣伝費(TVCMは高い)を費やしているチェーン店では、丁寧に一時間半も架けて白唇部短縮術をさせられ無いのです。聴くところに依ると(元Sの医師に訊いたら)、単位時間当たり私の2倍の手術をこなさないと怒られ、しまいには首になるそうです。そりゃあそうです。酷いもんですと言うか、騙される患者さんにとっては残念でしかありませんね。

偉そうな事ばかり言っていて、やはり術後経過をちゃんと診て行かなければなりません。上に書いた様に、術後3ヶ月診なければ創跡は成熟しません。皆さん次回目を凝らして観て下さい!

術後3か月が来ました。

IMG_4718IMG_4723IMG_4722IMG_4719一部に肥厚性瘢痕を生じています。ノーメイクでの画像では見えませんが、逆にメイクが載らない部分があります。ステロイドを一か所打ちました。

従いまして、もう一度拝見します。

当院では、2018年6月に厚生労働省より改定され施行された省令「医療機関ホームページガイドライン」に遵守しホームページの修正を行っています。

施術のリスク・副作用について・麻酔薬にて、アレルギー反応を起こす場合があります。その場合は適切な処置を行います。・腫れは個人差がありますが、手術直後から少し腫れがあり、翌日がピークで徐々に引いていきます。目立つほどの大きな腫れは1~2週間程度です。・術後のむくみや細かな左右差の改善には、3ヶ月程度かかります。・内出血が起こった場合は完全にひくまでに2週間程度かかることがあります。・感染予防のため、抗生剤を内服していただきます。・抜糸までの間、鼻下を伸ばす表情はお控え下さい。・口唇部の違和感は、2~4週間程度かかります。・手術後2週間は、口を大きく開けることはお控え下さい。・手術直後は、つっぱりを感じることがありますが、2週間程度で改善していきます。・手術当日は、洗顔をお控え下さい。・手術後3日間は、飲酒・激しい運動・サウナ・入浴など、血流が良くなることはお控え下さい。・手術後1週間(抜糸まで)は、鼻孔部位のお化粧はお控え下さい。・ケロイド体質の方は傷跡が残りやすい場合があります。

6月から費用の説明も加えなければなりません。上口唇短縮術は28万円+消費税。口角挙上術は25万円 +消費税。局所のブログ掲載の契約を受けてもらえたら、出演料として20%オフとなります。