2018 . 12 . 6

切開法の眼瞼下垂手術に希望の症例には目頭Z-形成法が最適。

眼瞼下垂手術の切開法を試行する際には、目頭の蒙古襞の狗縮を解除した方が自然です。でも絶対にZ−形成法以外の目頭切開は受けてはいけません。却って不自然になります。Z−形成法は、まだ私が学会発表していないので、普及していません。いや、非形成外科医の美容整形屋には理解出来ない論理があるからできないのです。そこには知性と理論が必要です。ビジネスで美容整形を取り扱っているチェーン店系美容外科は金儲けですから知性を使っていません。だからむしろZ−形成法による蒙古襞の狗縮解除術は私達形成外科に基づいたベテランの美容外科医の独壇場です。

とはいっても画像が魅せます。経過を追っていかなければその価値は理解出来ないでしょう。術前から術直後のすごい画も載せます。結果が見えるのは数週間先です。乞うご期待!

症例は、26歳女性。これまでに当院で何回かプチ治療をしている。他院で埋没法を受けたが緩んでいる。他に咬筋BTXや頤のBTX&H-Aやスレッドリフトを受けたことあり。私のブログを見て眼瞼を治したい希望を持ち受診。内眼角間34㎜:眼裂横径24㎜:角膜中心間57㎜で蒙古襞の被さりと狗縮が明らかで、吊り目というかどんぐり目。アーモンドアイ(グラマラスアイ)を求めるなら、内側を挙げる必要がある。それには4mmのZとNSLTでもいいが、これまでに埋没は緩んだので切開希望。切開法のシミュレーション(二重棒ブジーを当てる)をすると、ライン変えないで切除3mmが適応。一辺4㎜のZ−形成法による目頭切開も同時にシミュレーションして形態と機能を高められる事を確認した。

ところで鼻尖23mmと大きい。鼻翼幅34mmで鼻翼:鼻尖=2:1が適切とされるので鼻尖縮小の適応。鼻稜はH-Aした。鼻尖は高いが鼻翼軟骨(鼻尖を形作る両側2枚の骨格)が分かれているから縫い寄せる適応。また口元は最終兵器にしたい。等々の診察もして今後の長く診ていく予定はある。とにかく眼瞼から手術となり、当日4mm切除を希望。

画像を提示します。

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術前の画像を二葉。撮影距離を変えると寄り目の程度が変わります。多くの人が間違っていますが、寄り目とは、眼球が内側を向いている内斜視です。近くをみる際には眼球が内側を向きます。これは輻輳といいます。寄り目の人は当然に内側の白目(眼瞼結膜)が外側に比して狭くなります。 だから蒙古襞が被さっていて内側の白目が隠されていると、あたかも寄り目に見えます。近見視により輻輳するとさらに寄ります。そしてどのような術式でも目頭切開術を施して蒙古襞を除けると内側の白目が露出して寄り目が解消するのです。皆さん間違って逆に捉えています。

内眼角間距離が少なくなると`眼裂`の位置は近づきます。寄り目になりません。むしろ眼球の位置は変わらないし、内側の白目が露出すると寄り目が解消します。その観点で下の画像を視ていきましょう

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デザインはいつもの切開切除線に繋げて一辺4㎜のZ−形成を蒙古襞の稜線に記します。 IMG_3034IMG_3035

術長後は腫脹と内出血でよく判りません。開瞼も不良状態で写っています。白目も腫れた皮膚に隠されていて内外の比率が不明です。術中には開瞼良好化を確認し、目頭の位置も治っていました。下の近接画像でなら評価はできますかね?。

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開瞼は、手術中に眼瞼挙筋腱膜を眼瞼結膜側から縫縮した時点で、明らかに向上していました。手術中に腫れて来て、皮膚が眼裂に被さり瞼縁が隠されて眼裂縦径のサイズが不明です。敢えて糸が掛かっている2点ずつは“カクっと”引き上げられています。このカーブは治ります。 重瞼線は変えないで、仰臥位で無緊張で中央で瞼縁から5.5㎜にデザインしました。その上にの皮膚を目頭から目尻まで同じ幅の4㎜切除のデザインです。4㎜切除すると、開瞼して第一眼位でのみかけ上の二重の幅は(4−1)÷2≒1.5㎜拡がります。さらに皮膚が、それも重瞼線の下の皮膚が腫れると重瞼線の上の皮膚が持ち上げられて、見かけ状の二重幅はさらに拡がります。この程度だと約2/3の幅になります。 目頭の形は露出する涙湖(赤肉)の形で判ります。術前は△形だったのが、術後は横向きの二等辺三角形になっています。目頭の矢印の向きが下向きから横向きに改良されました。実は見える涙湖の面積はほとんど同じです。次いで目頭から角膜の内側くらいに架けての瞼縁が縦から斜めになりました。

つまり内側が挙がってアーモンドアイになったと言う事です。尚目頭の角は縫合に因って引き込まれていて鋭角になっていますが、抜糸後癒合が緩み、必ず自然な丸みになっていきます。 本症例は自分で「ドングリみたいな目元。」と訴えていました。グラマラスアイがアーモンドアイと同義語なら、私の得意分野で、定番のZ−形成法に依る蒙古襞の拘縮解除術が最適です。先ず内側を挙げる手術が先決です。アーモンドアイはスラントアイの対義語でしょう。スラント,slantとは傾きの英語で、アジア人は目頭が蒙古襞の為に下にあり目尻の角に向けて線を引くと、平均5度は吊り目です。目頭を挙げるには蒙古襞を上に付け替える事で出来ます。二重瞼の人は涙湖は横向き二等辺三角形です。私は二重瞼ですが、画像を載せます。

