2021 . 3 . 24

目頭形成術は目頭切開(切除)術と目的が違います。蒙古襞を切除する医者は間違い!。Z−形成は本物の目頭切開!。=ただし今回の症例は他の手術と同時でダウンタイムが酷い=

何度も書いて来たので、読者の皆さんも食傷気味かも知れません。目頭切開手術としては、蒙古襞の切除は不可、不適、禁忌ではないでしょうか?。切開とは、切る事ですが、蒙古襞は被さりを取りたいからと言って、切り取り(=切除)しても、狗縮を解除出来ません。いや悪化します。形成外科領域では創跡の狗縮(引き攣り)を解除する治療を求められます。医学的に(科学的に)、狗縮の解除の為には切除は逆効果なのです。突っ張っている物を切り取ってもより突っ張るだけだし、創跡は線の方向にも縮まるので悪化する可能性があります。形成外科領域では、創跡の狗縮の解除の為にいくつものデザインと方法を開発してきました。しかし、最も効果的なのは60度のZ−形成です。

本症例の患者さんはブログを視て理解されていて、目頭Z−形成法に依る蒙古襞の解除を希望されました。役立ってうれしいです。皆さんにも啓蒙となります。

症例は37歳女性。2年前に来院。眼瞼形成術は12年前に他院で受けた。”目頭切開”!も同時施行した。結果として狗縮が残る。内眼角間距離は32㎜だが、3㎜のZ−形成法なら適応すると指摘すると理解していて、同意した。医原性眼瞼下垂も呈していた。他の何カ所もの部位に対しても相談した。

その後、今や私にとって定番の上白唇短縮術を先行した。その際も蒙古襞の拘縮に就いて触れ、三角の目頭を希望していた。付け根を上方にデザインする事を示唆した。口周りの手術は隠せるが、眼瞼は見合わせていた。ブログにも載っている上中下に分けるリフト手術も検討し始めた。

昨年末久し振りに来院。リフト手術と同時に目頭Z−形成術を希望した。いくらなんでも計算上内眼角間を30㎜以下には出来ないので一辺3㎜のZ−形成術を予定した。

画像を視ていきましょう。

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上左図は術前。眼裂中央から内側に掛けて直線的に落ちる吊り目型。目頭切除の結果、蒙古襞(縦の創跡)の狗縮の為に呈する典型的な形態です。上右図はデザイン後。

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上左図は術直後。腫脹で眼瞼が被さり、眼裂内側半分は直線的に被さります。翌日は顔面腫脹が酷く上下眼瞼も腫れて形態が不明。眼瞼の手術だけでなく中顔面(こめかみから頬前)のリフト手術も同時に施行したからです。

DSC01018術後1週間では内出血が溶血して黄色くなっています。これは眼瞼からのものですが、こんなに多いのは特殊です。

DSC01046術後2週間でもまだ腫脹があり、形態は不明。腫れて重瞼も浅くなっています。

DSC01781術後1か月で魅せてもらいました。目頭は蒙古襞の狗縮が解除されて横向きになり、眼裂内側の瞼縁のカーブが丸みを帯びて、患者さんは「本当の目頭形成とはこれですね!。」とお悦び。ご覧の様にアイメイクが映えてキラキラしている。

またまた紙上で説明を加えます。

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近接画像の上右図(左眼瞼)に書いてあるデザインが下左図。

DSC_0077いつもの図ですが、眼瞼の拡大図と照合しましょう。

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術後近接像の上右図(左眼瞼) の創が紙図の上右図と同じです。

下にZ-形成術のメカニズムを詳しく説明します。

DSC_0077図中左が術前のデザインです。蒙古襞が下眼瞼に繫がる部の付け根をb点に設定します。ab線は図上では直線に書いていますが、蒙古襞の稜線に書きます。abd角とbad角は60度で、ab線とac線とbd線は同じ長さ、今回は3㎜です。このデザインで皮膚を切開し、直下の眼輪筋も切離し、cabとdbaの二つの三角形を弁状に持ち上げます。更に内眼角靭帯は眼輪筋で下に引っ張られていたので、筋を切離するとスルッと上に移動します。すると直ちに狗縮が解除されて、二つの三角形の筋皮弁は入れ替わり、図中の右の位置に動きます。三角皮弁dbaがd’c’a’に、cabがc’d’b’に移動します。内眼角靭帯は目頭の赤肉(涙湖)の先端ですからその位置も下向きから横向きになります。後は創を付ける為に5針ずつ縫合します。

この様にして、Z−形成術で蒙古襞の狗縮は解除されます。下眼瞼に付着する点bからaまでの距離がb’a’へと延長します。60度では辺の長さの√3=ヒトナミニオゴレヤ1.7320508=約7/4倍です。4㎜なら7㎜に伸びます。3㎜なら5㎜に伸びます。横方向は7/4倍と短くなるので目頭の位置が内側に動きます。中学校の算数で習う仕組みでこの様な変化が理解出来ますよね。

とにかく経過はまだ完成でないので次回術後3ヶ月を診ましょう。

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術後3ヶ月です。画像が巧く撮れませんでした。でも患者さんは目頭の形に満足されています。メイクのまま撮りましたが、映えています。バエ〜です。そこで、次の部位の話題に移りました。その際も使わしてもらえるかも知れません。お楽しみに!

当院では、一昨年に厚生労働省より改定され施行された「医療機関ホームページガイドライン」を遵守しブログを掲載しています。

医療法を遵守した情報を詳しくお知らせするために、症例写真・ブログに関しましても随時修正を行っていきます。症例写真の条件を一定とし、効果だけでなく、料金・生じうるリスクや副作用も記載していきます。ブログにも表現や補足の説明を付け加えさせていただきます。

施術のリスク・副作用について:・麻酔薬にて、アレルギー反応を起こす場合があります。その場合は適切な処置を行います。・腫れは個人差がありますが、手術直後から少し腫れがあり、翌日がピークで徐々に引いていきます。目立つほどの大きな腫れは1~2週間程度です。・術後のむくみや細かな左右差の改善には、3ヶ月程度かかります。・内出血が起こった場合は完全にひくまでに2週間程度かかることがあります。・感染予防のため、抗生剤を内服していただきます。・手術直後は、つっぱりを感じることがありますが、2週間程度で改善していきます。・目頭の切開部位は、目やにがでる場所ですので、消毒にご来院下さい。・手術当日は、洗顔をお控え下さい。・手術後3日間は、飲酒・激しい運動・サウナ・入浴など、血流が良くなることはお控え下さい。・手術後1週間(抜糸まで)は、切開部位のお化粧はお控え下さい。・ケロイド体質の方は傷跡が残りやすい場合があります。

費用は眼瞼下垂症の診断が得られれば保険診療で3割負担は約5万円(出来高請求です。)目頭形成術は角膜に掛かる程でないと保険は適用出来ません。自費で28万円+消費税。