2020 . 7 . 22

眼瞼下垂手術に蒙古襞のZ−形成術(目頭切開ではありません)による拘縮解除は形態と機能が造り上げられます。

再三再四強調してきましたが、目頭切開はすべきではありません。目頭部の蒙古襞は拘縮が機能と形態を損ねています。だから~!、蒙古襞に対してはZ−形成術が最適ですが、この為の知識と技術は形成外科出に医療の経験を要します。何故なら〜拘縮解除のためには、瘢痕形成術の手技、デザイン及び皮弁形成術の技術を駆使しなければならないからです。

なお拘縮とは字義で表せば「こだわりー縮まる。」です。外傷や手術創の傷跡の皮膚が硬く縮まり、弾力が落ちること。特に線状の傷跡では、縦に拘縮します。皮膚は表層から表皮、真皮、皮下組織(皮下脂肪層)ですが、真皮層のコラーゲンが硬くなる作用が主で、表皮がツルッとする見た目も影響します。皮下脂肪層が薄くなると凹みますが、皮下脂肪層は部位によりばらつきがあります。

もとい、蒙古襞は傷跡ではありませんが、眼瞼の開閉時に引っ張られます。東アジア人には蒙古襞が存在します。モンゴルで突然変異して東アジアに蔓延しました。一重まぶたと同座で、目頭部まで、皮膚が被さっています。蒙古襞は下眼瞼に付着して上眼瞼の皮膚に繋がっていますから、開閉時に引き伸ばされますが、伸びないから被さり、拘縮状態を呈します。

もう一度書きますが、目頭に蒙古襞が突っ張っているなら(狗縮)、例え蒙古襞が被さって眼裂横径が小さくて、内眼角間が離れていて、しかも吊り目状態でも、蒙古襞を切除する目頭切開を受けるべきではなく、蒙古襞の狗縮を解除する目頭形成(Z−形成術)を受けるべきで、その結果眼裂横径と内眼角間の比率が二重まぶたの平均値になり、しかも吊り目が解消して形態的にも整います。

症例は34歳女性。先天性一重まぶたです。つまり先天性前葉性眼瞼下垂です。17年前他院で埋没を受けた。LF,Levator Function 挙筋滑動距離は13㎜と先天性後葉性眼瞼下垂ではない。sC.L.,ソフトコンタクトレンズ使用歴24年で後天性効用性眼瞼下垂症を生じた?。2ヶ月前Sクリニックで額BTX,ボトックスを受けている為眉の動きは不明。フェニレフリンテストで挙がる事から後天性後葉性眼瞼下垂です。眼裂横径26㎜:内眼角間距離37㎜:角膜中心間距離62㎜であり、眼球は離れていないのに目の窓が離れている。つまり蒙古襞は被さっていて拘縮が強く吊り目。尚、眼瞼圧迫で上眼瞼が膨隆する事から眼窩脂肪ヘルニアが存在する。

以上の所見から手術プランを立てました。重瞼ラインは埋没のが浅くなっているが幅は変えない。皮膚眼輪筋は幅3㎜切除。眼窩脂肪は退ける、焼く、切除の順で処理する。目頭は一辺4㎜の60度のZ−形成術を眼瞼に繋げる。眼瞼挙筋はLT法で瞼板に留めて修復する。重瞼固定は強く留める。

画像は術前から。

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眼瞼部の遠近図。近接図では輻輳で寄り目が増強します。蒙古襞の被さりの為です。

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近接画像では眼窩脂肪の膨隆が目立ちます。17年前の埋没法の重瞼線はゆるゆるですが、瞼縁からの高さは5.5㎜と充分にあります。

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デザインとZ−形成術の図。眼瞼の3本線は中が重瞼線、1.5㎜上と下に切開線。目尻から目頭まで同じ幅で、目頭ではZ−形成の上の辺に繫がります。使い回しのZ−形成術の拡大図ですが、左の図がデザイン画の左の目頭に描かれています。実物では一辺4㎜です。

一辺4㎜60度のZ−形成術で皮弁を入れ替えると、蒙古襞が縦に3㎜伸びて狗縮が解除されます。横には3㎜短縮して蒙古襞は表と裏に皮膚があるからその半分の1.5㎜退いて、両側で3㎜内眼角間が減ります。ただし蒙古襞の傾きは症例に違います。本症例では約45度斜めなので内眼角間は3÷√2=2㎜しか減らないでしょう。

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術直後は腫脹します。特に本症例では眼窩脂肪を焼灼したので腫れます。ヤケドですから!。でも脂肪はよく揚り、収縮します。でも腫脹で膨隆しています。

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術直後の近接画像です。左目頭には上の図説の右側の線の様な創があります。

眼瞼縁のカクカクした切痕は眼瞼挙筋を留めた点が強く引き上がっているからです。どんな手術も後戻りを起こしますから強く留めておきます。

下には術後1週間での抜糸直後の画像。

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開瞼はオーバーです。診療時に私「よーく開いたでしょう!。見事でしょう?。」と自慢したら、患者さんも悦んでいましたが、若しかして撮影時に意図して開瞼して下さったのかも知れません。

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近接画像ではカメラのレンズを近くで見るので、眼瞼挙筋に力が入る(目を見開く) 人がいます。そもそも眼瞼挙筋の短縮は、後戻りを見越して強めに締めています。必ず後戻りします。概ね2週間で半分の効果が戻ります。2㎜大きくしたら1㎜戻り、挙がった1㎜は年単位で持ちます。

術後1ヶ月で画像を頂きました。下に画像。

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遠近二葉診ましょう。まだ若干の腫脹が残っていますが、開瞼は見事です。

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なぜか近接像では開く力に差ができました。今後の画像を楽しみにしましょう!。

当院では、一昨年に厚生労働省より改定され施行された「医療機関ホームページガイドライン」を遵守しブログを掲載しています。

医療法を遵守した情報を詳しくお知らせするために、症例写真・ブログに関しましても随時修正を行っていきます。症例写真の条件を一定とし、効果だけでなく、料金・生じうるリスクや副作用も記載していきます。ブログにも表現や補足の説明を付け加えさせていただきます。

施術のリスク・副作用について:・麻酔薬にて、アレルギー反応を起こす場合があります。その場合は適切な処置を行います。・腫れは個人差がありますが、手術直後から少し腫れがあり、翌日がピークで徐々に引いていきます。目立つほどの大きな腫れは1~2週間程度です。・術後のむくみや細かな左右差の改善には、3ヶ月程度かかります。・内出血が起こった場合は完全にひくまでに2週間程度かかることがあります。・感染予防のため、抗生剤を内服していただきます。・手術直後は、つっぱりを感じることがありますが、2週間程度で改善していきます。・目頭の切開部位は、目やにがでる場所ですので、消毒にご来院下さい。・手術当日は、洗顔をお控え下さい。・手術後3日間は、飲酒・激しい運動・サウナ・入浴など、血流が良くなることはお控え下さい。・手術後1週間(抜糸まで)は、切開部位のお化粧はお控え下さい。・ケロイド体質の方は傷跡が残りやすい場合があります。

費用は眼瞼下垂症の診断が得られれば保険診療で3割負担は約5万円(出来高請求です。)目頭形成術は角膜に掛かる程でないと保険は適用出来ません。自費で28万円+消費税。