IMG_0129私だって蒙古襞が水かき状に存在しますが、程度が軽いので、目頭の涙湖が横向き三角です。この顔は不自然ではありません。その上で目尻の位置を変えるか、目尻の位置を変えないで下眼瞼の外側を下げて垂れ目にするかは検討するべきです。 術中にドングリもアーモンドも同じ木の実だと気付きました。術中に違いを考えてみました。ドングリは縦横の日が短くてお尻(この場合目頭部)が丸い。確かに本症例の術前の眼裂はそうです。アーモンドは横長で、両端が丸くない。Z−形成をすると目頭の形がそうなります。

術後当初は鋭角過ぎますが自然に丸みが付きます。向きは横向きのままです。 とにかく目頭部の蒙古襞の被さりと拘縮の改善法は、理論的にはZ−形成しかあり得ません。切除して開くと結局狗縮は残ります。特に三日月切除は最悪です。犯罪とも言えます。縦の傷跡は縦に狗縮するに決まっています。そんなの形成外科医に執っては基本知識です。だから非形成外科医のチェーン店系美容外科S等で最低の結果が続出しています。そしてその結果目頭切開に対して不自然な結果だとの風評が俟っています。

Sの奴等のせいだ(亡き父もその一人です。ご免なさい)。だから逆に私はZ−形成術の啓蒙広告に勤めています。 一重瞼は先天性皮膚性眼瞼下垂症というアジア人特有の先天性疾患(奇形)です。約半数は筋性眼瞼下垂症を伴います。ですから治療対象になります。開瞼機能低下を伴うので治療を受ける`べき`です。アジア人のうち蒙古系の遺伝子が強いと蒙古襞の下部佐里と拘縮が強く、一重瞼と二重瞼では遺伝子の濃さに差がありますから、内眼角間距離に約2.5㎜の差があります。一重瞼の人の方が目(内眼角間)が離れています。だから一重瞼を二重瞼に改善する重瞼術を受ける際には、蒙古襞の被さりと狗縮と目頭の向きを二重瞼の標準形に治さないと不自然な形態になりますし、開瞼機能の向上も不足となります。

何度も記しますが、蒙古襞の被さりを除去するだけなら三日月型切除法等でも可能ですが、狗縮を解除する効果はありませんしむしろ悪化します。Z−形成法だけが唯一狗縮を解除出来ます。そんな事は形成外科医に執っては常識です。非形成外科のチェーン店形美容外科クリニックで騙されない様に留意しましょう。

今回は術前と術直後の画像提示だけでしたが、また口酸っぱく強弁してしまいました。腫脹が強い方で形態と機能の結果が見えていません。次回術後1週間の抜糸時にはもっと判りやすいと思います。お楽しみに!

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まだ腫脹が強く、閉瞼も不能です。

術後1か月で画像を戴きました。

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眼瞼部画像は遠近頂きました。よく素人の人が目頭切開をすると寄り目になるとか言いますが真逆に誤解しています。蒙古襞が被さって内側の白目(眼瞼結膜)が隠れていると寄り目に見えて、蒙古襞を除去すると内側の白目の露出面積が増えてより目が解消します。

上左図の遠方視(撮影距離:約1m)では眼球がほぼ平行に向いていてより目に見えません。上右図の近見視(撮影距離:約30㎝)では眼球が輻輳してより目になっています。フラッシュの反射の点で判ります。ですが寄り目の度合いは術前よりずっと少なくなりました。

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実はまだわずかに閉瞼不能が残存しています。画像が無くて申し訳ありません。でも患者さんは、開瞼が向上し、重瞼が対称的で美しく、しかも自然な状態に近づいてきてとてもお悦びです。目頭切開Z-形成法の結果縦横のバランスも適切化して自然化に寄与しています。

なお、目頭切開Z-形成法の傷跡は一度拘縮します。術後1か月はピークです。今後和らいで眼瞼内側が突っ張らなくなるともっとよく開きます。

次回術後3か月にはさらに可愛い画像を供覧できると思います。

当院では、2018年6月に厚生労働省より改定され施行された「医療機関ホームページガイドライン」に遵守しブログを掲載しています。 医療法を遵守した情報を詳しくお知らせするために、症例写真・ブログに関しましても随時修正を行っていきます。症例写真の条件を一定とし、効果だけでなく、料金・生じうるリスクや副作用も記載していきます。ブログにも表現や補足の説明を付け加えさせていただきます。

施術のリスク・副作用について:・麻酔薬にて、アレルギー反応を起こす場合があります。その場合は適切な処置を行います。・腫れは個人差がありますが、手術直後から少し腫れがあり、翌日がピークで徐々に引いていきます。目立つほどの大きな腫れは1~2週間程度です。・術後のむくみや細かな左右差の改善には、3ヶ月程度かかります。・内出血が起こった場合は完全にひくまでに2週間程度かかることがあります。・感染予防のため、抗生剤を内服していただきます。・手術直後は、つっぱりを感じることがありますが、2週間程度で改善していきます。・目頭の切開部位は、目やにがでる場所ですので、消毒にご来院下さい。・手術当日は、洗顔をお控え下さい。・手術後3日間は、飲酒・激しい運動・サウナ・入浴など、血流が良くなることはお控え下さい。・手術後1週間(抜糸まで)は、切開部位のお化粧はお控え下さい。・ケロイド体質の方は傷跡が残りやすい場合があります。